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復刻版「贋作・ひとりごと」No.10

遠文連ニュース「はぴねす」No.252(1988.10.10発行)より

 予想どおり異常気象の秋がやってきたようでしたが、いかがお過ごしでしょうか。内需拡大の公共投資でしょうか、次々とビルの建設が行われております。浜松市も県立音楽堂とは別の補助金で、「文化都市」にされるんだそうですね。もう、ずっと以前に書いたことなんですが、こうした事ってどうして決定されるまでは市民に公表されないんですか。確かに、公表しなければならないという条例はありません。でも、何十年先まで残るであろう施設が代表者といわれる人達の手でいつの間にか決められていることに疑問は持ちませんが、知るべき権利を持っている報道機関って、いったい何なんですか。ハードができれば、ソフトが生まれ育つという論理もわかりますけど、ハードが無くてもソフトが生まれ育つという現実も知って欲しいのです。物が豊富にある社会だから、ハードは行政側が最高級の物を用意すべきだという意見もあります。使用料で維持費がカバーできなくても、それは行政側が負担すべきだというご意見を皆が頭の片隅にでも持つべきではないでしょうか。某クリエイト浜松で開催された「日展」ですが、行かれましたか。作品の隣との間隔をあんなに狭くしてまで展示しなければいけなかったのですか。オープン直後に市民に施設を見てもらいたいとする行政側の考えはわかるのですが、作者に失礼ではなかったのでのでは‥。字数の関係で混乱させてすいません。

遠文連ニュース「はぴねす」No.253(1988.11.10発行)より

 先日、諸般の事情により全文連主催の「産業人リーダー研修会」に参加しまして、修了書を授かってまいりました。今回は会場が都内ということで、そのまま帰らない方も多いようでした。私もそのうちの一人だったのですが、一日でも都内を散策させていただきますと、マスコミ、特に地方では知られていない事がわかってくるものですね。例えば、竹下通りはどういう店に変わっているかとか、渋谷族はどういう人種になっているとか‥いろいろあります。その中でもはっきりとしてきたのが、例の諸般の事情によりという一連の行動についてです。チケットが売れないから、観客動員が見込めないから、中止という便乗自粛があるというんですね。マスコミって何なんでしょうか。私の町でも秋祭りが自粛されて宴会は殆ど行われませんでした。本来の氏子の祭りから逸脱した部分は修正するという意味で少しはいい事かもしれません。でも、地元の某二大新聞社が後援する大相撲の地方巡業については、国技だからでしょうか、何も検討されませんでした。それどころか、秋祭りの宴会が中止になったので、その代わりに前夜祭の宴会を盛大にやっているんです。
 東京の寄席で、開口一番、「悪気があって笑わせているんじゃなくて、これが商売なんですから‥この中だけでも笑って帰って下さい‥」と言ってましたが、笑いの自粛った怖いことなんですよ。

遠文連ニュース「はぴねす」 No.252  253  254

遠文連ニュース「はぴねす」No.259(1988.12.10発行)より

※今となっては理由はわかりませんが、この号は「No.254」になります。何らかの事情での編集・校正ミスだったと思います。
 来年1月11日に、久しぶりに「えんしゅう寄席‥桂枝雀独演会」が行われます。そこで、東西落語界・寄席の状況を報告させていただきます。先ず、東京ですが、新真打の誕生が続きました。落語協会からは、3月に林家こぶ平、5月に古今亭志ん八改め右朝、落語芸術協会からは、5月に三遊亭扇馬、柳家小蝠改め蝠丸、円楽党では、3月に三遊亭かつお改め小円楽として、それぞれ真打昇進されています。6月には、小朝・泰葉の結婚がワイドショーのネタになりました。最新のニュースとしては、立川流の落語家‥立川藤志楼こと高田文夫が12月に真打昇進、披露興行を行うとのことです。
 関西の報告です。4月から桂文珍が関西大学文学部の非常勤講師に就任、1年間の講師生活に入りました。5月31日は、「なんば花月」が25年の歴史に幕を降ろしました。寄席では、10月14日に新世界の「新花月」も閉館しました。これで、関西では「なんばグランド花月」「うめだ花月」「浪花座」の三館のみとなってしまいました。嬉しいニュースとしては、4月に桂朝丸が二代目「桂ざこば」を襲名、披露が続きました。同じ4月には、太平サブロー・シローが吉本興業から独立、演芸場・テレビ・ラジオから締め出されている事実は皆様もご存じのことと思います。
 以上、簡単にレポートさせていただきましたが、地方では話題にならないような状況ですんません。

遠文連ニュース「はぴねす」No.255(1989.1.10発行)より

 本年もよろしくお願いいたします。
 一年前のこの欄で、年末をスキー場で過ごすという自由な生活ができなくなるのでは?と書きましたが、現実にそのとおりになってしまいました。遠文連のスキーも少しずつですが、若いスタッフが育っておりますので、安心しております。昨年はテスト・ツアーとして実施した戸隠ですが、今年は正式なツアーとして企画できました。四人乗りの高速リフトも建設されましたので、より楽しめると思います。お楽しみに!
 マスコミ関係では、今年はこういう年にとか、こんなことがとか、特集を組んでおりますが、メンタルな面でのストレス解消方法とか、レクリエーションに関心が集まるんだそうですね。官公庁が連休二日時代に入ります。賛否両論がありますが、多分いつの間にか、そうなってしまうものなんです。そうなると、同じような生活環境の人間が同じ時間帯に同じようなストレス解消を図ろうとするわけです。この国ではサービス産業の提供料が高いですから、それだけの費用が無い方にとっては、いかに安い料金で実現できるかというノウハウに関心が集まっていくとかということなんだそうです。環境音楽とか環境映像というソフトがすでに商品になっておりますが、ストレス解消のノウハウ商品が続々と発売されていくと思います。長期休暇をいかに安い料金で楽しめるかという事を誰かがアドバイスしないと、自ら考え、実行できない方がたくさんいらっしゃいますので‥。

遠文連ニュース「はぴねす」No.256(1989.2.10発行)より

 年末・年始の休暇を利用してドイツへ行ってきました。といっても時間がありませんので、フランクフルト・ハイデルベルグ・ローデンブルグ・ミュンヘンの四か所を廻っただけでした。普通なら凍りついて観光どころではないわけですが、今年は暖冬ということで、マイナス4度のロマンチック街道の旅でした。ドイツでも年末・年始が土・日曜日のために、ホテルとレストラン以外は完全にお休みていう状況でした。考えたのですが、こうすれば第三次産業の高付加価値化は少しは抑制できるかもしれません。国内でも官公庁・金融機関の休暇が増えたことによって、何百億円の需要が予測されるんだそうです。お金で遊んでいる方達はそれでもいいでしょうが、本当に人生を楽しみたい人にとっては、日本のサービス業関係は高いんです。今後は生涯教育の分野で、余暇をいかに安く過ごすかという講習会が企画されるんだそうです。自分で企画・実践できない方にとっては、たいへんな時代になるんではないでしょうか。国際化といっても、海外で円をたくさん使うことでほめられる状況に誰がしてしまったんのでしょうか。
 もう一つ考えさせられたのは、景観条例がしっかりしているため、町並みが非常にきれいだということです。それも観光のためではなく、住民のポリシー・文化に基づいているということなんです。安易にアメリカ直輸入の文化もどきを取り入れてしまった方達は将来に責任を感じていないんでしょうね。

遠文連ニュース「はぴねす」No.257(1989.3.10発行)より

 手塚治虫さんが亡くなられました。これで、本当に昭和が終わったと感じられた方も多かったのではないでしょうか。新聞の見出しの大きさの割には、内容がお粗末?だったのは、やはり漫画家だからだったのかもしれません。ライフワークと自他共に認めてきた「火の鳥」にしても、映画化されて初めて、その存在を知った方も多かったようでした。その結果、映画評論家たちによって「永遠の生命」という、もっともらしいテーマをつけられてしまったのです。原作を読まれた方はおわかりだと思いますが、宗教・哲学・天皇制・性善悪説など他のジャンルでは扱いにくい内容の集大成なのです。ある説によれば、関西が生んだ昭和の三偉人の一人なのです。あとの二人は、桂米朝さんと小松左京さんですが、頭でっかちの自称文化人の多いこの国ではなかなか理解してもらえない人物の一人ではないでしょうか。
 さて、今までもこのコラムで発言してきたことなんですが、この地方のマスコミと住民に対して疑問に思っていることがあるんです。大ホールの建設問題とか、「楽器の街から音楽の街へ」とか、国際文化都市へとか、発表されていますが、誰が何のために動かそうといるんでしょうか。大きな仕事ですから、利害関係があるのもわかりますが、江戸時代や明治時代じゃないんですよ。密室で、少人数で決められたであろうことに疑問を持たないのでしょうか。ハードが出来上がっても、ソフトは生まれませんよ。

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