WCSOC2020 2日目 3回戦 vs Hefeweizen-2020自戦記

HoneyWaffleの3回戦の相手は Hefeweizen-2020 でした。

対戦相手:Hefeweizen-2020

ヘーフェヴァイツェンと読む。(とても読みにくい。)白ビールという意味だそうで、以降は白ビールと呼びます。相手の手番で複数の指し手を先読みしておいて即指し手を返すmulti-ponderと、独特のメソッドで作られる評価関数が武器で、選手権では第28回初出場初優勝、第29回準優勝(やねうら王に千日手に持ち込まれたやつ)で、今回も準優勝と、最低でも2位には入るという超強敵です。今回のHoneyWaffleも、第29回版の白ビールの評価関数を使用しています。

振り飛車定跡で狙い通りペースを握る

棋譜はこのツイートのリンクから確認できます。

白ビールが先手で、HoneyWaffleは三間飛車にしました。白ビールが端歩を受けなかったので突き越した後の43銀と上がった手までが定跡の範囲です。当然、もっと先まで定跡はありますが、白ビールが右辺に触らずに先に86歩と突いたことで未知の局面に入っています。後手三間飛車だと、通常の評価関数では-150から-200程度評価値は下がりますが、逆に振り飛車に有利な数字が出るほどまでにはリードを奪えていました。

ただし先ほど水匠2で棋譜解析にかけてみたところ、そこまでのリードではないものの、上記の振り飛車ペナルティをはね返してわずかに振り飛車寄りの数字にはなっていました。

画像1

ただし局面わずかによしでも、持ち時間は大差になっています。上記の67手目あたりでは4分、上の画像の赤い点(棋譜解析の悪手判定)が出たあたりでは9分です。持ち時間は15分で1手5秒回復するフィッシャークロックルールなので、9分差は圧倒的です。ABEMAトーナメントで即指ししているシーンを想像してほしいのですが、ほとんどの手でそれをやられている感覚です。それをやられると、相手の手番で相手の手を先読みしておくことはできなくなるため、通常以上に自分の手番で考える必要が出てきます。その間に相手はさらに先読みするため、どんどん悪循環にはまっていきます。

決壊

上記のツイートの画像が、対局時の評価値グラフです。見てわかる通り、100手を過ぎて少しした時点で評価値グラフが反転しています。これが反省するというやつです。局面も持ち時間も劣勢なため、320手まで逃げ切るか、相手のバグか何かのトラブル以外ではどうにもなりません。138手目で竜取りに95歩と打っているのにいつまでも取れない等、ぐだぐだになっているのがわかると思います。手数を稼いだものの227手で投了となりました。

今大会でのHoneyWaffleは、振り飛車定跡で時間を節約しつつ研究手順を披露しながら互角以上の局面に誘導する。その後、白ビール評価関数とマシンパワーで殴り合う。という戦略で、本譜では誘導するまではできていましたが、新白ビール評価関数(これから公開されるのか?)とクラスタのパワーで殴り返されてはひとたまりもありません。3回戦を終えて2勝1敗となりました。


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