HoneyWaffle定跡2020版を公開します

WCSOC2020が終わってから半月以上経ちますが、最新版のHoneyWaffle定跡を公開します。以下からダウンロードできます。

定跡の内訳

検証対局を1サイクル200局回した結果、どの振り飛車が多く出現するか確率をざっくりと書いておきます。28や82から最初に飛車を振った筋で機械的に集計しています。

先手番は、三間飛車、四間飛車、中飛車がそれぞれ1/3ずつくらいで、若干中飛車になる確率が低く、わずかに向かい飛車もあり得るという感じです。

後手番は、半分は四間飛車(角交換型を含む)で、残りがダイレクト向かい飛車と三間飛車です。中飛車はほんのわずかです。

作成方針

なるべくいろいろな振り飛車を指せるよう、飛車を振る筋は散らすようにしています。三間飛車だけ、とか四間飛車だけ、に特化する方が研究を深めやすいと思いますが、対策をされたときに結構もろそうな印象があります。また、これに賭けようという筋が特にありません。

ゴキゲン中飛車は?

正直なところ、数字的に採用しづらかったです。

過去記事を貼りましたが、飛車を振るとそれだけで評価値がマイナスになる点について、ゴキゲン中飛車はそのマイナス幅が他の振り飛車よりも大きいです。初期局面が50だとすると、後手三間飛車や後手四間飛車はだいたい200(居飛車から見た数値)で、つまり150程度のマイナスです。ゴキゲン中飛車の場合はそれが250から300になるイメージです。作戦負けする確率も高いので、マイナスが大きくなっている点については納得せざるを得ない感じです。

定跡の手を修正する際は、振り飛車評価関数(KPPT版)のWCSC28版HoneyWaffleで検討していますが、プロの棋譜や棋書を元に、検討結果に逆らった手を追加することもあります。私が級位者でゴキゲン中飛車の基本を分かっていないため、ゴキゲン中飛車についてはそういう逆らった手をどの程度入れていいのか加減が難しい面があります。ただ分かっていても厳しそうな印象です。超速37銀で銀対抗にされて居飛車の右桂を使われるとジリ貧で、そこからはもう挽回できないという棋譜を嫌というほど見てきました。逆に、居飛車が早めに46歩としてくれれば角道を閉じた中飛車にすることもあり、これは他の後手ノーマル振り飛車と同じかそれ以上の感触です(ただしサンプル数が少なすぎる)。

他の振り飛車で、後手でも勝率5割キープが確定、みたいな成果が出ていれば、ゴキゲン中飛車に時間を割いてもいいのですが、前回記事で書いたように、どんなに修正しても全体的な傾向が変わらないため、優先度的にゴキゲン中飛車は封印して現在の構成になっています。

今後どうするかは、こうして振り返り記事を書くことでまとまってきています。さすがに定跡作り3年目に入ることは避けるつもりです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?