WCSOC2020 2日目 1回戦 vs AobaZero自戦記

HoneyWaffleの1回戦の相手は AobaZero でした。

AobaZeroは1日目を8位で通過しており、1日目の組み合わせからすると当たるであろうことは予想済でした。(出場キャンセルが出るとズレる。)この点について、去年は初戦で1次予選1位のチームと当たることを理解していなくて困った覚えがあります。

相手が事前に分かっていると何がうれしいかというと、ある程度の対策ができることで、具体的には初手からの数手で変わった局面になった時に振り飛車定跡が外されないよう、そういう局面も定跡に追加しておくことです。振り飛車定跡が外されると、苦労が水の泡な上に、変な居飛車の形からやねうら王と白ビールでただ殴る形になってしまいます。これはこの局に限らず常に警戒が必要です。

対戦相手:AobaZero

AobaZeroはディープラーニング勢を代表するソフトです。

AobaZeroは、AlphaZeroの将棋の実験の追試を行うことを最終目的とした将棋AIプロジェクトです。

今大会は、ディープラーニング勢がやねうら王ライブラリ勢を超えるのかどうか?という点がひとつの見どころになっていましたが、2日目の1回戦でいきなりぶつかった形になります。なお1日目では、AobaZeroはやねうら王ライブラリ勢相手ではFlukeに勝ちSylwiに負けています。(両ソフトとも2日目でHoneyWaffleと当たっています)

藤井システム?

前置きが長くなりましたが、AobaZeroは1日目の棋譜をチェックしたところ先手なら26歩で後手なら84歩でほぼ固定のようでした。ということで特に対策は不要で、実際に16手目32銀まで定跡どおりの進行でした。つまり16手目まで消費時間は0秒でした。棋譜は以下のツイートのリンクから確認できます。

端を突き合う形になっていますが、17手目の36歩に対して62玉と上がっているので、これは藤井システムということになるのでしょうか?自分にはわかりません。というのも、「藤井システムの手を定跡に入れておこう!」という観点ではやっておらず、振り飛車として勝率のいい手を定跡に入れる、振り飛車で勝った棋譜から自動で定跡を生成する、という延々とやってきた作業の結果でこの形になったので。

仕掛け

42手目85歩と仕掛けてますが、昨日公開された水匠2で1手10秒の解析をかけたところ、この時点で評価値は-180と振り飛車ややよしです。41手目の16歩にかえて24歩と突き捨てるのが水匠2の推奨手でした。

以下の評価値グラフ、41手目までに先手プラスになっている分、つまり振り飛車にしただけで評価値が下がる分は、本当なら初形での初期値にとどまってるのが正しいと思いますし、それが私が目指すところです。

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82手目は66角といきなり角を切ってますね。端攻めで銀冠を崩壊させた後ですが、こんな強引でいいんでしょうか。水匠2も当然その手だと言ってます。97手目51角成で、振り飛車もちょっと怖い感じになっていますが、この時点での水匠2の評価値は-3000を超えています。その後は自玉の安全を確認できたのか、受けずに一気に寄せて118手でHoneyWaffleの勝ちになりました。

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