WCSC29 2次予選 自戦記その2

本当はほとんど毎日更新するつもりが、選手権終わってしばらくしたらどっと疲れが出て、更新できずにいました。

また、前回リンクを貼った、CSAの実験放送はすぐに賞味期限切れになってしまい、残念でした。決勝リーグに届かなかったのですが、何局も解説してもらえたのはとても嬉しかったです。

2回戦 狸王

言わずと知れた強豪ソフトですね。大会ごとに名前が変わり、前回選手権での「the end of genesis T.N.K.evolution turbo type D」は長すぎだろということで一転して狸王(タヌキング)と短い名前での登場ですが、現場では専らたぬきさんと呼ばれることが多かったように思います。

将棋の方はHoneyWaffleが後手で、四間飛車に。定跡を準備してきた割には飛車を振る一手は定跡には入ってませんでしたが、定跡なしでも振るんだぞということで。

対抗形における桂ぽんは、振り飛車側から相手の飛車先の歩を桂馬で取ってしまう手だと認識しています。棋譜を見たら、実際には先手が45桂としていました。桂馬を犠牲にしても相手を歩切れにすれば指せるという姿勢は共通しているようです。

評価値グラフがすでに先手に大きく傾いています。この図に至る前に、55の飛車で2手連続で馬、角と取られています。先手陣をそれなりにえぐっていますが、決めきれないのであれば無理な手順に突っ込んでしまったということでしょう。149手で完敗となりました。棋譜はこちらから見ることができます。

3回戦 Daigorilla

いきなりの2連敗スタートとなり、3回戦は1次予選を3位通過した新人のDaigorillaと当たりました。

5手目46歩とされ、早くも6手目94歩は定跡に入っていない手です。44歩を突くと、先手としては相手が居飛車だろうと振り飛車だろうと、4筋は争点になりそうだから早めに突くということでしょうか。

ツイートの通り、DaigorillaさんはノートPCで動かしていて、こちらのNPSがだいたい5000万くらいのところ、300万くらいのようでした。

しかし、狸王戦と同様に無理な手順を選んだようで、急速に反省してしまいます。端を破られているところがすでにおかしいようです。高精度な評価関数があればNPSの差は十分はね返せる、というのは唯一リモートなしで決勝リーグに進出した水匠さんも証明しています。結果、評価値マイナス3500くらいまで押し込まれてしまいました

しかし持ち時間を見ると、お互いに残りが少なくなってきています。持ち時間15分で1手ごとに5秒加算のルールです。

持ち時間が少ないとNPSの差が効いてきます。5秒しかないなら、相手は300万×5秒で最大1500万局面までしか読めないということです。こちらは1秒でも5000万局面読めるわけですから。相入玉の展開で持ち時間が少なくなったため、そこから徐々に押し返しました。

302手で、Daigorillaさんが投了しました。後手の宣言勝ちを阻止できないということだと思います。Daigorillaさんは、コンピュータ将棋でよくある王手ラッシュ等をよしとせずに投了する方針を取られていました。もしかしたら、320手での引き分けに持ち込むことも可能だったかもしれません。一方でこちらは敗勢の将棋でひたすら粘って、NPSの暴力で逆転という汚い勝ち方でした。ただこちらも、振り飛車の灯を消させるわけにはいきません。

棋譜はこちらです。

これでなんとか1勝を拾い、3回戦を終えて1勝2敗となりました。

他のチームでも今大会は入玉の将棋がとても多く、今後は相手の入玉をうまく阻止したり、逆にうまく入玉するというのも対策が必要かもしれません。


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