石ころ(25日目)

職人気質の無愛想なおやじが、めんどくさそうに
「おらよ」っと投げてきたもの。
それは一見、ただの石ころだ。
だけど、よくよく見てみると
ものすごく繊細な彫刻がほどこされた美しい玉だ。
まさか、あのおやじが作ったなんて信じられないほどの
丁寧で几帳面な仕事ぶりがうかがえる一品だ。

普通の人は、よく見ないから気が付かない
その玉の価値を、おやじの繊細さを。
わかる人にしかわからない。

おやじは、とてもシャイなんだ。
恥ずかしがり屋で照れ屋で正直だから、愛想を振りまけない。
薄っぺらい上辺だけの言葉や態度は透けて見えるから。

不器用な生き方だし、誤解されやすいとわかってはいるけれど、
おやじは在り方を変えない。
自分に誇りをもっているし、他人から理解されようとか思っていない
潔い、一本気で粋なおやじ。
言い訳しない、他人のせいにしない(=被害者にはならない意識)
自分の生き方に全責任をもっていることを自覚している。
その姿は、繊細で強くて優しく、美しい。