ナイトメアホスピタル感想 「つまらない人生」は罪ですか?

ジュニア担が全員夢中になっている「あだちぃの」の「ちぃ」がいつもやばこんぴがお世話になってる和田優希と舞台をやるらしい!しかも和田がちぃを想像妊娠するらしい!??????????????という訳で行ってきました。和田優希は去年の夏頃?に見た桃太郎ぶり、千井野空翔は大脱走に行きそびれたので初めてです。無所はサマパラも行ってないから本当に初めて千井野空翔を閲覧したのがこの舞台でした。

赤井田祐三(和田優希)は、「想像妊娠」と診断され隔離病棟で入院中。ある日、お腹が痛くなり、気絶すると、そこにいたのは「魔界の王」(千井野空翔)を名乗る子供だった。王を補佐する露木魔佐人(木村来士)の説明によると、魔界の王は王位につくために赤井田に「7つの大罪」を犯させる必要があるとのこと。早く魔界に帰るべく、赤井田に罪を犯させるように工夫をする王だったが、最後の罪を犯させる前に「7つの大罪を達成した人間は死んでしまう」という条件を知らされる。赤井田は王を魔界に帰すため、最後の罪「怠慢」を犯す。

王を産み落とすにあたり、赤井田の半生は一冊の本になっている。その本を読んだ赤井田は自分の人生を「つまらない」としていたが、何があってもついてきてくれる妻の恵、ずっと慕ってくれる子分の勇がいる赤井田の人生は「つまらない」のだろうか。では、友達がいなかった王の人生は?神を信じる科学者の人生は?医療を信じる医者の人生は?
最後、赤井田は「生きることを諦めた」ことで「怠慢」の罪を犯す。確かに、赤井田の人生は何も成し遂げることができない、しがないチンピラの一生だったかもしれない。それでも王の願いを叶え、恵を幸せにすることを願いながら死んでいく赤井田の人生は捨てて良いものではないはずだ。その自分の価値に気付かないことが彼の本当の罪なのかもしれない。
赤井田が倒れた後、病院の時は少し戻り、赤井田は手を大怪我して入院している。これは赤井田が最後に恵の幸せを願ったことで、その願いを叶えるために赤井田が必要だったのだろう。自分の手で恵を幸せにすることが「贖罪」になるはずだ。

和田優希は個人舞台としては「桃太郎」以来。SpeciaLはメンバーそれぞれが歌やアクロバットなどの「スペシャリスト」であるが、和田はその中でも「顔面」を担当している。その名の通り、どの時代に生まれていても通用する美しさを持っている存在だが、それでも彼にどこか親しみを感じることができるのは、彼が信じられないほど謙虚な人間だからだろう。今回演じた赤井田は謙虚さとは正反対の人間に見えるが、自分のことよりも王や恵を優先する一面もある。そんな赤井田の姿がグループで「顔面」を担当するビジュアルを持ちながら「皆さんの推しメンも良いですが、実は和田も…」と控えめに主張する彼の姿が重なって見えるようで、かなりハマり役だったように感じた。和田はそんなビジュアルに気を取られがちだが、とにかく器用な人なので、どんな作品でも彼がいればどうにかなると言い切れるほどの安心感がある。えび座も最高でした。

千井野空翔は現在高校2年生。おそらく外部舞台は「大脱走」が初めてで今回は2作目にあたる。野球経験があるらしく、島動画(死語)に投稿されている映像では独特の喋り方をするタイプだ。作中でもこの喋り方で話すので、さすがに気になるシーンも多かった。が、芝居は悪くなく、本人がしゃべっている時以外でもかなり細かい仕草まで気を配って王の生意気さを出していたように感じる。これが舞台俳優志望でもなんでもない高校二年生だと思うと、演技が上手いというより、仕事に対する真摯さの方を感じることができる。一つひとつを真面目に取り組める彼ならきっと、今回の舞台の経験も、アイドルを目指す上で活かされていくだろうと思った。

余談だが、たまたま観劇した回が阿達慶、竹村実悟の見学と重なり、それぞれ千井野と一緒に大人気のメンバーであることもあり、閉演後足早に劇場を後にする彼らを追いかけるようにロビーに向かうオタクを見て「本当の罪人って………………」と思ったりした。

以下、雑感

「七つの大罪」をテーマにした今作。私は厨二病なのですぐに七つの大罪が言えるが、ここまでメジャーな概念だと思わなかった。現場は6匹の犬のぬいぐるみが縫い付けられたバッグを愛用していた時期もあり、私を含めてそれぞれが罪を担当して「七つの大罪バッグ」と呼んでいたので、それを持っていけばよかった。七つの大罪がテーマのときは事前に告知してください。

今回は千井野空翔以外も渡邉心、木村来士といういわゆる無所ジュニアが出演していた。MADE、宇宙の解散以降ジュニアの外部舞台は俳優部門以外だと7 MEN 侍メンバーと少年忍者メンバーが出まくっていた印象だが、最近は無所の子も積極的に出演する方針なのだろうか。調べていると、俳優部門の林敬一主演舞台に無所のメンバーが3人出ているらしい。少年倶楽部も終わり、バックもほとんど付かなくなった今のジュニアの環境では、ユニットに入らなかったメンバーは舞台が主な仕事になるのかもしれない。実は2017年以前に入所したジュニアは俳優部門の林手島平塚以外の「無所」は全員退所または卒業をしている。

シアター1010はやや久しぶりの観劇。とくに可もなく不可もなくな会場。強いていえば北千住ってどこやねんって毎回思うくらい。

そういえば公演ポスターがどこにもなかった気がする。あんなに顔がかっこいいんだから北千住中に貼りまくりなさい。

最後にこの後の観劇予定を宣伝します。戸塚祥太さん主演「緑に満ちる夜は長く…」、佐々木大光さん主演「フォーティンブラス」、福田悠太さん主演「東京流れ者」、川﨑皇輝さん主演「町田くんの世界」。どれも楽しみだー!

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