NFTでマイルがもらえる、Etihad航空が立ち上げた業界初のWeb3ロイヤリティプログラム「Horizon Club」
先月7月28日に中東UAEのEtihad航空は、航空会社では初と見られるNFTを活用したロイヤリティプログラム「Horizon Club」の立ち上げを発表しました。
今回はこのHorizon Clubをはじめ、Etihad航空のこれまでのNFTの取り組みをざざっとご紹介します。
スタートは2022年夏
Etihad航空がNFT関連の取り組みを開始したのはちょうど発表の1年ほど前、2022年7月です。「Etihad: EY-ZERO1」と呼ぶNFTコレクションをリリースしました。
Etihad航空の創立年にちなんで、2,003体のNFTが発売されています。このNFTは純粋なアート作品としての展開ではなく、”utility driven”と打ち出されており、保有者向けに以下の特典などが提供されています
イベント参加
割引
ラウンジへのアクセス
特別な会員ステータスの付与
OpenSeaを見る限り、8/6時点の保有者数は952名で、2%ほどが二次流通にリストされています。クリエイター手数料は7.87%に設定されており、二次流通でも手数料が獲得できる設計になっています。(7.87というのは、NFTのデザインがボーイング787ドリームライナーをモチーフにしていることに由来しているのでしょう)
NFTのデザインは、以下の画像の通り大きく5つのカテゴリで、計10種類用意されています。右端の「Choose Well Series」は「Choose China」など地域のバリエーションがさらに存在し、中国やイタリア、日本、サウジアラビア、米国、シンガポール、タイなどがラインナップされています。
Manchester City FCやADGPなど上記の4つのカテゴリに加えて、7月に発表されたのが映画「Mission Impossible」とコラボしたモデルです。
300個限定のM:1モデル
この「M:I」シリーズは300個限定で8月1日に発売され、すでに完売しています。その販売金額は日本円にして4.2万円ほど(先日ご紹介したLVMHグループのトレジャー・トランクを見ると安く見えてしまいますね)。
そして「M:I」シリーズの保有者は以下の4つのベネフィットを受け取ることができます。
Etihadシルバーステータスの付与(12ヶ月間)
- ラウンジへのアクセス、優先搭乗、25%のマイル加算などEtihadバーチャルクラブ
- 10%のマイル加算、カードデザインのパーソナライズなど景品プレゼント
- マンチェスターシティのジャージなどNFTのステーキングによる追加マイル獲得
- NFTをステーキングすることでマイルを獲得
ステーキングとは何か?という方には以下のcoinbaseの説明をご覧ください。大雑把には、自身が購入したNFTをステーキングするということは、そのNFTがブロックチェーンの検証プロセスに利用されることを意味し、その利用される対価としてリワードがもらえる、という感じでしょうか。
9月にリリース予定のHorizon Club
そして冒頭でご紹介した、新たなロイヤリティプログラム「Horizon Club」とは「M:I」シリーズの特典としてご紹介したNFTのステーキングなどを中心とした取り組みとなります。
9月から「M:I」シリーズに限らず、Etihadアカウントに既存のNFTコレクションを紐づけることでステーキングすることが可能となり、ホルダーはNFTをステーキングすることでマイルを獲得できるようになります。
「M:I」シリーズなどレアなNFTの保有者はステーキングによって得られるマイルが割増されるということです。また、それ以外にも、Web3コミュニティやアーティストによるパーソナライズされた特別な体験、Horizon Club限定のオンラインショップ、獲得したマイルによる座席やホテルなどのアップグレードが提供される模様です。
注目ポイント
個人的に注目したいと思ったポイントは、これまでも繰り返し触れてきましたが、「NFTのステーキングによるマイルの獲得」です。
NIKEやLVMHグループ、スタバなどでも触れてきたように、NFTはデジタルアイテムや物理アイテムなど、その対象物を資産化・流動化のようなことする際に活用されています。
ブロックチェーンゲームやDeFiの領域ではこれまで既にこうした動きは活発に行われてきましたが、航空会社や有力ブランドによる、こうしたこれまで中々資産化しづらかったものを資産化し、取引可能にしていくようなケースが徐々に増えていくのか気になるところです。
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