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天然真珠という血と汗から作られる涙

今週の週プレに俺の連載あること忘れていた。

今回のテーマは「真珠」である。

真珠も例によって様々な切り口で語ることができる。俺が今回選んだのは養殖真珠だが、もう一つ俺が興味を持った話がある。それは天然真珠を取るために搾取される人々のことだ。せっかくなのでこのnoteに書いておこう。

マタイによる福音書では「良い真珠を探している商人は持ち物を全て売り払ってそれを買う」と書かれている。天然真珠は美しいだけでなく、極めて希少な存在だ。フランス領ポリネシアでは、宝石品質の真珠を1個手に入れるために、1万5千個のクロチョウガイを開ける必要があったという。SSRの入手確率0.0n%が天然真珠の世界。それだけ入手困難な宝を手に入れるために、末端の労働者は酷使されることになる。

真珠採取シーズンになると、季節労働者や遊牧民、それに奴隷潜水夫たちがペルシア湾に集められた。彼らは大型船に詰め込まれて沖に出る。潜水装備は貧弱で、鼻栓と耳栓、指ガード、カゴ、ナイフだ。石の重りがついたロープを掴んで潜ったら、息が続く約1分間になるべく多くの貝を集める。限界が来たところで、ロープを引っ張って船上に合図し、引き上げてもらう。それを1日に最大で50回も繰り返すのだった。

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