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尻の魅力を進化の観点から考える

ちょっと前にこんなのを書いた。

これでは尻が人気の理由を文化の観点から書いている。だが、男性が女性の尻に魅力を感じるのは本能、つまり進化的な理由もあるはずだ。これに関するメモを書いておこう。

真っ先に思いつくのは、オスのサルはメスのサルの尻を見て発情するものであり、同じ霊長類であるヒトのオスも同じなだけという説である。ただ、これはサルが尻に注目する理由を考えると、あまり説得力を持たない。

これで書いた通り、オスザルはただの尻ではなく、性皮が真っ赤に腫脹した尻を見て興奮する。それは排卵のシグナルだからだ。今ならこのメスは妊娠の準備が整っていると分かり (サルが本当に分かっているかは怪しいが) 、発情して交尾しようとするのである。

それに対してヒトの尻はどうか。排卵でそうと分かる変化は無い。それどころか、当の本人でさえも排卵時期を把握していない。ヒトの排卵は隠されているのだ。さらに付け加えると、ヒトのように排卵で性皮が腫脹しない霊長類は珍しくない。近縁のチンパンジーはむしろ特殊な方で、ヒトに近いゴリラやオラウータンは腫脹しない種だ。こうなると、尻に注目するというのは、霊長類だから当然というのは間違っていると言える。

山極 寿一『人類進化論 霊長類学からの展開』Kindle 版. 図4-3

ではなぜヒトは尻を見るのか。手持ちの本だと、大きく2つに分けられる。比率と角度だ。

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