夢が夢だとわかった話

今日の母の話。
今朝目が覚めたら、部屋の中のものがひっくり返ってた。植木鉢も、机の上のものも。うわぁ地震があったんだ…と思ったけど、不思議とテレビは落ちていなかった。
と言うので、「夢だね。」と言ったら、「うん、夢。」
今日はさすがに夢だとわかったらしい。
その後もう一度寝て、起こされた時には朝ごはんの時間を過ぎていたから、顔も洗わずに慌てて食堂に行った、と。これも珍しい。

ボケが進んだかも

引っ越してから、ぼけがすすんだ気がする。このところ毎日出かけたがる。数日前、散歩に出ると言って出たのに電車に乗って元の施設に戻ってしまっていた。(しかもスーパーで買い物までしていた)一昨日は夕方自分でタクシーを呼んでしまったらしい。
父が入院した時、1週間でボケてしまったのだが(退院したら治った)それに近いものなのだろうか。環境を変えてしまったことが原因なのだろうか。

我を通したい母

自分の思い通りにしたい気持ちが、母は昔から強い。母の中には糸のように細い正解があって、そのまわりのものは全て許容できないのだろうなと感じていた。それでも昔はイライラしながらそれを我慢していたような気がする。
病気後、その我慢がなくなって、人のことはどうでもいいと思えるようになったんじゃないかと思う。そういう点では穏やかになった。
しかし自分自身のことはまだ自由にしたいのだろう。
わかるよ。お母さん。でもね、できないことも増えてるの。できないことをできないってわかっていないことが一番怖いのよ。

次にこんなことを言い始めた。(朗読口調)
「老人が道端で倒れて死んでしまいました。子供が3人もいるのに、誰も面倒を見なかったから、こんな悲劇が…。老人の尊厳を守りましょう。」
「それは怖い!外で行き倒れになったら後悔するね。お母さんには箱入りばあさんになってもらおう。一人で出かけさせんようにしよう。」
「かわいそうな老人が孤独死をしました。老人の尊厳を守ってください。ある程度、本人の意思を尊重しましょう。したいと思うことをさせてあげましょう。」
「あぁ、良かった!施設におったら孤独死はせんもんね。どこに行ったかわからんようになったら困るけー、やっぱり出かけるのはやめてもらおう。ある程度自由を認めて、洗濯は好きなだけしていいし、レクには参加せんでもいいよ。」

その後無言になり、しばらくすると切ってしまった。




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