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動物園横の小さな家#3

翌日2階のベッドから起き上がると、部屋の惨状が否が応でも目に入った。
昨日はそのまま眠ってしまったらしい。

重い腰を上げ家具などを元に戻し、割れた花瓶などを片付け始める。
一度掃除を始めると、徹底的にやってしまうのが僕の悪い(?)癖である。

あらかた埃取りまですませ、比較的荒れていないバス、トイレの掃除を始めようとした時…

"カチリ"と鍵の開く音が青い扉からきこえた。

その音に身構えると、今回はゆっくりと静かに開く。
それに油断をしていると(というのも変な話だが…)

想像だにしない2メートルほどの長身のゴリラがのそりと入って来た。

こればかりは危機感を感じるとともに動けなくなっていたのだが、当のゴリラは獰猛なイメージに反して紳士の様に会釈をした。

呆けて居る僕をよそ目に赤い棚を開き、香水を人間と同じ様に手首の内側につけ、それを耳の後ろに擦り込んでいく。
そして、自分の手で毛繕いをする。

手を洗うとまた僕に会釈をして青い扉から出ていった。

ものの10分から15分ほどの時間が一日中なのではないかというほどに感じた。


トイレには、香水の強い残り香が漂っていた。

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