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動物園横の小さな家#2
その珍客とは煌めく様な白い毛の仔馬だった。
その小さな動物はいななきながら、用を足し終えた私が目に入るやいなや突進して来た。
暴れ狂う様な仔馬は咄嗟にトイレを出て逃げる僕を追いかけて、2階を走り回りところ構わず家具を蹴り倒していく。
逃げ疲れて来た私に例の小声が聞こえてくる。囁く様なじいさなその声は悲鳴の様に聞こえる。
それが仔馬の挙動と一致すると気付いたのは少し経ってからだった。
「落ち着かないよー、助けてよー」
大まかに言えばそういう声だと思う。
というのも、ハッキリと聞き取れないからだ。
僕は意を決して逃げるのをやめ、向かって行く事にした。
ぶつかるのをすんでのところで横にかわし、頭と首を抑え畳み込む。
仔馬とはいえ、凄い力だ。
仔馬の体制を横に抑えると、ふと近くに落ちていたブラシを手に取って立て髪のブラッシングを始めると、仔馬はおとなしくなっていった。
30分くらい経った頃だろう。
馬は落ち着きを取り戻しすくっと立ち上がる。
頭を縦に何回か振り元の扉を出て行った。
お礼のつもりだったのか?と思いながら扉を閉めると鍵がかかる。
そして後ろを振り向くと現実に戻る。
片付けどうしよう…
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