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高橋是清に学ぶ、結果を出しながら清々しく生き抜くコツ - 『生を踏んで恐れず』を読んで

本の紹介者:江草 嘉和 https://note.com/yoshikazuegusa


こちら、ホリエモンのメルマガで紹介されていた本。高橋是清という人物に元々興味があったことに加え、最近読んだのが、ビジネス書や実用書ばかりだったこともあり、久しぶりに伝記を読んでみることにした。

目的もなく、ただの娯楽としての読書は、普段とは違う頭の部分(右脳?)を使っている感覚があり、たまにはこういうのもいいなと思いつつ、高橋是清の生き方ががなんとも味わい深く、示唆に富んでいて、想像以上の学びがあった。

高橋是清は、日露戦争での戦費調達で八面六臂の活躍を見せ、大蔵大臣として昭和2年の金融恐慌を終息させ、日銀総裁、大蔵大臣(7回も!?)、総理大臣、農省務大臣、商工大臣、農林大臣を歴任。明治から昭和にかけて
何度も国難に取り組んだ偉人であったが、2・26事件で凶刃に倒れる。相性は「ダルマ」。

彼の人となり、仕事なりをよく表していると思う言葉がこちら。

「一足す一が二、二足す二が四だと思い込んでいる秀才には、生きた財政は分からないものだよ」

そんな是清の生涯から私が学んだポイントは以下の3つである。

1.着眼大局、着手小局
2.芸と友人が身を助ける
3.執着なく、清々しく


1.着眼大局、着手小局

彼の成し遂げた仕事の大半は、「とても無理!(ムリゲー)」と周りから言われていたもの。しかし是清は諦めるのではなく、大局観で問題をとらえつつ、小さな一手から始め、それを積み重ねて、問題を解決していった。

最初のムリゲーは、若くしてアメリカに留学した際、気づかないうちに奴隷契約書にサインしてしまい、奴隷として売られたこと。契約社会のアメリカにおいて、弱者である日本人が、そこから巻き返しを図るのは絶望的だったかもしれないが、是清は悲観的になり過ぎずに、打てる打ち手を着実に実行して、奴隷の身から解放された。彼の成し遂げた、チリの炭鉱開発、日銀新館の建築、日露戦争の戦費調達も、基本的には同じ構成のように思える。

すなわち大局観を持って現状を悲観し過ぎず、打てる行ってから始め、それを繰り返していくといもの。ポイントは、ただ努力を続けるだけでなく、大局観をもつからそれが可能になる、ということかな。

2.芸と友人が身を助ける

幕府御用絵師の私生児として生まれ、仙台藩の足軽の養子になった、という生い立ちからも想像できるように、40弱で横浜正金に勤め始めるまでの是清の生涯は、安定とは程遠い、波乱万丈そのものだった。特に20代前半は、
本のページを捲るたびに違う職業になっているという印象を受けるくらい、職を転々としていた。決して損得勘定ではなく、あるべき道、ゆくべき道が見えたら、直ぐに方向転換をする。そうしたキャリアは、当時すら珍しかったのではないだろうか。

なぜ、それが可能だったかと言うと、ひとつは「芸」。具体的にはまずは英語力であり、後々は問題解決力。これがあるので、どこに行っても重宝される。もう一つは「友人」。

「無頓着に冗談を口にし、物事に筋を通すために議論を辞さない」

そんな是清を厭う人もいたが、その何倍もの是清ファンがいて、彼の人生を応援している。


3. 執着なく、清々しく生きる

現代と比べると、この時代の人にはその傾向が強いのかもしれない(もしくは伝記だから美談になっているかも。。。)だが、私利私欲を感じさせなく、国のため、人のためにという基準で意思決定を行っている。それもかなり若いうちから。まだ若いお金がないうちから、蓄財することなく学校にお金を寄付したり、チリの炭鉱では是清個人の名誉が傷つくリスクがあるにも関わらず、国のために事態を明るみにしたり。

炭鉱の件では、実際に彼の名誉は傷つき、金銭も失った。豪邸を売却するしかなかった是清は、元あった豪邸の隣の小屋に引っ越した。「恥ずかしいので、せめて少し遠くに移りたい」という家族の意見は聞かず、「隣なら引越しが楽ではないか」という一言で。

そんな彼だからこそ、引退しても何度も国政に引き戻されたのだろう。高橋是清の述べるところに私利私欲はない、というのは党派を超えた共通理解だったのではないだろうか。

「ただわずかに誇りうるものがあるとすれば、それは、いかなる場合に処しても、絶対に自己本位に行動しなかったという一時である」

こう言い切れる人生、なんとも清々しい。

晩年、是清が乞われて大蔵大臣を務めたときは83歳。この時、自分が暗殺される可能性があることも十分承知して、言葉を変えれば自らの命への執着もなくして、ただ国のために公務に立ち向かっていかれた。最後は思わず敬語を使ってしまうほど、リスペクトせずにはいられない方だと思う。
大河ドラマになったら、何度も涙するかもしれない。。。

執着をなくしたレベルの仕事、、、いつか自分もできる時がくるのだろうか。


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