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丁寧な暮らし2.0 〜限界をプレゼント〜 ヨックモック・シガールの場合


こんにちは。
Noteを定期的に更新する習慣はないのですが
先日ふと思い立って
毎週火曜日と金曜日に
なにか文章と絵を公開してみようと思いたって
実はここのところ火曜日と金曜日に
更新しています。

何らかのトレーニングの様なイメージです。
目安としては3ヶ月くらい続けるつもりなのですが
こうしてはっきり火曜、金曜と宣言したとたんに
更新が止まると言うのは私の過去の経験では
とてもよくあることなので、そうなったら
「ああ、そうなったな」と
思って嘲笑ってみてください。

いろいろあとから言い訳すると
後付けになるので先にお伝えすると
ここでいう火曜日は、
月曜日から日付が変わった瞬間の深夜0時から、
さらに翌日、日付が変わって
水曜の朝10時くらいまでを指します。
独自のルールですがその様に決めております。
金曜日も同様です。

ちなみになぜ火曜、金曜かというと
その昔、毎週火曜と金曜に発売される
アルバイト募集雑誌がありまして
それに倣ってみました。

★さて、ここまでが前置きです。

皆様はヨックモックのシガールという
お菓子をご存じでしょうか。
おそらくかなり多くの方がご存じで
きっと召し上がったことがあるという方も
すごくたくさんいらっしゃると思います。

もし知らない、という方がいらしても
実物を見たら
「ああこれか。これなら知ってる」
と思われることでしょう。
(トップの画像参照)

私も子供の頃からこのお菓子を
いろいろなところで目にして、
いただいてきました。

これまでの人生でシガールを
たくさんいただいたので
正直申し上げまして
すこし前まで若干飽きていた
時期もありました。

しかしながら、飽きたと言っても
どこかでお茶菓子などで
シガールを提供していただいたら
むしゃむしゃと食べ、
何本も食べ、
出されたら出されただけ食べ
もっとないのか!と
喉元まで不躾な言葉が出かかった
ところで、最後の1本のシガールを
その言葉と一緒に紅茶で胃の奥まで
流し込むと言うことをしていました。
控えめに言って大好き。

しかし、好きと認識したり
好きな食べ物として誰かに伝えるには
あまりにも我々の生活の一部に
なり過ぎている。
それこそがヨックモックのシガールだと
思います。

白いご飯のようですね。
あるいはビートルズのように
世の中に浸透しつくしたもの、と
言えるかもしれません。
異論はあると思いますが
そんなことを思いました。


そんな風に
日々むしゃむしゃむさぼりつつも
「若干飽きた」などと不遜なことを
思っていた私は、
あるときシガールに関するとても重要な
エピソードを目にしたのです。

それは、ヨックモック公式の
ネット記事だったと思います。
(違ったらごめんなさい)
シガールを発明した時の
お話でした。

シガールを発明した方は、
このお菓子を作る際、
その当時貴重だったバターを
惜しみなく使用することに
したそうです。
しかし、バターを入れすぎると
お菓子が柔らかくなり過ぎて
あの筒状の形を維持できず
崩れてしまう。

そこでシガール発明者は
何度もテストを繰り返し
お菓子が形を保っていられる
限界までバターを
そそぎ込むことに
したそうです。

限界まで!
バターを!
限界まで!

たまらなくないですか?
私はこの記事を読んでからすぐに
青山のヨックモック本店に駆け込み
シガールを一箱買って
近所の公園でむさぼり食べました。

形が崩れる!
限界まで!
バターを!
と、思いながら。

★それからというもの
久しぶりに会うことになった知人や
仕事で手土産が必要なときなどは
必ずシガールの詰め合わせを持参する様に
なりました。

そして、手渡す際には
もちろん、必ず
熱意のこもった声で
(あるいは熱意のこもってしまった声で)
「このシガールというお菓子には
形が保てなくなる限界まで
バターが使用されている!」
ということを伝えておりました。

形が崩れる!
限界まで!
バターを!

バターを!
限界まで!
バターを!

紙袋を渡しながら
そのように叫ぶ私に最初は
相手もたじろぐのですが
私のシュプレヒコールにも
似た叫びを聞くうちに
大抵の相手は
多くの唾液の分泌を
抑えられなくなるようです。

それを感じ取ると私は
いつもそこからさらに強く叫びます。

形が崩れる!
限界まで!
バターを!
限界まで!
限界まで!
限界まで!
バターを!

そうするともう相手は
いても立ってもいられなくなるようで
「ちょっと今いただいてみようかな」
となる方が大体6割。

その場で包装紙を破り
缶を開けて1本、シガールを
口に含みます。
そうなったらもうしめたものです。

その方はシガールを食べる手を
止めることができなくなり
もう1本、もう1本と食べはじめます。
この頃にはすでに周りが見えなくなっており
表情は恍惚として
自分がどうしてシガールの入った缶を抱えて
それをむさぼり食べているかわからない
くらいの陶酔状態を迎えます。

この段階で私はいつも相手から
促されることもないまま
相手の抱えた缶の中のシガールに
手を伸ばし
一緒にそれをむさぼり食べます。

ほろほろ、
ほろほろろ、
と口のなかで崩れる
シガールと、
あたりいっぱいに広がる
バターの香り。

たまらないものがあります。
「飽きていた」のが嘘の様です。
いや、実際は飽きていたのは
表層的な部分です。
見飽きてしまい、
その存在があたりまえになりすぎて
しまったので飽きた様な気がしていた
だけでした。

飾り気のない、
一つの生地だけで作られた
シガール。
しかし、その筒状のお菓子の中には
いつでも私たちを魅了してやまない
味と香りがあります。

形が崩れる!
限界まで!
バターを!
限界まで!
限界まで!

どうかこの言葉と共に
ぜひシガールを改めて味わい、
そして誰かにこの限界の塊を
プレゼントしてみてください。
そこには限界の先にある、
見慣れた様で新しい
恍惚の味わいが広がっていることでしょう。

おわり。

ここまでを書こうとしていた
4/11(木)。
私の家のポストに
一枚のハガキが投函されました。
それはヨックモック青山本店様からの
私への指示でした。
「今手元にあるプラのカードを
LINEのデジタル会員証に切り替えよ」
というものでした。
ああ、変えますとも変えますとも。
あの限界を提供し続けていただけるのなら
私は個人情報でも
パスワードでもなんだって
ヨックモック様に捧げる覚悟です。
ありがとう、ヨックモック。
ありがとう、シガール。
限界を、ありがとう。
シュークリーム、売り切れで
食べられないことが多いけどありがとう!

限界まで!
バターを!
限界まで!
バターを!

(了)

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