庭
昔、化石が好きな子供だった。
しかしそれは高価で簡単には買うことができないので
ある日、僕はそれを自分で作ることにした。
食事のあとで母親に魚の背骨をもらって、庭に埋める。
そして、すぐ掘り起こしたい気持ちをおさえにおさえて我慢する。
半日。
本当はもっと待つべきなのに、
やっとのことで半日我慢してから掘り起こす。
もちろん、まだ化石にはなっていない。
そこで、次に丸一日待ってみる。
その次は2日待ってみる。
そんなことをしている間にも
地球のどこかで、ごくごく自然に
ゆっくり、ゆっくりと新しい化石が作られている。
僕は全く見当はずれなことをしているようでその実、
僕自身も、僕の食べた魚の骨も
ゆっくり、ゆっくりと化石に近づいているのだった。
(了)
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