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ちむどんどん 第43話 ルートB のぶ子沖縄に昇る。

こちらは
第42話を見た後に
兄・けんしゅうの行動に
我慢できなくなった
視聴者の私が正規の物語とは
別の(ルートB)として
書いたいわば二次創作です。
けんしゅうのこれまでの
マイナス値を0地点に戻し
気持ちよく物語を終えるには
ビジネスで成功して
家族を豊かにするなどでは
到底回収できない程の
彼のこれまでの所業が
あまりに心地悪いために
生まれてしまった物語です。
気分を害されたらごめんなさい。


今日も飽きることなく
あらすじを。


大通りの歩道で
紅茶豆腐を売る
兄・けんしゅう。
そのすぐ近くで
カバンをひったくられる
おばあちゃん。
「大金が!」
と叫ぶ。

大金と耳にして
追いかけるけんしゅう。
「大金大金大金」
と呟きながら追いかけるが
なかなか
追いつけない。

ふと思い出したように
靴を脱ぎ
裸足で追いかける。

「おれはアベベだー!」

あの日の、
少年時代の運動会と重なる
けんしゅうの姿。


ひったくりから
カバンを取り返して
おばあちゃんに荷物を届ける。

おばあちゃんは中身を確認するが
入っているのは700円ほど。
少ないな、とお礼が期待でき
ないことでがっかりする
けんしゅう。

「これはお礼です」
と100円札を差し出す
おばあちゃんの手をすり抜け

「こっちさね?」

と、財布から500円札のほうを
奪うけんしゅう。
「全部なくなるかところ
だったんだからさ」

やっぱり
どうしようもないやつだ
と呆れる視聴者の私。


しかし、
そんなやりとりをする
2人の近くで
ボール遊びをしていた
子供が道路に飛び出す。
そこへ車が突っ込んでくる。

自分のこともかえりみず
子供を助けて
事故にあうけんしゅう。
その後、意識不明の重体に。

しかし、
なんとか一命をとりとめる。
包帯ぐるぐるの状態で
口もきけないまま
病院のベッドで回復を待つ。


のぶ子は苦心の末、
創作のおでんをあきらめて
おでんの基本を学ぶ。

その上で
屋台という特性上
酔っ払いの口に合うように
少しだけアレンジして
塩加減を濃くし
お酒によく合う
定番の味を作り上げて
店は連日黒字となる。

のぶ子ののびのびとした
接客も評判になり
店は繁盛する。


フォンターナに戻った
のぶ子を
オーナーとスタッフ達は
笑顔で迎え、
のぶ子に新しい持ち場を
与える。
事実上の出世である。


しかし、驚いたことに
のぶ子はそれを断る。

「うちには、、私には
まだ早いとおもいます。
それに、、、」

「私にはこのお店も、
この街も、合っていないと
気がつきました。
お店をやめて、沖縄に帰り、
自分なりの沖縄料理を
作っていこうとおもいます。
親切にしていただいたのに
勝手ばかり言ってごめんなさい」

「どうしてそう思ったの?」
と、大城オーナー。

「フォンターナにいるのに
醤油味の前菜を作ったり、
おでん屋台でイタリアのアレンジを
したり、
私には軸がないとおもいました。

それで、私の軸は、
大事なものは何かな、と真剣に
考えたら沖縄だとおもったんです。
沖縄の料理だとおもったんです。

それも本土で作る沖縄料理でなく
沖縄で作る沖縄のための沖縄料理を
もっと沖縄で勉強して
作りたいとおもったんです」

「わかりました」
とオーナー。
受け入れるの?と、
不安な表情のスタッフ一同。


オーナーは自室の奥から
木箱を持ってきて
それを広げる。
中にはよく手入れされ
「比嘉房子」の文字の
刻まれた包丁。


オーナーは
かつて自分がある人物の下で
のぶ子の父と料理の修行を
したことを話し始める。

修行時代、
一番上の兄弟子が
県人会長・鶴太郎、
その下に比嘉房子、
その下の弟弟子が
のぶ子の父だった。

「まさかや!県人会長も
オーナーもお父ちゃんも
同じ先生に!?」

「その先生、誰だかわかる?」

首をふるのぶ子。

「ヨシさんよ」

「まさかやーーーー!!!!」

おでん屋の我孫子ヨシさんが
みんなの料理の先生だったのです。

その後、
鶴太郎は県人会長になり
会員費を収入源にして仕事をしなくなり
房子はイタリアに渡り修行し
のぶ子の父は今ののぶ子と同じように
沖縄に自分のアイデンティティを感じて
帰っていったが、
元々仕事が好きではないので
料理はやめて
主に妻の農作業を手伝う形で
暮らし始めたとのことだった。

ヨシさんは
料理の腕は確かだが
商売はあまりうまくなく、
腰を痛めて引退。
息子の仕事が傾いたので
おでん屋をはじめたが
序盤でつまづいたので
大城オーナーに助けを
求めたのだった。


オーナーは言う。
「あなたが一人前になっても
これまでのあなたのままなら
この包丁は渡さないつもりでした。
でも、あなたは変わった。
変わらないまま変わった。
そして沖縄を選んだ。
のぶ子はのぶ子のままで
成長しました。
だから、これを渡します。
お父さんの包丁と一緒に使いなさい」

言葉を失うのぶ子。


事故の後
助けられた子供と
その両親が
けんしゅうの病室に
お礼を言いに来た。

しかし、顔まで全身包帯だらけの
けんしゅうは深い眠りの
底にいて直接お礼を
伝えることは叶わない。


そこへかつてけんしゅうが
お金を借り逃げした
ボクシングジムのボクサーたちが
お金を取り立てにくる。

子供を助けたことで
けんしゅうの名前が
東洋新聞に掲載されたためである。

記事を書いたのは
大野愛さんだった。
(よかれとおもって書いた)


顔も包帯だらけのため
けんしゅうが寝ていることに
気がつかないまま
ボクサーたちは
口々に返金の要求をして
けんしゅうをののしった。

返事をしないので
彼らは「タヌキ寝入り」
とまで言うのだった。

近くでその様子を見ていた
助けられた子供の
父親が、ボクサーたちに声をかける。

「そのお金、わたしに払わせてください」


後日、なんとか回復して
退院となったけんしゅう。

ボクサーたちに借金返済できたことに
ついて
「やっぱり日頃の行いが良いからさあ」
などと呟き、
視聴者の私をいらだたせる。


けんしゅうが病院から出たところで
道路の向こうにのぶ子の姿。

兄の退院を喜び、その姿を見つけた
のぶ子は
「にーに!!」
と手を振りながら
道路を横切って兄に駆け寄る。
沖縄に帰る報告もしようとおもっていた。


しかし、
そこに脇見運転のトラックが
突っ込んでくる。
叫ぶ、のぶ子。
あやうし、のぶ子。


事故から回復し退院したばかりで
満身創痍のけんしゅうだが、
さすがに妹を見捨てるわけには
いかず、
駆け出してのぶ子を
つきとばし、
助ける兄・けんゆしゅう。


再度けんしゅうは
病室で意識不明の
重体に。



一方沖縄では
不足の事態が起きていた。
以前から健康面で
不調の多かった歌子は
会社の帰り道
森の中で倒れてしまう。

しかし、幸運にも
ストーカー行為に及んでいた
同僚・花城真一によって病院に
担ぎ込まれる。


医師の判断で緊急手術を
受けることになるが
歌子の手術に輸血が足りない
ことがわかる。
僕の血を使ってください。
とストーカーが言うが
血液型が違うことが判明。
(ここで空気を読まない劇伴の
チャンチャン!というオチの音)


血液が足りないことで
医師が困り果てていると
母が言う。

「けんしゅうなら、、、」

そう、けんしゅうと
歌子は同じ血液型
なのである。


母が電話をかけ
けんしゅうが意識不明の
重体であると知る。

「そのまま運んでください」

と、東京の病院のスタッフに
けんんしゅうの空輸を依頼する。

反対する、
東京の病院スタッフと
沖縄の医師。

「重体で口もきけず
本人の意思も確認できないのに
輸血させるなんて」

母は言う。
「けんしゅうは優しい子です。
みんなに色々言われることも
あったけど、良い子なんです。

小さい頃からずっとずっと
いい子でした。
そんなけんしゅうが
妹への献血を断るはずがありません。
先生、お願いします」

と言って本人の意思を
確認せずに勝手に
輸血を提案する
作品中最もサイコな母。

歌子は助かり、
けんしゅうは落命する。


家族3人で星空を見ながら
りょうこが言う。
「にーに、いつも
星形のバンドつけてたけど
本当にお星様になったんだね。
沖縄の立派な一番星だね」

「事故の男の子ものぶ子も
歌子も救って、えらいねにーに」

歌子が「翼をください」を
歌い出す。

「にーには歌子に命をくれて
歌子はにーにに翼をあげたんだね」
と母。サイコパス。



のぶ子が
沖縄へ立つ前日。

「オーナー、、、いや、
大叔母さん、
沖縄に帰って
レストランを出店する為の
お金を、貸してください」
のぶ子が言う。

ポカンとするオーナー。
まさかや、、、とニノ橋シェフ。
のぶ子が続けて言う。

「冗談です。
自分でなんとかします。
この「自分でなんとかする」
ってことは、
うちが、、じゃなくて
私が、、この店で
皆さんから教えていただいた
最も大切なことのひとつです」


「のぶ子、行っちまうのかよ〜」
と、元祖ストーカー・さとる。
「俺も帰る!」
と息巻くが、
「さとるは一人前になるまで
沖縄帰ってきちゃダメさ!
帰ってきたら友達やめるから!」

自分にも人にも厳しくなった
のぶ子。
さりげなく「友達」という
言葉を使って
ストーカーの牽制にもなれて
大人になったのぶ子である。


空港に見送りに来る
和彦くんと愛さん。
(さとるは仕事があったので
仕事をやすんだら友達やめると
言われて見送りに来れなかった)

またな、と、和彦くん。
またね、とのぶ子。
別れを惜しみ
涙ぐむ愛さん。
のぶ子が言う。

「ありがとう。
うち、自分のことばっかりで
ずうずうしくて、
人に頼ってばかりだったから
結局、東京で仲良くなれたのは
鶴見のみんなとお店の人たちと
愛さんと和彦くんだけだった。

今思うといつも随分自分勝手で
横柄だったよね。
でも、だからこそ、
こっちにいる間にあたたかく
付き合ってくれた
鶴見やフォンターナのみんなや
2人のありがたさが
やっと本当にわかるようになったさ。
東京に来てよかった。
本当によかった」

和彦「ほとんど鶴見だっただけどな」
愛「もう、いじわる言わないであげて」
のぶ子「ふふふ。新婚旅行は沖縄来てね」
赤くなる2人。

「あとね、わたし実は
和彦くんのこと
昔、少しだけ好きだったんだよ」

少し困った顔をする2人。

「あ、心配しないで。
今はなんともおもってないから」

そういうとこだぞ、
という顔をする和彦。

「今、好きな人がいるの。
お付き合いもしてるさ。
遠距離になっちゃうけどね。
フォンターナの矢作さん」

と恋人の名を口にするのぶ子。

「沖縄の頃の和彦くんに少し
似てるんだよ。
顔も性格も。
不器用で口下手でひたむきなの。
今の和彦くんは別人みたい。
あかぬけちゃってさ」

と、舌をだす、のぶ子。
和彦「遠距離は大変だな」

のぶ子「大丈夫。お互い手紙いっぱい
書くって約束したの。
新しいレシピ教えあったりするさ。
もう電話は控えるよ。
あれで実家の借金2倍になったからさ」

無邪気に笑うのぶ子。
笑うな、のぶ子。


沖縄に帰って
父とけんしゅうに
お線香を上げてから
家族にご飯を作るのぶ子。
りょうことその子、
おじさん夫妻も
比嘉家に駆けつけた。

「はいできたよー」
と、のぶ子が作ったのは
フーチャンプルーや
沖縄そば。

「えー!東京の
イタリアンが
食べられると思ったのに!」
と、姉・りょうこ。

「子もう、
どこにそんなお金があるの。
ある材料で作ったよ。節約節約」
とのぶ子。

しかし、ひと口食べて
みんなの顔色が変わる。

「まさかや!すごく美味しい!」
「前も美味しかったけど
上手になったね、のぶ子」
「まだまだよ。もっと美味しくなるよ。
修行中だからさ」
奇跡的に謙虚になったのぶ子。


その夜、りょうこは
のぶ子に離婚したいと
おもっているという話をする。

「のぶ子ならわかってくれるよね?」

「ねーね、いつまで
子供みたいなこといってるの?」

「金吾さんをつっぱねて自分で
選んだ相手なんでしょ?
子供がいるんでしょ?
相手と合わなくて
離婚するのは仕方ないけど
ねーねの言い草が気に入らないさ。
女手ひとつで育ててくれた
お母さんの何を見てきたの?
育児がつらい?
女の立場が弱い?
それはわかるよ!
でも今は1970年代で、
あんたは令和の女じゃないんだよ!
好きな男と結婚しといて
好き勝手いってんじゃねえよ!」

りょうこ「のぶ子……」

「ごめん、言いすぎた。
ねーねの気持ちも考えなきゃね。
離婚は反対しないさ。
でも、約束して。
石川の家からお金は
一切貰わない。
ねーねの勝手なんだから当たり前でしょ?
あと、金吾さんにも絶対頼らないで」

りょうこ「ダメなの?」

のぶ子「ダメにきまってるさ!
金吾さん、南高の料理部出身の
屋良さんと
結婚したんだってね。
今一番幸せな時さ。
うちの昔のライバル。
金吾さんを
射止めるなんて見る目あるよ。
そんな2人の邪魔をしないで。
まあ、もう金吾さんの目には
ねーねは映らないと思うけどさ。
でも、絶対声かけたらダメだからね」

「じゃあ、どうすれば…」

「どうすれば?
そんなこともわからないのに
離婚だけ考えてたの?
あの親にしてこの子ありだね。
うちもだけどさ。
でもお母さんは自分で
働いてるからさ。
親権は石川さんに
渡して、ねーねは
明日から屋台引いて
自分の食べる分は自分で
稼いでね。
屋台の作り方と
おでんのレシピだけは
教えてあげるからさ」


姉に説教しつつも
のぶ子にも大してお金はなかった。
子供の頃和彦くんたちと
食べたレストランに
就職しようとするが
店はもう閉店。


本土復帰後の盛り上がりの
喧騒はすでにそこにはなく、
サンセットバーガーも
閉店間際との噂。


そこでのぶ子は思い立ち
サンセットの店長に話を持ちかける。

「わたしに店をやらせてくれませんか?
家賃は毎月売り上げの2割を払います」

「ダメだよ。4割もらわなきゃ。」

「じゃ、いいです。他探します」

「わかったよ。悪かった。それでいい」

「じゃあ、2割で」

「でも昔けんしゅうが店を壊したときの
修理代と営業補償の分を返金してくれるまでは
あと2割もらうよ」

「まさかや!まだ返してなかったの?
すみません」

ちゃんと謝れるようになったのぶ子。

出店のための改装費用に頭を
悩ませていると
おじさんおばさんがやってきて
お金を貸してくれる。
いやいや貸すわけではない。
先日食べたのぶ子の料理を見込んで
お店が繁盛すると踏んで投資を
すると言ってくれたのだった。

「はじめて自分からお金を
貸したいとおもったよ。
いつもはむしり取られるように
もって行かれたからね」

こうして、
沖縄レストラン
「サンライズ・フォンターナ」
オープン。

ひが、のぼる。

シン・ちむどんどん(終幕)

りょうこはけんしゅうに
線香を上げに立ち寄った我那覇と
再婚し、2児をもうけるが
子供に「晴」の字をつけた理由が
のちに明らかになり再度離婚。

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