シーラカンス

シーラカンスの存在を知った時、とてもロマンを感じた。

小学1年生だった。

図書館で本を借り、家で本を開き、

恍惚としながらその太古の魚に思いを馳せた。

食事中、父にシーラカンスを知っているかと訪ねてみた。

父は言った。

「知ってるもなにも、お前今食ってるじゃないか」

その日のおかずは白身魚の切り身だった。

翌日、僕は学校でシーラカンスを食べたことを自慢した。

ともだちはみんな信じてくれた。

シーラカンスを知らないともだちも事情を聞いてとても驚いていた。

これが僕の、銀ダラの想い出です。

(了)

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