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なぜ今、『パーソナル・トランスフォーメーション(PX)』なのか?

 12月4日に新刊『パーソナル・トランスフォーメーション コロナでライフスタイルと働き方を変革する』(KADOKAWA)が出ます。なぜ、僕がこの本を出したのか、書き記しておきます。


コロナは、人々の意識を根本から変えた

 感染者の数が過去最大になるなど、コロナの第3波の到来が報じられています。僕はコロナが始まった頃からずっと言っていたのですが、今になってこのことを改めて実感し始めた人も増えているのではないかと思います。

「もう、元のような生活には戻れない」

 仮に今後、コロナが終息したとしても、コロナとは異なる感染症がやってこないという保証はどこにもありません。もうみんな、気づいてしまったのです。こういうことが、いつでも起こり得るかもしれない、ということに。

 となれば必要なことは、コロナに、もっといえば、感染症に対応した生活に変えていくこと。ニューノーマルとか新しい生活様式とか、いろんな言葉で言われていますが、それは当たり前に広がっていくはずです。

 なぜなら、前提が変わってしまったから。コロナは、人々の意識を根本から変えてしまったからです。

変わることによって成功している企業

 人々の生活や社会が大きく変わっていく。そうなれば、そこで収益を得ている企業も変わっていかざるを得ません。そうでなければ、存続ができないからです。飲食業は厳しくなったと言われていますが、たしかにリアル店舗だけでは厳しいかもしれない。

 ただ、もともとテイクアウトを充実させていたり、お取り寄せの物販需要にしっかり応えるなど、事業を多角化していた会社は、実はそんなに困っていないのです。むしろ、巣ごもり需要でリアル店舗以外の事業が急伸していたりする。

 また、僕もやってみてハマってしまった、自分で焼鳥体験ができる焼台付きの高級焼鳥お取り寄せセット「ベランディング鳥幸」のように、コロナで外に出られないからこそ、家でできる食をエンターテインメントにして大反響を呼んだ会社もあります。

 驚くべきことに、あっという間に数千台が売れ、11月末にはその合計が8000台に達しているのです。焼鳥を焼くための焼台がこれだけ売れるとは、誰に想像ができたでしょうか。

 そして焼台があるわけですから、「また、おいしい焼鳥を買って家で焼こう」ということになる。継続的な購買にもつながる新しいビジネスを生み出せたのです。

 しかしこれも、コロナが来たからこそ、生まれたビジネスでした。

一人ひとりは、どう変わるべきなのか

 世の中の変化に先取りしたり、いち早く対応したり、これをチャンスに変えてしまった会社があるわけですが、実はこれは個人でも同じです。世の中や社会、さらには会社が変わってしまっているのに、個人が変わらなくていいはずがない。

 もっといえば、コロナがやってきて、これまでの常識がどんどん破壊され、ゼロリセット化されています。まだ正解がないのです。まったくのゼロからヨーイドンの新しい競争がスタートしているのです。

 ここでうまく変わっていくことで、これからの新しい時代を有利に走れることになるのは、言うまでもありません。逆に、今は先頭を走っていると思っていたのに、変われないままに時代に置き去りにされてしまう危険もある。

 まさに、なかなか変われないことで、没落してしまう会社があるように。これからは、そのスピードがますます早くなっていくでしょう。それこそコロナがこれだけ騒がれているのに、一部の業種を除いて、会社に出社を強制するような会社に未来があるとはとても思えない。そんな会社に行きたいという若い人はいないでしょう。そうなれば、人が採れずに滅んでいかざるを得ない。

 では、一人ひとりは、どう変わるべきなのか。それをコロナ禍の中でずっと考え、書籍にまとめたのが、新刊『パーソナル・トランスフォーメーション』なのです。

なぜノマドライフやデュアルライフができたのか

 コロナが騒がれ始めたとき、僕の中に真っ先に浮かんだなのは、この思いでした。

「これは何かを変えろ、というサインだな」

 確たる理由があったわけではありません。本能的な直感とでも言うべきもの。これまでも幾度か、僕は大きな「トランスフォーメーション」を経験していました。それを、わざと自分の中に起こした。

 東京の家とハワイの家を、同時に引っ越してしまったこともあります。ときどき大きく自分を変えることによって、また次の新しいステージに進める。それを実感値として持っていたのです。

 コロナがやってきてから、僕は矢継ぎ早にいろんなものを変えていきました。オフィスを解約したり、それまで避けていた動画配信をやってみたり。
 いろんな取り組みを進めましたが、最も大きかったのは、オンラインサロンをスタートさせたことだと思います。それが、Honda.labです。

 オンラインサロンはずっと誘われていましたが、まったく触手が動きませんでした。しかし、これもまた「何かを変えろ」だと思いました。
 食わず嫌いはダメだろうと思って、試しに期間限定でトライアルをやってみたのでした。そうすると、面白いことがわかったのです。

 メディアでの僕の発信は「1対n」になるわけですが、サロンは「1対n対n」が起こる。自然発生的に、僕を離れて「n同士」で面白いことが起きていったのです。

 僕は人生は壮大な実験だと思っています。最初から答えがわかっていることをやっても、まったくつまらない。それよりも、自分なりにぶつかって新しいものを見つける。ノマドライフもデュアルライフも、そうやって実現させたのでした。

 そしてサロンは、こうした実験をみんなで考え、みんなでやっていける面白い場だということに気がついたのです。

会社のあり方が劇的に変化していく

 新刊『パーソナル・トランスフォーメーション』は、このHonda.labが大きな役割を果たしました。コロナでさまざまな報道が行われていましたが、サロンのメンバーによるアンケートでの声によって、コロナがもたらした意外なリアルに僕は気づくことができました。

 実は収入が増えていた人がいたこと。新しいことを始めた人の多さ。時間をうまく使えるかどうかが問われたこと。コロナが人間関係を整理させてくれたこと。中抜きが通用しなくなる。エンタメ系は苦戦している、は必ずしも正しくないこと……。
 僕の中で、最も印象的だったコメントがこれです。

「時間をお金に換えていた人たちは収入が減り、価値をお金に換えている人たちは収入が増えた」

『パーソナル・トランスフォーメーション』では、たくさんのサロンメンバーのコメントを紹介しています。これを読むだけでも、マスメディアではまったく報じられなかった、本当のコロナのリアルが見えてくると思います(本の巻末には、アンケートのデータすべても掲載しています)。

 そして僕が気づいていったのは、会社のあり方が劇的に変化していくということでした。会社の役員が地方移住してしまった会社がありました。デジタル化が進めば、オープンな場での評価にさらされます。新しい職業が生まれ、古い仕事はなくならざるを得ない。会社も組織すらも、いらない。そんなビジネスもすでに生まれていました。

 個々人に求められるものも、これから急激に変わっていくということです。必要なことはセルフコントロールであり、個人のブランドづくりをはじめとした、大胆なトランスフォーメーションだと改めてわかったのです。

生活や人生を、もっと見直す必要がある

 一方で、人間関係やプライベートも変化していく。会社に行かなくなれば、「強制的で消極的な人間関係」はなくなります。外に積極的な人間関係をちゃんと持っている人はいいですが、「会社人間」だとこの先は人間関係すら作れない可能性がある。
 人間関係も大きくマインドセットをしていかないといけないということです。

 また、オンラインでのコミュニケーションが当たり前になれば、オンラインならではの問題点にきちんと対峙しておく必要がある。

 とりあえず会社に行っていれば良かった時代は、もう終わりました。人生の大部分を会社で過ごすというわけにはいかなくなったのです。個々人はもっともっと主体的にならないといけない。会社はあなたの人生を、もう見てはくれないのです。

 プライベートももっと見つめ直す必要があります。そのキーワードも、サロンのメンバーがくれています。

「収入が減っても、実は困らなかった」

 注意しないといけないのは、これは選択と気づきだということです。「節約」ではなく「選択」。自分の意志で生き方を選ぶことが求められているということです。
 とにかく収入があればいい、という生き方では、もう本当の意味での豊かさは得られない。それは、幸せ度の高い北欧の人たちが証明してくれていることでもあります。こうした「幸せ感」も変えていかないといけない。

 増えた時間をどう過ごすか。最も大事な居場所となる家をどう考えるか。誰も正解を持っていない中で、どんな意識が求められるのか……。

 改めてコロナの危機がまたやってきている今、ぜひ手に取って読んでみてほしいと思います。もう変わらざるを得ないのです。問題は、どう変わるか、です。
 そして、自分を変えられるのは、自分だけなのだと早く気づくことです。

本田直之

(text by 上阪徹

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