AM停波 ひとつの歴史が終わる日
「あー、あー、聞こえますか」
「JOAK、JOAK、こちらは東京放送局であります。こんにち只今より放送を開始致します」
日本におけるAMラジオ放送は、1925年3月に開始されました。
波長は中波 375m(周波数800kHz)、空中線電力(出力)約220Wでした。
社団法人東京・大阪・名古屋放送局は翌年の1926年に「社団法人日本放送協会」として統合された。これは実質的には政府機関的な性格を持っていた。「全国鉱石化」(日本全国のどこでも鉱石受信機によるラジオ聴取を可能とするインフラの整備)を目標に日本各地に放送局を開設したほか、外地の南樺太(日本領、豊原放送局)や南洋群島(日本領、パラオ放送局)にも置局した。さらに、朝鮮(併合中)には朝鮮放送協会、台湾(日本領)には台湾放送協会が設立され、日本放送協会の番組を多く中継した。
視聴世帯数は、1943年3月には700万世帯を突破した。街頭ラジオもあった。
1955年には東京通信工業が日本初のトランジスタラジオを発売。
1958年11月にはラジオ受信契約数が1481万件を越えピークとなったが、この頃より街頭テレビや商店などにテレビが普及し始めた。
AMラジオ放送の周波数は、1978年11月23日朝5時より、それまで10kHz間隔だったものがすべて9kHz間隔へと変更されました。以降、現在に至るまでAM放送局の周波数は「9の倍数」となっています。
バラエティ番組や電リクが人気でした。
1982年のFM愛媛を皮切りに全国に民放FM放送局が相次いで開局する。
後に音質が良いことからDJと音楽がメインになり若者の指示を得る。
AM放送の停波は、総務省が実施する「実証実験」の一環です。
この実証実験は、AM放送からFM放送への本格的な転換に向けた課題を検証することを目的としています。
1995年に起きた阪神淡路大震災の影響でAMラジオが見直されました。
AM停波に向けた「実証実験」期間中において、大規模災害の発生等、従来の AM放送により広く受信者に重要な情報を伝達する必要性が生じた場合には、できるだけ速 やかにAM放送を再開することが求められる事となる。
大災害時には4大キャリアの基地局が復旧するまでスマホが使えなくなり情報遮断されるのを防ぐ目的です。
AM放送事業者44局は、遅くとも2028年(令和10年)再免許時までに、段階的にAM放送からFM放送への転換やあるいは両放送の併用を進めています。
AM放送用の送信アンテナが川辺などに設置されているケースも多く、防災面にも課題がありました。
AMは、振幅変調(Amplitude Modulation)の略で、遠くまで伝わるが、雑音が入りやすいのが特徴です。
音波の強弱をそのまま電波の強弱(振幅)で表した方式で広い範囲に安定して放送することができるのが特徴です。
外国放送局の電波混信などによってノイズが入りやすく、音質はそれほどよくありません。
40~50年前のラジオ全盛期には国内のAM放送局よりも、朝鮮語の放送電波が強すぎて、日本の番組が聞きづらいといった混信問題が起きていました。特に夜のゴールデンタイム~深夜番組が混信が多かった。
FM放送は混信がなく音質も良いのですが放送アンテナからの距離で聞ける局が限られました。
現在は、インターネットを通じてFM放送の番組が聞けるようになっています。1978年10月1日からFM放送用のPCMステレオ回線が整備され、1980年代には全国のNHK及び民放FM局に、PCMステレオ回線設備が導入され、全国でステレオ音声での生放送が聴取できるようになっている。
1990年代から一部AM局でもステレオ放送が導入された。
インターネットでのラジオ番組配信サービス
「radiko」、「NHKネットラジオ らじる★らじる」、「SimulRadio」
放送エリア内は無料、エリア外を聴くには有料サービスなど。
実証実験の期間
2024年2月1日以降、順次AMラジオ放送の運用休止が行われます。休止期間は事業者によって異なりますが、最長で2025年1月末までです。
NHKは対象外です。
NHKは現在あるAMの「ラジオ第1」と「ラジオ第2」を一本化し、FMラジオと合わせて2波にする。
ついでに書くと、NHK衛星放送のひとつBSプレミアムも2024年3月末で停波する。
本格的な停波の時期
AMラジオは2028年秋に原則終了する方向で進んでおり、FMラジオへの転換がなされる予定です。
AM放送からFM放送への移行には、次の背景があります。
都市型難聴対策
AM放送はビル屋内などではノイズが入りやすく、音質も良くありません。
災害対策
AM放送の電波は地表を流れるため、高層ビルなどの障害物により電波がさえぎられます。
一方、FM放送は高台から放送できるため、ビルやマンションでも受信しやすく、大地震と津波などの被害も受けにくいというメリットがあります。
維持コスト
AM放送の送信所は電波の特性上、広大な土地が必要であり、その多くが沿岸に建設され設置から数十年経過しています。AMとFMの二重設備維持が各局の大きな負担になっています。
設備更新時期と放送免許更新時期のコストの兼ね合いもある。
営業収入
日本民間放送連盟(民放連)によると、1991年度に2040億円だったAMラジオの営業収入は2017年度に797億円と約6割も減少しています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?