モノタロウの成功要因

モノタロウの株価すごいですね。
2007年には30円程度でしたが、2021年には3500円に迫る時もありました。
単純計算では、14年間で125倍以上に株価が高騰しています。
すごいですね。
単純計算では、2007年に100万円投資していたら、2021年には1億円を超える資産になっていましたね。

なぜ、こんなに高騰しているのでしょうか?
業績が急成長を続けているからです。

決算説明資料より


配当や優待など株価を高める要因はたくさんあります。
しかし、何よりも重要なのは業績。
業績が順当に拡大し続けている企業の株価はやはり順調に高騰していきますね。

そもそも、モノタロウとはどんな会社なのでしょうか?
2000年に住友商事とアメリカの会社グレンジャーの出資により設立された比較的若い会社です。
モノタロウという建設用、工事用、工場用などの間接材(製品の部品ではない材料)をメインとしたECサイトを運営しています。
部品点数はなんと1800万点も取り扱っております。
売上は、21年度は1800億円程度です。
グレンジャー社が半分程度の株価を保有し、あとは、金融機関などが保有しています。
個人で大口の株主はおらず、オーナー会社ではありません。
グレンジャー社が大株主で、住友商事は株を多く持っていませんが、会長・社長は住友商事出身者が選ばれており、ちょっと不思議な運営の会社です。

では、どのような戦略で、拡大を維持したのでしょうか。
経営学者ポーターによると、代表的な戦略には、差別化戦略、コストリーダー戦略、ニッチ戦略の3つがあります。
モノタロウは、この中で、ニッチ戦略を採用することで、業績を拡大させてきました。
モノタロウは、EC・カタログ通販業界に属する会社です。
この業界では、誰もがしる大手は、アマゾンや楽天です。
両社は、多様な商品を扱う総合ECです。
一方、モノタロウは、建設用や、工場用や、工事用に使う商品をメインにした専門型EC・カタログ通販です。

モノタロウECサイトより モノタロウの商品ラインナップ

よく、アスクルなどがライバルとしてあがりますが、実は、品ぞろえはそこまでかぶっておりません。
アスクルなどはオフィス用品をメインとして扱っている専門EC・カタログ通販事業なので、モノタロウとは顧客層がことなります。

アスクルのECサイトより

どちらかというとミスミが、一部の事業で、工業用や工具用の商品をメインとしたECサイトを運営しているため、ミスミが競合となります。
ただ、工場/工事/建設用の専門ECサイトはあまり競合がおらず、そこでメインに活動しているモノタロウは、市場を絞る=ニッチ戦略を採用しているといえるでしょう。
市場の規模があり、かつ競合が少ないエリアにニッチ戦略をとることで、順当に顧客数を増やし、拡大してきました。

決算説明会資料より

では、具体的にどのように顧客数を拡大していったのでしょうか?
IR資料をみてみると、下記3つが成功要因のように感じます。
①リスティング広告などを駆使した顧客獲得
②利便性向上による顧客の離反を防ぐ
③顧客の発注システムとの連携による大型顧客の確保

まず、アニュアルレポートの概要にも書いてあるように、リスティング広告などのデジタルマーケティングを駆使することで、ECサイトを活用する顧客を毎年大量に獲得していったようです。

決算説明会資料より

上図の各色が年度別の獲得顧客ですが、確かに、毎年多くの顧客の獲得に成功しているようです。
また、2つ目の要素にも関係しますが、上図を見ると、一度獲得した顧客の売り上げがまったく落ちておりません。
つまり、顧客の離反を極力抑えることに成功しております。
モノタロウによると、顧客は、価格も大事だが、利便性を重視するそうです。
この場合の利便性とは、早く届く、正確に約束した日程で届く、などかと思います。
モノタロウは、この利便性を高めています。
下図の棒線が在庫点数の推移になりますが、在庫点数を毎年拡大しております。
在庫を備えることで、顧客のオーダーに対して、早期に納品できる体制を整えております。

決算説明会資料より

また、3つ目の要素にかかわりますが、下図の上部にある、グレーの領域は、大型顧客になります。

決算説明会資料より

これまで中小企業をメインとしておりましたが、近年大企業の顧客も増やしております。
大企業は、様々なサプライヤーから毎年多種多様な商品を大量に購入しております。
そのため、各社が独自の購買管理システムを活用しております。
この各社独自のシステムに、モノタロウのECを連携させることで、顧客の購買プロセスの利便性を高めることで、大口顧客を取り込んでいます。

モノタロウの株が高騰しているというのは、大分前から言われておりましたが、今回改めて、IR資料などを見てみると、人気がでるのが不思議でない非常に戦略がスマートな会社だと感じました。
また、気になった企業があれば、分析してみようと思います。

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