趣味

　わたしがふさぎこみがちなのを心配して、友人が「何か趣味を見つけた方がよい」とアドバイスをくれた。

　昔は絵を描いたり本を読むことが好きだったけれど、今では、いつのまにか、まっすぐ楽しめなくなったなあと思う。非常に微々たるものではあるけれど、絵を描いたり文章をかくことでお金を生み出せるようになったり、またこれからもっと、それを生業としていきたいと思っているからだと思う。

　とにかく、手放しで「たのしい！」と思えることが少なくなっているのは確かに間違いない、と思った。お酒を飲むことや恋愛をすることはたのしいけれど、それには相手が必要だし、いつもたのしいとは限らない。（むしろ大変なことの方が多い）（あとわたしは酒癖があまりよくない）

　そしてその友人が今日家に遊びにきたのだけれど、部屋のすみに置いてあったギター（収納が小さく、入りきらなかった）を弾きながら、わたしにギターをやるのはどうか、と薦めた。わたしは例のごとく色んな言い訳をして、えー、とか、うー、とか言って渋ったけれども、（別に嫌とかではなくて、そういう態度が癖になってしまっているのだと思う、よくない）友人が楽しいよ、教えるから大丈夫だよ、と説得するので、わたしは結局ギターをやってみることになった。

　実は昔やった展示の際に見た目だけ必要で買ったギターだけど、買ったときはちゃんと弾こうと思っていたから、一応教則本等は持っていた。（父から貰った『はじめてのアコギ』。わたしが持っているのはエレキギターだけど、まあいいそうです）その中から、一番簡単なピクミンの主題歌（そろそろあそんじゃおうかなぁ〜、のやつ）を練習することになった。そしたらギターがあまりにも面白くて、あまりにも面白かったので今この日記を書いているのです。何が面白いかと言うと、全然弾けないのが面白い。今までしたことない指のかたちでめちゃくちゃがんばっているのに、全然弾けないのがめちゃくちゃ面白くて、ひいひい言うくらい大笑いしながら、必死に弦をおさえて、弾いてみたら変な音で、馬鹿かよ！！ってなってもう、面白すぎて、もう、面白すぎたので、これは趣味にしよう、と思った。っていう話です。