マガジンのカバー画像

短編小説まとめ

7
オリジナルの短編小説。青春もの・幻想小説・SFなど、5000字以内ほどのこつぶな読みものになります。
運営しているクリエイター

記事一覧

真実の値 [SF短編]

 私たちは地表面を緋色の砂がうっすらおおう星を歩く旅人で、寄る辺もなく国境もなく漂流をつ…

穂波晴野
4年前
13

月やこんこん宴の夜に [幻想小説/短編]

  01.  ひとりで留守番をする日は、鍵をゆびで抱きしめてから眠りにつく。  八月からは…

穂波晴野
4年前
10

人形を看取る [SF短編]

「対処可能な手はすべて打ちました。内部機構を最新式にすげ替えられないか模索し、心臓部の結…

穂波晴野
3年前
5

塔の上で猫と暮らす [幻想小説/短編]

 彼女の朝は尖塔のてっぺんではじまる。  小窓から射し込む朝陽を受けて目を覚まし、重たい…

穂波晴野
3年前
26

「腑抜けた夜を嗤えばいい」

小説を掲載していただきました。 「腑抜けた夜を嗤えばいい」  https://ncode.syosetu.com/n

穂波晴野
3年前
2

春風良好 [青春小説/短編]

 春先の美術室で、いもしない誰かを待っている。  先週の部活動紹介、体育館の中央にひとり…

穂波晴野
2年前
12

子供部屋をでた日 [棗芽清乃の事件手帖-外伝SS]

こちらの小説は2023年1月20日発売の小説「吉祥寺うつわ処 漆芸家・棗芽清乃の事件手帖」(ことのは文庫・マイクロマガジン社)の前日譚にあたるエピソードです。 物語が始まるおよそ一年半前、主人公・花岬麻冬(はなさき・まふゆ)が吉祥寺に引っ越してきた当日のお話になります。  浅い眠りはいつも、だれかの寝息を聴いてから訪れる。  わたしには妹と弟がひとりずついる。妹の夏織とは、生まれてこのかたずっと同じ部屋で寝起きをしていた。わたしたちはニ段ベットの上下で眠り、毎朝はじめにお