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ほんのくいちらかし

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ほんのむしの読書記録 ときどき古本市
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#読書

読書感想『せかいでさいしょにズボンをはいた女の子』

“MARY WEARS WHAT SHE WANTS” by Keith Negley 『せかいでさいしょにズボンをはいた女の子』 作 キース・ネグレー 訳 石井睦美 女の子はきゅうくつで、ごわごわしたドレスを着るのが当たり前、と言われていた時代に、メアリーは動きやすいズボンをはいた。そして大騒ぎになった。 「私は男の子の服をきているんじゃない、私は私の服を着ているのよ」 国際女性デーなので、アメリカで史上初の女性軍医となり、その活躍から女性で唯一名誉勲章を受けたメアリー

読書感想『パリ警視庁迷宮捜査班』

"Poulets Grillés” by Sophie Hénaff 『パリ警視庁迷宮捜査班』 ソフィー・エナフ 著 山本知子・川口明百美 訳 エリート警察官としてのキャリアを築いてきた元射撃オリンピック選手でもあるアンヌ・カペスタンは過剰防衛による容疑者殺害のために6ヶ月の停職となり、夫に離婚され、落ち込んでいたところを呼び出され、問題警官たちを集めて作られた特別捜査班の指揮を命じられる。 与えられたオフィスは古いアパートメント、迷宮入り捜査の書類の山、廃棄品のよう

『ナチの亡霊』読書感想

“Black Order” The Sigma Force Series 2 by James Rollins 『ナチの亡霊』シグマフォース2 ジェームズ・ロリンズ 著 桑田健 訳 シグマフォース・シリーズ2作目。アメリカ国防総省の秘密組織、科学者てしての頭脳を持つ軍人たちからなるシグマフォース2代目司令であるペインター・クロウがヒマラヤで見たナチの遺産「釣鐘」とは? コペンハーゲンで行われたオークションでダーウィンの聖書を入手しようとしたピアース隊長は狙われ…

読書感想『エレノア・オリファントは今日も元気です』

“Eleanor Oliphant Is Completely Fine” by Gail Honeyman 『エレノア・オリファントは今日も元気です』 ゲイル・ハニーマン 著 西山志緒 訳 エレノア・オリファント 、30歳、独身。デザイン会社の経理。毎日同じ服を着て、同じ時間帯に働き、同じ夕飯を食べ、週末は本を読んでお酒を飲んで寝る。週に一回、毒親の母と緊張しながら話す。 顔の火傷と、合理的な思考や会話のせいで周りから変人扱いされ、友だちも恋人もなく、それを気にもして

読書感想『リトル・チルドレン』

“Little Children” by William Saroyan 『リトル・チルドレン』 ウィリアム・サローヤン 著 吉田ルイ子 訳 サローヤンを憧れの吉田さんが訳した!しかも表紙は和田誠さん!と、1人で図書館の棚の前で興奮して借りてきた。いいの、わかってもらえなくても。 サローヤンが自分と同じアルメニア系移民たちを主人公に書いた短編集。主人公のほとんどは子どもや若い人だが、『農夫の幸せ』『猫』『ピンボール・マシーン十字軍』などは、これはもう大人になった人独特の切

読書感想『図書室からはじまる愛』

“Climbing The Stairs” by Padma Venkatraman 『図書室からはじまる愛』 パドマ・ベンカトラマン 著 小梨 直 訳 第二次世界大戦と独立運動で揺れるインド、教養高く、理解ある医師の父、やさしい母、穏やかでひょうきんな兄に囲まれ、何不自由なく育った15歳のヴィドヤの夢は結婚ではなく、大学進学だったが、独立運動デモの最中、イギリス軍兵士からインド人女性を守った父は頭を割られ、廃人となり、家族は父方の祖父が統べる、古い因習を守って暮らす大家