ひまそらあかね氏が東京都知事選挙に立候補すると聞いたので、掲げられた政策について評価してみた

立候補するというのであれば、政治家としてどうなのか評価しようと思う。
基本的に自分が政治家を評価する時は政策しか見ないので、ここでも多くは政策について述べる。


政策1:公金チューチューをなくすことについて

ひまそらあかね氏の追及で出てきたWBPC問題関係の資料を見る限り、少なくともロクな審査もなく激ユルガバガバな状態での公金支出が承認されていたことは間違いない。
また、団体の選定についても、適切な選定がなされたのかは大いに疑義があるところだ。
しかし、会計が激ユルガバガバな状態であることと、それが違法であるかどうかは別問題だ。
今は10以上の案件で裁判中だが、もしかしたら合法という判決が出るかも知れない(万が一そうなれば、「WBPCへの公金支出は正当だ!」という言説が急速に広まるだろう)。
その場合、「激ユルガバガバでも正当だと言い張れるように、歪んだルールが定められている」と言える。

つまりWBPC問題の本質は、「都がやっていたWBPCへの公金支出が違法かどうか」ではない。
このWBPCへの公金支出が違法であっても合法であっても、こんな激ユルガバガバな審査・選定や会計報告での公金支出を許して良いのかこんな激ユルガバガバで合法だの正当だのと言い張れるようなルールで本当に良いのか、ということだ。
なので、自分は基本的に「公金チューチュー」という呼び方はしていない。
公金激ユルガバガバ会計」と呼んでいる。

ひまそらあかね氏は配信で「ルールを守れているか、効果測定ができているか、調査を徹底的に行う」と言っていた。
これ自体は非常に良いことだ。もしルールを守れていなかったり、効果を上げているかも分からなかったりするような事業に何千万円、何億円も投じられることを防ぐことができれば、この政策の効果は非常に大きいと言える。
しかし、調査の結果、もし都の公金支出が合法でルールの範囲内であるという結論に至った場合はどうするのか。
正直言って、あんな激ユルガバガバな団体選定・公金支出で、万が一あれがルールに則ったものだった場合、ルール自体が粗悪であると自分は考える。あれで正当だと言い張れるようなルールなど、粗悪以外の何物でもない。
都知事の立場であればルールを作る・変えることができる立場にもなると思うが、配信ではそこに言及はなかったように思う。
公金チューチューについて、「ルールを守れているか、効果測定ができているか」を見るだけでなく、「ルール自体を作る・変える気があるかどうか」は聞いてみたい。

政策2:東京都をデジタルで楽しませることについて

東京都クーポンアプリは良い政策だと思う。
使用期限があれば、現金を給付して貯蓄に回され経済の活性化に繋がらないなどといった事態は避けられる。
都内でしか使えないならば都内の経済を盛り上げるにも一役買うだろう。経済振興策として悪いものではない。
対象者について言及がなかったが、都民全員だろうか?それとも子供のいる世帯限定だろうか?そこは明確にした方が良い。

なお、東京都の経済振興についてだが、中には一極集中是正などを掲げて、東京都から地方へ富を流す、東京の経済を衰退させるような政策を掲げる候補者もいるが、
東京都知事はまず「東京都を豊かにすること」が最優先の仕事だ。
東京の富を地方へ流すなど、都知事がやるべき仕事ではない。東京の富を地方へ流して、地方は足腰強く成長すると思うか?そんなわけない。論外である。
一極集中を是正したいなら、東京以外の首長選挙か、あるいは国政に出て、「地方が豊かになって東京へ追い付こうとする」方向で尽力すべきだ。
東京の富を地方へ流すのではなく、地方が自ら足腰を鍛えて強くしていくべきなのだ。

話を戻して、行政のアプリ制作事業は、公務員のデジタル系スキルが低い(そもそも公務員採用試験ではアプリ開発の知識など求められないので、スキルが低いのも当然でありそれを求めるのも酷な話ではある)故に、マトモな仕様書を作成できず、入札ではクオリティ度外視で価格の安さばかりが重視され(これは高価格だとすぐ叩く国民の責任もある)、安かろう悪かろうで粗悪なアプリができてしまうというのはよくある話。
ひまそら氏が実際に都知事になったらものすごく忙しいだろうから、自力でアプリを設計・開発する時間が取れるかは怪しいが、少なくとも開発経験豊富なひまそら氏が音頭を取るならば、さすがにアプリのクオリティは心配ないであろう。

問題は、全員がアプリを使えるわけではないということだ。
東京都のスマホ利用率は2023年時点で約80%。

実は5人に1人はスマホを使用していない。
クーポンアプリは恐らくスマホを使わないと使用できないだろうから、スマホを持っていない人に対してどう対応するかは問われるだろう。
スマホを持っていない人をどうやって確かめ、どうやってクーポンを使えるようにするのか。また、スマホを使わない場合に使用額をどう管理するか。
あるいはスマホを持っていない人はほとんどが高齢者であろうから、子育て支援等が目的ということであればスマホを持っていない人を切り捨てるという選択肢もあるだろう。
クーポンアプリを使えない人にどう対応するかは聞いてみたいところだ。

また、「デジタルで楽しませる」という公約は抽象的な題目であるがゆえに、クーポン配布以外にも色々なアイデアを出すことができると思う。
創作文化を極めて重視しているひまそらあかね氏だけに、是非ともデジタル振興や文化芸術振興に繋がるような、クーポン以外の多彩なアイデアもあると、より魅力的な公約になると思う。

政策3:政治献金を受け取らない、パーティをしないことについて

個人的には献金やパーティについては悪いことではないと思っているので、献金を受け取らないとかパーティをしないとかは評価の対象外ではあるが、
配信でひまそらあかね氏が述べていたとおり、確かに上記クーポンの政策は非常に癒着を生みやすい構造になると思われる。
その疑念を予防するためには有効な政策であろう。

その他:ひまそらあかね候補の言葉

  • 「東京は、現状でもかなり良い街だと思う。壊したり、リセットしたりする必要はない」

  • 「ただ、小池百合子がやってきたことでも我慢ならないことはある。そういうところ(=小池百合子氏の欠点)を、僕が直していく。今の東京を守りつつ、より良くしていきたい」

これまでの東京の歩みや小池百合子氏のことを全否定せず、良いところは継承して、なおかつ小池百合子氏の上を目指す。
反小池ではなく、小池より上へ。
そういう姿勢は非常に好感を持てる。
マスコミがいつも作り出す「悪の現権力、正義の反権力」のような構図に嫌気がさしている人には刺さるだろう。

  • 「必ず作品を守ります。文化を守ります」

イラスト、小説、漫画、動画、音楽…何かを作り出すクリエイターとして、この姿勢は非常に価値が高い。
芸術活動を行う者ならば、積極的に支持すべき筆頭の候補者となるだろう。

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