失われた眼窩の煌めきに


止まる電車の
線路の先に散る艶々しさを

集められた袋の向こうから
世界を見上げている眼球の煌めきを

あなたは知るだろうか

サイレンと悲鳴と
遅延に苛立つ舌打ちと
生のしがらみから放たれ死出の地獄に発つ
それはあまりにも自由で

虚構の安寧を描き
平和を嘯きながら牽制をし合い
いつ崩れるかわからない地盤の上で
作り笑いの顔写真をたたえる

あなたとは無縁の境地だ

例え僕が死んだとて
世界は何も変わらず
普段通りに回っている
営み栄え衰退していく

謝罪のアナウンスを尻目に
迷惑そうに眉を顰め
足早に去っていくあなたに
僕は殺されるのだ

僕たちは、あなたに殺される

先立ったその魂がせめて
安らかであるように祈る
それが偽善だとしても
叶わないことだとしても

先立って行ったその果てが
無間地獄だとしても

僕は祈る

今世からの解放と
来世へのわずかな期待を

早く僕も同じところに
連れて行ってはくれないかと


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