たれさん、ふたつめの家を買う【第6話】売買契約書
(第1話からは、こちらからご覧いただけます)
妻は直談判のため、社長に電話を入れた。
妻「社長!この前のパン美味しかった~!」
社長「また買っとくわ」
(あ、社長にパン貰ったって言ってたな)
妻「融資実行するのに建物の登記申請が必須みたいなんですよね~」
社長「そうなのか!?」
(知らんのかい!)
妻「通常、登記申請して物件を販売するのが一般的と言うし、登記して頂けませんか?」
すると意外な答えが返ってきた。
社長「おう!登記しないと融資おりんのやろ。知り合いの土地家屋調査士に頼んでおくよ」
・・・・あっさり
妻「ありがとうございます!」
恐らく土地家屋調査士に頼むと20~30万円は簡単にかかるのではないだろうか?
それなのに即答!
さすが社長だね!と夫婦で顔を見合わせたところだった。
物件の不要な車庫、庭木は取り除いてくれた上に、整地までしてくれて見違えるようになっているし、ホントありがたい。
ただ、狭い入口は改善されていない。あれじゃ、運送屋さんも入れないんだよなぁ。準主要道路にも面しているし。
なんとかしなければならないなぁと考えていると・・・
社長から折り返しの電話が入った。
社長「登記申請はめちゃくちゃ金かかるわ!やっぱりあんたたちで払ってくれないかい?」
妻「えーーー?それは無いでしょう!先ほどと話が・・・・」
社長「あんた、土地家屋調査士に頼むとね
●×■△
・・・
・・・
・・・
高いのよ!」
(知ってるわい!)
妻「でも社長、それなら一旦白紙に戻して考え直さないといけないです~。資金面が・・・」
社長「それはないよあんた!だってあんた達のために庭木も綺麗にしたし、
●×■△
・・・
・・・
えええい!うちでやるわ。分かったやる!」
とりあえず一通り言いたいことを言って自分で納得したようだ。
(やっぱり口約束は怖い)
社長「次はね、左官さんに頼んでおいたとよ!」
妻「え?何をですか?」
社長「あそこは、入口が狭いやろ。だから塀を壊して入口を広くするとよ」
妻「え?それもやってもらえるんですか?」
(でも、こっちにも考えがあるしな~)
社長「そのつもりやったとよ!」
妻「そしたら、左官さんの費用はこちらで持つので登記申請をお願いします。」
ひと悶着あったものの無事に?登記申請は社長にお願いし、入り口の左官工事はたれ家が持つこととなった。
物件の引渡しまであとは、費用が下りるのを待つだけだ。
そして、建物の登記を不動産会社の社長に依頼して数日が経ったある日、社長から妻に連絡があった。
社長「登記終わったぞ。あんな仕事で〇〇万円も払うなんてバカバカしいったらありゃしないぞ。ハッハッハー」
未登記物件の登録を無事に法務局への申請を完了した。
そして、2021年10月末たれ家夫婦のひとつの目標でもある新しい建物の売買契約書を結ぶこととなる。
たれさんは、本業を早退し妻と共に893開発へ向かう。
お昼に約束したものの契約書作成に時間が掛かっていると事務員さんから電話が鳴った。
あまり早く行ってもプレッシャーがかかると別の用事を済ませることにした。
程なくして今度は社長から電話が鳴る。
「あんた、まだ来ないのね!?こっちはお腹すかせて待ってるのよ!」
え?書類まだって・・・
どうやらコミュニケーションが取れていないようである。
(2人しかいないのに)
不動産屋さんに到着するたれ夫婦。
社長に連れられてラーメン屋さんの暖簾をくぐる。
社長「ここのラーメンはうまいぞ!!何でも食べるといい!おーい!俺はいつものを頼む」
(絵に描いたような昭和の社長さんだなぁ)
談笑しながら、というか社長の話を一方的に聞きながらラーメンをすする。
バリ島で騙された話は、かなりインパクトがあって面白かった。
土地売買の裏側を聞きながら、奥の深い世界だと思った。
そして、不動産屋さんに移動していよいよ売買契約書を結ぶ。
サインと印鑑を求められるが、慎重に内容を読む事にした!
この契約を結べば、もう後戻りはできない。
” 建物の欠陥について現状渡しとする ”
!!!!
思い出した!雨漏りが数か所あったじゃないか!
たれ「社長さんあの建物ですが数か所雨漏りがあります。売買契約書の内容でいきますとこちらで修繕をしなくちゃなりません。そちらで修繕をして頂けないでしょうか?」
包み隠さずに本音をぶつけた。
この社長さんは、きっと竹を割ったような性格。回りくどい話は必要ないと思った。
すぐさま、ガラケーを取り出し電話をかける。
社長「○○町の建物なんだけどな、雨漏りがあるんや。修繕をしてくれんかな~?」
10秒後には、業者さんに電話を入れていた。このスピード感と人脈恐るべしと思った。
電話を終えると
社長「直ぐに修理するわ。他に気になることはないか?」
と畳みかけてきた。
念入りに内容を確認し、妻が売買契約書に捺印をした。
あとは、日本政策金融公庫に申請し融資が下りるのを待つだけだ。
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