初めての算数 指を折って数えてはダメ!

小学校へ入学する前に、簡単な足し算ぐらいは教えておこうと考える親御さんは多いと思います。その際、気をつけた方がいいのは、指を折って数える癖をつけないことです。

「順序数」にもとづく「数え主義」は避けよう

2➕3を計算する際、まず指を2本折って、その後1本ずつ3回折っていったり、「に、さん、し、ご」と順番に唱えていったりする方法もあります。こうしたやり方は、「順序数」をもとにした「数え主義」と呼ばれたりします。

このやり方を最初に覚えてしまうと、5年生、6年生になっても、指を折らないと計算ができなくなります。


私が教えている「水道方式」では、物の多さを考える「集合数」を基礎とします。リンゴや鉛筆などを、抽象的なタイルに置き換えて、どれだけの多さかを一目で分かるように指導します。

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幼稚園児でも慣れれば、1〜5個前後のおはじきの数は、一目見て言えるようになります。
それが言えるようになったら次は、足して5になる数(5の補数)を覚え、それが完璧になったら10の補数を覚えていきます。


5より大きい数は、5とその他に分けて考えられるようにしていきます。

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入塾した時は、指で数えていたお子さんも、1ヶ月ぐらい指導すると、指を使わなくても、10以内の足し算は大体できるようになります。
10の補数が完全に言えるようになってから、十進法の考え方を教えていきます。

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繰り下がりのある引き算が苦手なら「減加法」で

「減加法」とは、まず最初に引いて、後で足すという計算方法です。

例えば、43➖28の問題の解き方は次の通りです。

(1)一の位の3は、8より小さくて全てを引くことができないので、十の位から1本(10のこと)借りてきて、まず10から8を引きます。

(2)その差の2と、一の位の3を足して、一の位は5になります。

(3)十の位は1本貸したから3になっており、その3から2を引くと1となり、15という答えにたどり着きます。

「減減法」が得意な子もいます

「減加法」以外に、「減減法」というやり方もあります。
「減減法」では、引く数の一の位の8を、引かれる数の一の位の3と残りの5に分けて、まず3を引く。あとは40➖25という計算をすればよい、というものです。
引き算より足し算の方が得意というお子さんの場合は、「減加法」の方が引き算が1回少ないので負担が小さいと思われます。

もちろん「減減法」の方が得意というお子さんに対して、無理に「減加法」に改めさせる必要はありません。

大事なのは、13➖8の計算部分を「直感」で答えさせるのではなく、まず、10から8を引いて2を求め(10の補数を計算し)、それに3を足して5にする、という操作を必ずさせることです。

小学2年生になっても、二桁同士の引き算の正解率が何度やっても9割前後と、なかなか満点にならないお子さんは恐らく、上記のような計算の基礎をしっかりやらないまま、「直感」で答えを求めているからだろうと、想像できます。

子供に頭の中でどのような操作をしているか尋ねても、なかなかうまく説明できないことが多いので、実際のところは分かりません。しかし、正答率が上がらないお子さんに、「減加法」のやり方を説明し、「3から8は引けないので、10から8を引いて2。それに3を足して5」といった具合に、頭の中での操作を、声に出して言わせる方法で計算を続けさせたところ、短期間で正答率が上がりました。


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