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ガイドはいらない(だけどいる)

 3月18日の夜。久しぶりに田中君と突発(オンラインで雑談)。5月の熊本ゼミ合宿の話になって、どのようなガイドが望ましいか、合宿に参加する当事者である田中君に相談した。
 観光客的な出迎えをすればよいか、小学2年~高校3年まで私自身がどう熊本を生きたのか、その文脈を辿るのがよいか。今、書きながら分かってきたことだけれど、その答えは自分の身体が知っている。ガイドしながら自分の身体と心がいま・ここの場所から離れていって、結果的に疲弊するのではなく、辿ることでどんどん元気になったり、あるいは、いい意味で既に封じこめてしまった記憶と出会い直したりすること。当事者研究的な旅がきっといいだろうし、何よりそれがhomeportらしいのだと思う。
 どこかの地を巡るとき、一人で探索するのも楽しい。一人であっても、人間以外のモノや時間や風が語りかけて来るので、いろんなものを自分が通過する心地よさ、その出会いからさらに次の道が開けてくる。また、それを共有できる誰かが旅の相棒として存在するのも楽しい。
 観光地にはガイドもいる。私は有料のガイドを頼んだことがあまりないが、それは単に金銭的な問題もあるし、一人で巡りたいという気持ちもある。でも理由はそれだけではないと思う。自分が心躍るのは、ガイドとして職業化された存在から話を聞く瞬間よりも、何気ないとき、自分が出会った人がどんな場所でどんな暮らしをしてどう生きてきたかを聞くときだ。その瞬間旅をしている気持ちになるし、それはパッケージ化されたガイドに組み尽くせない無数のガイドだと思う。それは社会的なガイドを否定するものではなく、大きな文脈を背負う社会的な存在としてガイドは必要である。ただ、自分はガイドとは名づけられていない、ふとしたときに現れるガイドが好きなのだ。

 昨日も、職場の上司と札幌の地下鉄を移動しているとき、ひょんなことから学生時代東京に住んでいた頃の話になった。自由が丘(東横線)に住んで、下落合(西武新宿線)に引っ越し、最後は早稲田鶴巻町の下宿へ。話していたらあのときの鮮やかな記憶が蘇ってきた。上司は、東西線沿線に住んでいたことがあると話してくれた。もちろん会話を交わしたことはないが、どこかですれ違っていたのかもしれない。


第2回 homeport ゼミ合宿 in 熊本
2024年5月17(金)~5月19日(日)(16日前夜祭、20日後夜祭)
主催:homeport
会場:熊本
出演:あべくん、宮ちゃん、田中君、山崎

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