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朝の日誌

今日はhomeport一帯、こんもりと雪が積もっている。homeportのまわりを散歩して戻ると、実質的な管理人である、ながのさんが雪かきをしていて、少し立ち話をした。

ながの「昨日はストーブの調子悪くて業者さん来てたみたいだけど大丈夫だった?」
山崎「はい、大丈夫です。中に埃が溜まっていて、掃除してもらったら大丈夫でした」

昨日来たガス業者さんは帰り際、homeportのギャラリーで開催中の宮崎俊明写真展「ルーツ」を見て、ふと呟いた。

「これお兄さんが撮ったんですか?」
「いえ、違います。ここで個展をやってます」

この個展を媒介に、ガス業者の人と私は、業者と客という役割を少し越境した。それは、写真があるだけで生まれるわけではなく、宮崎君の表現があるから生まれたのだと思う。4月からは、宮崎君の新たな写真展「優しい時間」が始まる。

話を現在に戻す。

ながの「ところであっちのほうはどう?進んでる?」

山崎「あっちの構想(homeport)ですか?実はそれに関連した本が2月25日に文学フリマ広島で発売されるんです。僕の話を東京から聞きに来てくれた人がいて、その対談の様子を書き起こしてくれたんです。実はその本を長野さんに贈ろうと思っていて。」

永野「おっ、それは楽しみだね。僕がいないときは、ポストに入れておいてもらえればいいから。喫茶店(大地の珈琲)の隣ね。」

山崎「分かりました!」

 ながのさんと出会うとき、話すときはいつもスリリングだ。今演じている芝居の中で一番緊張する。と同時に最も生命力が漲ってくる。現代社会の中でプライベート化された賃貸住宅は基本的に不可視で、後ろめたいことも含めて、その中に隠している。ストーブの埃はその象徴だ。掃除を怠っていたから、そのツケが回ってきて、それを外部の業者の人を呼んで解消し、何食わぬ顔で、仕事場に向かう。しかし、homeportはもうそれでは済まされない場所だ。誰かを招く場所だし、この内部が社会であり、外部と接続している。
だから業者の人は、内部と外部を漂っていたし、ながのさんはあのとき長井市西根地区で出会った公民館館長さんの面影を感じさせる存在になっている。

 今日はこれから宮崎君と課外授業に出かける。

                          (担当:山崎)

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