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津軽一代様ということ

わたしが住む青森県津軽地方には、津軽一代様という信仰がある。
自分の生まれ年の干支を守り神とする神社、お寺があり、それを一代様といってお参りするのだ。
子年には子年の、丑寅には丑寅のとそれぞれある。
初詣にはその年の干支の一代様とか、自分の干支の一代様にお参りする。
厄除けなどもそう。
わたしは生まれたときからこれが普通と思って生きてきたので、一代様が津軽地方だけと知ってかなりびっくらこいた。

そんな普通と思っていたことが普通でなく地域的なものと知って早幾星霜。YouTubeの動画で「お気に入りの神社・お寺を持とう!」というものがあった。
お気に入りねえ、と思いながら自分のこととして考えてみた。
我が家には町内に神社があるので、わたしの生まれる前からずっと氏子だ。町内を跨いで立っているので、隣町内と代わる代わる神社の清掃、草むしりをしている。
余談だが、この草むしりは町内の決まり事であり、「草むしり参加しないならカネ払ってね」となる。いつも父親が参加している。春には町内のドブさらいもあり、これも参加しなけりゃカネである。当然父親が。
この手の集まりは終わると会館で宴会がある。ご苦労様、で酒が。父親はこの宴会で飲み過ぎ帰り道ですっころんで救急車呼ばれるという失態をかました。仕事から帰ったら家は明かりついたまま引き出し出っぱなしで誰もいない。泥棒入ったかと思ったほどである。まもなく同乗した母と電話が繋がり、事の次第がわかった。病院にいったら酔っぱらった父が車椅子乗せられて看護師(奈美悦子似)のケツ触ろうとしていた。セクハラの現行犯で蹴っておいた。
その数年後、母が癌で危篤となった日も同じ宴会でべろんべろんになっていた父を仕事早退して会館に迎えにいった。捨てていこうかと思ったくらいの酔っぱらいである。案の定病院で具合悪そうにしていて看護師さんから家に連れて帰れと言われた。そして母の死に目に間に合わなかった。別に父のせいとは思ってない。病院が今日は大丈夫だから帰れといったのである。でも少し思うところはある。飲み過ぎなんだよ。
余談終わり。

さて、自分のお気に入りの神社・お寺であるけれど、氏子である神社は家を守ってもらうのに大切だ。もちろんきちんとお参りにもいく。我が家は四方八方お寺が多い地区なので、なんなら家の向かいがお寺なのでなじみはある。徒歩圏内に菩提寺もある。
だけどやはり、わたしにとって神社といえば一代様なのだ。車で行かねばならないけど、お参りといえば一代様。
余談の余談だけど、うちの父親の一代様は山の中、母の一代様は街から外れたわかりにくい場所にある。母も父も病気平癒のお参りにいったけれど、いやはや行くだけで大変だった。父の場合ちょうど年男だったんだよね。お寺までの急な階段(雪のおまけつきで滑る)で、ゼイゼイハアハア、降りるときは滑る怖さで父親に置いていかれた。


うし



わたしの一代様は、市内の交通の便も悪くない場所にあるので、ちょいちょい行ける。戌亥の守り神の神社である。
今年もお参りしました。


今年の卯の一代様は、五重塔が有名なところ。
前にひとりお参りしたことがある。



うさぎ


余談の余談の余談、神社やお寺によって、行くと背中がゾワゾワするところがある。あれはなんだろう。

お気に入りの神社と呼ぶには何だか違うけれど、わたしのようにお参りといったら一代様!という人は津軽には多いのではないだろうか。よく考えたもんだよなあ。




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