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ブラックフライデーの思い出

ここ数年でブラックフライデーも定着しつつあるように思う。黒字出す日なんだろ?という適当な認識しかないし、あまり買い物しない人間ではあるのだが、ブラックフライデーと聞くと必ず思い出されるのが、3年前のことだ。

世間はコロナ真っ只中。初めて迎える冬。不安しかない中、父の体調が悪くなった。

下血である。元々大腸にポリープがあり、取らなきゃ癌になるよ!と言われてるのに手術を怖がり放置した結果、その間に母を大腸癌で亡くしている身の上に。下血である。

来たか、である。
うすぼんやりとは頭にあった。この人、ポリープあるんだが大丈夫なんだろかと。

この下血、やはり…と考えながらも取りあえずは病院にいきましょうかと母も最初にきた病院へ。
懐かしさともう嫌な予感しかないが、どっしり構えていこうよわたし。

検査するから3日後来てねと言われてるところに医者がわたしだけを呼んだ。こっそりと。おそらく癌だから、って。

やっぱりそうかああああああ。

しゃーないな。頑張らなくちゃなあ。

その次の日の夜。父が呼んだ。

血が止まらない。

あいたたたたたたた。

どうしよう。どうする?とりあえず救急で診てくれる病院に電話してみる。連れてきてください。はい。

待って、あの血が止まらない人間を車で30分は車が死ぬ。

救急車呼びます。

救急車呼ぶよー、いい?と許可を取り(父はずっとトイレ)持ち物を準備し、わたしも着替えているとサイレンが聞こえてきた。早い。

隊員さんに説明していると、他の隊員さんが父を担架で救急車に乗せている。血は、血は大丈夫なんだろか。
止まったの?なんやそれ。

と思いつつ救急車は出発。わたしもユラユラ揺れて酔って具合悪くなりながら病院へ。そのまま緊急入院となった。病院で検査してる最中にまた大量出血。病院でよかった。

余談だが入院中におそろしい出血をし、輸血までしたことをわたしは退院するまで知らされなかった。教えてよ。

さて、緊急入院した病院では手術が出来ないので、転院してあらためて手術となるでしょう。落ち着いたので退院です。迎えに来てください。

手ぶらでいきました。迎えに。

看護師さんから一言。着るものないんだけど…

ゑ?なんで?裸で来たんじゃないからあるはず。あ、そういえばこの前なんか洗濯してって持って帰ったのシャツだったような。

買ってきます!

ダッシュで近くのショッピングセンターに。店内ブラックフライデー真っ最中!わお、安い!

とてもありがたいことで、いつもならちょっとお高いお店だから買えない服が買えるわよ!ええやつ買ったる!

トレーナーと上着と。ズボンはジャージあるからよしと。

ダッシュで戻る。あら、いい色ねと褒められる。ほんとだ、いい色(焦ってたので無意識で選んだ)

病院の近くにはしまむらとかユニクロはなくて、もしブラックフライデーじゃなかったら諭吉先生ぶっ飛ばすだけぶっ飛ばさなきゃいけないことになっていたかもしれない。ありがたやブラックフライデー。

今も父は気に入って着ている。いい色だもんな。ええやつだからな。

これがわたしの、ブラックフライデーの思い出である。

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