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名作「スラムダンク」の3大魅力

こんにちは。

今回は、僕にとって人生のバイブルである「スラムダンク」について語っていきたいと思います。

とはいえ、これに関してはあまりにも愛が深すぎる、語りたいことが多すぎるというわけで、話は絞っていきたいと思います。(どれだけ好きかというと、つい最近、20週目の読破を終えたぐらいです)


スラムダンクは、数々の実績を残しています。

バスケ漫画は売れないという常識を打ち破った、発行部数1億冊突破(他にこれを達成してるのは5作のみ&スポーツ漫画としては唯一)、掲載終了後にも数々のイベントが行われた、などなど。

しかし、今回はあえてスラムダンクが残した功績の話には触れず、作品の中身に関する魅力のみを、僕の主観で述べていきたいと思います。

スラムダンクの魅力は、大きく分けると3つあります。


① 「臭さ」がない

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一つ目は、人間関係に関して「臭さ」があまりないという点です。

スポーツを題材とした漫画やドラマは、熱血教師がいたり、メンバー同士が熱く語り合う場面が頻繁に見られる作品が多いです。

もちろん、熱い友情に感動することは漫画でも現実でもありますが、それが直接的に描かれすぎていると、読者が一歩引いてしまうという現象が起こり得ます。(特に大人になればなるほど)

しかしスラムダンクでは、人物同士の仲良しな関係性や熱く語り合ってるシーンはほぼ描かれておらず、その現象は起こりません。


そしてここが大事なのですが、スラムダンクは、かといってメンバー同士の絆がないかといえば、全くそんなことはありません

主人公の高校である湘北のスタメンに着目すると、先ほど述べたように、お互いを褒める、感謝を述べる、熱く語り合う、といったシーンが描かれていません。(木暮くん以外)

ですが、彼らの試合中の会話、試合後のさりげない一言などから、お互いに対する愛情、バスケにかける熱意が伝わってくるのです。

これは、かなり高度な表現方法でしょう。


人間関係の話をしましたが、登場人物の人間性という面で見ても、臭さは少ないように感じます。

主人公の桜木花道に関して言えば、「バカ」「不良」と言った設定はありがちなものですが、「仲間思い」や「正直でまっすぐ」と言った面はそこまで強調されていません。


他に同レベル、あるいはこれ以上に売れている作品に言及すると、僕はルフィやナルト、孫悟空はいいやつすぎる自分や現実で周りにいる大人とは根っこが違いすぎて、感情移入しづらいと思ってしまうことがあります。人に対して恨みを持ったり、嫉妬したり、といったことが少なすぎるのです。

もちろん、その自分との違いがかっこよかったりするし、この3作品は大好きですが、桜木から溢れ出る嫉妬心やだらしなさ、実は繊細なところ、といった設定の方が親しみは湧きやすく主人公への感情移入のしやすさに繋がっています。
(ちなみに触れた他作品だとシカマルとかピッコロが好きです)

直感的な話で言うと、桜木花道は王道の「ジャンプの主人公っぽさ」にあまりフィットしていないと言えるでしょう。


② 登場人物の「人間性」と「成長」を、バスケをする姿だけで表現していく

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個人的に、ここが一番の魅力だと思っています。

スラムダンクの特徴は、描写のほとんどがバスケのシーンである点です。

前半の「三井寿の乱入事件」の2巻分だけ例外ですが、それ以外は全ての巻にバスケをしているシーンが描かれています。(しかも、ほぼ公式戦)

他のスポーツ漫画だと「育ちや、家族とのエピソード」「バスケ以外の苦悩」「学校生活での葛藤」などがまぁまぁ描かれています。例を出すなら、「あひるの空」の主人公である空は家庭環境が複雑ですね。

ですが、スラムダンクではそれらがほぼありません。家族が登場するのは、花道の親父と赤木の両親、それぞれ1,2ページだけです。バスケ以外の苦悩に至っては一切ありません。学校生活は描写自体はありますが、柔道男がやたら出てきたり、みんなで赤点を取ったり、あくまでギャグ要素やブリッジの役割に過ぎません。


すなわちこの漫画は、バスケ以外の要素に関しては、露骨に余白を作っているのです。


別にこれを正解だとは思いません。というか、ヒットしてる漫画の多くは、主要人物の家族や育ちに関して深掘りをし、その人がどんな人物かを分かりやすく伝えるという構図になっています。映画などもそうですね。

しかし、スラムダンクは余白があるからこそ、「この人ってどんな人なんだろう」「なぜこんな性格なんだろう」など無意識のうちに想像が膨らむ

あるいはそこまで考えないにしても、「身近にいる誰かっぽさ」を感じるキャラが多い。



また、情報が少ないから、彼らの人間性が全然わからないのか。

そんなことはありません。少なくとも、感じ取ることはできます。これは人間関係の部分で話したことと全く一緒です。バスケ以外の要素は提示しない代わりに、試合中や練習中のちょっとした言動から、登場人物の人間性を表現しているのです。


具体例を出していきます。

① 赤木が1年生のときの試合(回想シーン)と、そのときのセリフからだけでも、彼がどれだけ苦労してきたかが伝わる。また、それを現在の赤木の姿と比較することで、彼がいかに愚直で泥臭い男か、人に弱さを見せない男かが伝わる。

② 三井寿が体力切れで試合に出れなくなるシーンにおける、彼の表情とセリフ。ここから、彼の過去に対する深い懺悔、今後にかける想いが見られる。

③ 山王の深津は、ミスをとにかくしない、試合中の仲間に対する声の掛け方が超的確、でも言葉遣いはふざけている。ここから彼の、「親しみやすさと牽引力の両方を兼ね備えるリーダーとしての格の高さ」が伝わる。


このように、あくまでバスケをする姿のなかに、登場人物の人間性や成長を表現していくという手法が、スラムダンクの名作たる所以だと思います。これは、なかなか真似ようとしてもうまくいかないでしょう。

与えられている情報は少ない代わりに、想像を膨らませられる余白の部分が多いからこそ、読者も多くのキャラに感情移入がしやすいんだと思います。


③ あまりにも多い名言の数々

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スラムダンクは、名言が多すぎるというのも特徴でしょう。

名言と呼ばれるものは世の中に溢れていますが、僕が個人的に名言を名言たらしめるポイントは、それを日常に投影したとき、自分の言動に変化が出るかどうか」だと思っています。

例えば、進撃の巨人の「駆逐してやる!」はかっこいいセリフだし、友達同士、ふざけて言い合うことはあるかもしれないけど、大人になってからも心に響くかと言われたら、そうではないでしょう。

ドラゴンボールの「クリリンのことかー」や「お前がナンバーワンだ」もめちゃくちゃ好きだけど、それが何かの原動力になるかと言われれば、なかなか難しい。


スラムダンクは、日常生活でも意識するだけで、自分のなかに少し良い変化が生まれるような言葉の数が多いです。他の作品にも存在しますが、わずか31巻しか発行してないことを考えると、圧倒的な量だと感じます。


書き始めたらキリがないですが、一部具体例を紹介していきたいと思います。

① 仙道「まだ慌てるような時間じゃない」→何かがうまくいかなくて投げ出しそうになったとき、テストで時間制限ギリギリで焦ったとき、これを思い出して冷静さを取り戻す

② リョータ「一番過去にこだわってるのは、あんただろ」→過去の自分や周りからの目線、体裁を気にしすぎてないか?自分の気持ちに正直になれてる?という確認をしようと思える

③ 魚住「おれはチームの主役じゃなくていい」→チームで動く場面において、自分の存在意義に自信がなくなったときでも、ちょっとでも自分にできることがないか、少しでも楽しめる方法はないかと探すようになる


こんな感じです。僕は何か辛いことがあったらスラムダンクの名言を思い出し、自分を勇気づけることができています。


まとめ


以上、スラムダンクの3大魅力でした。実は最初は「5大」にしていたのですが、一個一個が想像以上に長くなってしまったので、3つに絞りました。また、今回は個人的な見解を大事にしたので、「それは違うんじゃないか」と思われた部分も多いかもしれません。他の人の意見も聞いてみたいところです。

スラムダンクについてはいくらでも語れるし、何より自分が楽しいということで、また違うテーマで記事を書きたいと思います。パッと思いつくのは、脇役の分析、好きなシーンのランク付け、一巻ごとに名言選んでみた、など。

それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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