反抗期について

当然のことながら、10代は親への反抗が原動力だった。ありきたりな言い回しならば、敷かれたレールの上を走るだけの人生なんてまっぴらだ、というやつ。ただただ、両親が憎くて、彼らが望むことと逆をいくのが正しいと信じていた。実際それは半分正しい。人は誰でも100パーセント正しいなんてことはないし、置かれた環境、国、宗教によって人生が持つ意味も、人としての行いも、何が正しくて何が悪いかも違ってくる。そういう意味では、誰だって半分正しくて、半分間違っている。誰かを否定しようと思えば、その間違った半分にフォーカスすればよい。実際のところ自分は今でもそうする傾向にあって、人との関係を築くとき、遅かれ早かれ、その「半分」が気になりだし、否定をはじめ、こんなはずではなかったと困惑する。意味がないことにはとうに気付いているのにいまだにやめることができない。ただ、最近は、その自分の傾向を自分なりに理解しているので、ああ、また始まったなと自分をなだめることができるようになった。

長かった反抗期からようやく抜け出そうとしているのかもしれない。

それは、つまり反抗心の原点、自分のルーツを否定するということをようやくやめることができたともいえる。極めてまっとうで凡庸なことではあるけど、自分が親になることで、自分の親を認めるという作業をここ何年か続けているし、当然それは感謝や尊敬といった良質な心情と結びつく。

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