実践編・ネゴシエーションスキル【コミュニケーション・表現力】
【価値創造アプローチ】
・交渉による価値創造
→価値をおいている対象の「重み付けの違い」を見出す
<調整可能な価値の違いの例>
形式/実質
短期的/長期的
経済的/政治的
期待高/期待低
対内的/対外的
リスク思考/リスク回避
象徴的/実際的
「価値分配型交渉」と「価値創造型交渉」の違い
・価値分配型
→価値の総計はプラスマイナス・ゼロになる
→論点は一つ
・価値創造型
→
【価値創造型アプローチ】
(1)価値の違いを見つけるコミュニケーション
①意図を確認するための質問をする
「〜と〜では、どちらを優先するのか」
「何故〜するのか/主張するのか」
②口頭・文章で再度確認する
「今の話は〜という理由で、〜したいということですか」
「〜と〜のどちらが重要かというと、〜という理解でよろしいでしょうか」→相手の頭の中を整理するだけではなく、自分の考えを理解してもらえる
(2)相手との信頼関係を構築する
①誠実であること
交渉の根幹の部分で嘘をつかない、約束は守る
②自己開示を行う
相手に「話しても良いかも」という安心感を与える
③「共通の問題を解決する」という姿勢を持つ
④協力しやすいインセンティブを設計する
「協力したほうが得」「協力しないと損する」
・思い込みにト囚われないように留意し、信頼関係を築く努力をしながら、様々な角度から相手の意図を確認する
・価値の違いや重み付けについての理解を深め、それらの利害関係を調整していく
<留意点>
・先入観・思い込みに注意
①相手の置かれた状況は自分と同様だと思い込んでしまう
②立場によって解決策の選択肢が決まると思い込んでしまう
③相手と時間で時間に関する感覚が同じと思い込んでしまう
④論点は所与のものと思い込んでしまう
【交渉の妨げとなるバイアス】
(1)認知バイアス
→交渉の状況について偏った認識をしてしまうこと
「アンカリング」
・認識されやすい情報
・過去の経験や状態
・単純化された情報
・最初の提示
「フレーミング」
・全体に対する比率による枠付け
・付属品がつくと値段も上がるという枠付け
(例:付属品の多いTVショッピング)
・絶対値を小さく見せる枠付
(例:分割払い)
(2)心理的バイアス
・心理的要因が合理的な判断を妨げる
「非両立バイアス」/勝とうとするバイアス
「Not Invented Here症候群」/勝とうとするバイアス
自分で考案していないという理由だけで採用しない
「立場固定」/自分を飾るバイアス
最初にとった行動・方針が合理性を失っても吟味せずに踏襲してしまう
「サンクコスト(埋没費用)」/自分を飾るバイアス
意思決定に無関係なはずの「過去のコスト」に左右される
「確証バイアス」/自分を飾るバイアス
自分の意思決定を裏付ける証拠は受け入れ、そうでないものは軽視する
「授かり効果」/自分を飾るバイアス
同じものでも、自分に所属している場合は高い価値があると感じる
(3)バイアスへの対応策
・バイアスから完全に逃れることは不可能に近い
・深みにハマらないようにする仕掛けを作っておく
・認識を切り替えるための対抗策をもっておく
・「潮時」「負けていいタイミング」を決めておく
→具体的な数値を決め、強制的に行う
・第三者のチェックシステムを作る
<認知バイアスへの対処>
・アンカリングへの対処
→アンカーを自覚する
大げさに文句を言う
対抗する論拠を見つける
意図的に反対のことを言う
「フレーミングへの対処」
→枠付けを変える
人を変える
時間・場所を変える
「バイアスをうまく使う」
・先手を取る
【交渉のプロセス】 /(1)〜(3)準備、(4)交渉
(1)状況を客観的に捉える
①論点はなにか
②関係者は誰か(キーパーソン、ライトパーソン)
③BATNA、留保価値、目標値などはいくらか
(2)相手の視点で考える
①感情(どんな感情状態?なぜそうなっている?)
②規範(どんな規範意識、価値観を持っている?)
③利害
(3)自分のミッションを明確化する
①自分のBATNA、留保価値などを客観的に把握する
②より高い視座から、自分のミッションを意識する
(この交渉で何を実現できるか)
(4)交渉を進め、決着に導く
①交渉舞台の設計
・十分な準備できるか
・冷静に考えることができる環境か
・自由に言いたいことを言える環境
②感情への対応
・規範やり利害を説く前に、まず相手の感情を落ち着ける
③規範のすり合わせ
・相手の規範に合わせて交渉条件を修正していく
→相手のこだわりの強さを見極めつつ、合意可能な規範を探ることが重要
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