傘を盗んだ男 2

「傘を差す」だとわかったところで、コンビニが目に付いた。

そうそう、最近ハマってるソシャゲ用に課金しとかねぇとな。
スマホに入金するときはいつもコンビニでプリペイドカードを買うようにしている。勿論、口座やらに引き継ぎ出来るならそっちの方が楽なのは分かるが、課金頻度が少なく、色々と登録するのが面倒な為、課金するたび足繁くコンビニへ通っているのである。

傘挿しに傘を挿し…、傘立てか。傘立てに傘を立て、コンビニに入った。
どう考えても「立てる」って感覚じゃないよな。傘立てを使うときはいつも傘立てパンパンだし、隙間見つけて挿してるよな。
一番くじがある。こう改めて見ると、ギャンブル商品が多くあるな。特別ギャンブルが好きというわけでもないが、競馬やパチンコに多少の興味はある。俺はリスクと引き換えに得られるサービスを求めているのであって、リスク自体をサービスだとは思わないが。まぁ少なくとも、ギャンブルというリスクが日常生活に割り込んでくるほどに、我々の生活水準が上がっているということだろうか。主観的には感じられないが。
とはいえ、ソシャゲに課金しようとしている時点で余裕あるわな。さっさと買って帰ろう。

ありがとうございしたー

その場で入金し、レシートを財布に入れた。
さて、傘はと…。

傘立てに俺の傘はなかった。
何度見てもなかった。紺色の、そろそろ買い換えようとしていた、デートなら引かれるであろうほどの汚ねぇ俺の傘。

当時の俺はまだ知らないが、精神年齢23歳の俺には分かる。最終的に、俺の傘はコンビニの傘立てにあった。

<また書きます>

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