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「読む笑い」 『双子』⑧


(双子⑦の続き)


A:だから、さっき言ったけど、
俺たちは双子だったって話したじゃん?
それで、お前が話してると思ってるだろ?

B:うん


A:でも実際にここにいるのは
お前の全く知らない弟の方ってこと。


B:え…?


A:だから、おれはお前の親友じゃないのよ

B:え…じゃあ、あなたはおれの知らない人?

A:そう


B:怖い怖い怖い、
え!気持ちわる!
待って、じゃあなに、
生き別れた兄弟の知らない方とずっと喋ってたってこと?


A:そうそう。


B:怖い怖い怖い!
ゾッとしたわ!なにこの感覚!
見た目、親友で?
中身…他人?


A:そうだよ。


B:見た目、友だちで
実は初めましての初対面…?

A:あー、それはちょっと違って
ここ数日ずーっとおれ。


B:え…


A:昨日、お前ん家にも泊まりに行ったでしょ?
あれもおれ。


B:怖い怖い、
え、じゃあ、おれは全くの他人を
自分家にあげたってこと?


A:まあ、そうなるな。
でも、全くの他人というか中身だけが他人なだけで、外見は親友だろ?


B:だから余計気持ち悪いんだよ!
それはどういう気持ちでいたん…ですか?


A:本当に兄貴の方だと信じてるな!笑
って思ってた。


B:そりゃ信じるわ!
さっき双子って知ったんだから、
同じ顔、声のやつがもう一人いるなんて考えないだろ


A:いやー、お前本当、鈍感だな笑


B:それが普通だわ!
てかさっきからお前っていうな!
赤の他人にお前呼ばわりされたくないわ!


A:あ、そうそう
お前まじで、いびきうるせーな


B:おい、初対面だぞ?
よく他人にそんなこと言えるな!


A:部屋も汚いし


B:やめてくれ、
すごいおれの友だち演じてるけど。
初対面だぞ?
てかなんでそんなことしたの?


A:あー、双子って知ってから
兄貴と連絡取り合うようになって、
そしたらこの事実おれらの友達みんな知らないから
入れ替わろうぜってなったのよ笑


B:やめろよ!気持ち悪いな。
じゃあ、同じ被害にあってるやつがまだいるのか。


A:そうなるな笑 
ということで、あと数日一緒に過ごさせてもらいます!


B:それ聞いたら絶対嫌だわ!

(終)

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