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「読む笑い」 『100m走』③



(100m走②の続き)

A:いくよ!
位置について、よーい、
ドン!

(心の中で9秒カウントする)







(9秒経過)

A:ほら!!今だよ!
今よ!この間!
この間に100m走り切ったんだぞ!
相当速いだろ!


B:無理無理!9秒って長さは分かったけど、100m走ったってことまで想像できない!

A:なんでだよ!!


B:なんでって、
俺たちはただ9秒数えてるだけだからな!


A:違う違う!
今のこの間に100m走ったの!


B:その考えに無理があるんだよ!
大体な、9秒っていうのは
今の速い人たちの基準ってだけなのよ。
その基準に対して、そのタイムに近いと速いってなるってことなのよ


A:でもそれだと選手の速さを感じれないだろ?


B:ある程度見てたら、俺たちは速く感じるだろ


A:それだと何となくだろ?

B:しかも、そもそも!
ああいうのはまず最初に何人かで一緒に走って、誰が速いかが先にあるの!
その後1位の人はどれくらいのタイムだったかってことを楽しむものなのよ


A:それじゃあ、
1位の人のタイムを聞いても
俺たちは分からないだろ?


B:オリンピックとか世界記録のタイムと比較するから分かるだろ


A:それはあくまで比較なだけで、
俺たちが実際どのくらいあの人たちが速いか分からないじゃん。
でも、今のやり方なら速さを体感できるじゃん


B:いいよそんな体感とかしなくても!


A:なんで?
これで体感できたらより楽しめるだろ!


B:体感できたらな?
でもこれだと分からないんだよ!


A:じゃあ、実際100mって距離を見たらお前も分かるだろ?


B:いや、そうじゃないだろ…


(100m走④に続く)


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