見出し画像

労働衛生保護具にはどのようなものがありますか?

呼吸用保護具(防塵マスク、防毒マスク、電動ファン付き呼吸用保護具、送気マスク、自給式呼吸器等)
有害物質の吸入や、酸素欠乏による健康障害または急性中毒を防止する
防護服(化学防護服、バイオハザード対策用保護福、耐熱・対炎防護服、溶接等作業用防護服等)
有害化学物質、病原体、熱や炎などから体を保護する
保護手袋(化学防護手袋、対切創手袋、防振手袋、溶接用かわ保護手袋等)
有害化学物質の接触、切創や火傷等を防ぐ
保護メガネ(遮光眼鏡、保護メガネ、レーザー用保護メガネ、顔面保護具等)
眼及び顔面を有害光線や飛来物から防護する
聴覚保護具(耳栓、イヤーマフ等)
騒音を遮音することで騒音性難聴を防止する

保護具は「適正な選択」「適正な使用」「保守管理」を行わなければ十分な性能が発揮されず効果が得られません。労働衛生教育を行うことも重要です。

呼吸器用保護具とは

呼吸用保護具の選び方と使い方
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/r100.pdf

呼吸用保護具は物質の体内取り込みの『最後の砦』として重要なものである。一方、呼吸用保護具を使用することにより、使用しないときに比べ、息苦しいなど作業者にとっては負荷がかかるものである。それゆえ、呼吸用保護具を使用する前に、作業環境改善、局所排気装置の設置を推し進めることが大切である。作業環境改善を実施しても、どうしても健康影響を起こす危険性があるときに呼吸用保護具を使用するようにする。最初から呼吸用保護具で防護すればいいと考えるべきではない。

呼吸用保護具を使用する際には、下記の内容を考慮する。
・ 作業者に何故、呼吸用保護具を使用しなければならないのかを理解させる。
・物質の有害性、作業内容を踏まえて呼吸用保護具の正しい選定を行う。
・ 作業者に呼吸用保護具の正しい装着と、適切な交換時期および廃棄を指導する。

呼吸用保護具の選定前準備について
障害防止対策として労働衛生保護具を活用するには、その選定前に下記につき確認することが必要である。
物質の確認
使用原料の安全データシート(SDS)等を使い、毒性や対処方法等の情報を確認する。
取扱い物質の浮遊状態(粒子状、気体状、あるいは両者の混在)を確認する。
作業環境の確認
環境濃度や、局所排気装置等の状況を確認する。
作業内容の確認
予想される作業に伴う身体負荷の度合いを確認する。
相性(コンパチビリティ)の確認
使用が予想される複数の保護具同士の相性(例えば密着性など)を確認する。眼鏡、耳栓、保護帽などを併用する場合は、それらが呼吸用保護具と顔面との密着を妨げないか確認すること。
保護具メーカー等の情報や助言の確認
不明点があれば保護具メーカー(保護具アドバイザーの資格を有する者を活用する)に相談の上、適切な保護具に関する情報や助言をする。

呼吸用保護具はどのように分類されていますか?

呼吸用保護具とは、粉じん、ヒューム、ガスなどの有害物質を吸入しないようにするために、口と鼻、または頭部全体を覆うように設計された保護具で、次の2種類がある。
・ろ過式:吸入する空気をフィルタできれいにする呼吸用保護具である。酸素が少ない場所やフィルタで充分に空気がきれいにならない環境では使わないこと。酸素濃度18%未満の場所では使用してはならない。
・給気式:ボンベなどから呼吸可能な空気を供給する呼吸用保護具である。

防塵マスクはどのように使用しますか?

・防じんマスクには取替え式防じんマスク(面体とろ過材が分離していて、ろ過材を交換するタイプ)と、使い捨て式防じんマスク(マスク全体がろ過材からなり、使用限度時間を確認して使う。使用限度時間以内でも、息苦しくなったり変形したら交換するタイプ)がある。
・ 防じんマスクのろ過材の粉じん捕集効率には3段階ある。試験物質として固体粒子と液体粒子で捕集効率が求められている。

・一般的に有害性が高い物質によるばく露を防ぐときは、捕集効率の高いろ過材を使用する。
・環境中に切削油などのオイルミストが存在する中で防じんマスクを使用するときは、液体粒子で捕集効率を試験したろ過材(記号でLが表示されている)を使用する。
・オイルミストが存在しない中で防じんマスクを使用するときは、固体粒子でも、液体粒子でも試験したろ過材を使用しても有効である。
・作業者によって顔の大きさが異なるため、一つのマスク面体で全ての作業者の顔にフィットすることはない。従って、作業者の顔面とマスク面体との密着性のよい(漏れが少ない)マスクを選定することが必要である。取り替え式防じんマスクには種々の面体の大きさが用意されている。確認方法は、取替え式防じんマスクを装着し、フィットチェッカー(主にゴム製でろ過材を覆う道具)あるいは手でろ過材を覆って息を吸い、マスク面体が吸い付くような状態になることにより定性的に確認する(陰圧法という)。そうならない場合は、マスクを装着し直して、もう1度やってみる。再び失敗する場合は、別の面体の大きさの呼吸用保護具に変える。使い捨て式防じんマスクは、両手でマスク全体を覆い、息を吐き出して(陽圧法という)、面体が膨張することを確認する(一般的に陰圧法に比べ、わかりにくい)。
・ 作業者が髭をのばしている場合は、半面形の呼吸用保護具では密着性が悪く機能が低下するので、頭部全体を覆う呼吸用保護具を使うこと。
・取替え式防じんマスクのろ過材は、「息苦しくなった場合」、「変形・穴などの破損、著しい汚れや湿りなどがある場合」、「粒子捕集効率が著しく低下した場合」のいずれかの状態になった時は、ろ過材を新しいものと交換する。
・使い捨て式防じんマスクは、原則1回の使用で廃棄すること。(作業内容によっては、1日使用して廃棄する。)

防毒マスクはどのように使用しますか?

・気体状物質を捕集除去できる吸収缶を選定する。吸収缶は、特定の物質専用の場合があるので、慎重に選ぶこと。
・吸収缶はいつまでも使用できるのではなく、ある時間経過すると捕集除去できなくなる(破過を生じる)。作業者は吸収缶を破過時間の前に交換することが重要である。
・臭気のある物質では、吸収缶を使用していて臭気を感じたら交換する。
・有機ガス用吸収缶は、有機溶剤の種類によって破過時間(吸収缶の使用できる時間)が異なることをふまえて使用する。一般的に、沸点の低い有機溶剤は破過時間が短いので、交換時期を頻繁に行う必要がある。
・取替え式防じんマスクと同様に、陰圧法により作業者の顔面とマスク面体との密着性試験を行い、密着性のよい(漏れが少ない)マスクを選定する。

フィットテストとは、何ですか?

⾯体を有する呼吸⽤保護具は、使⽤に当たり、⾯体と顔⾯の隙間から⾯体内に⼊り込む危険性があるため、密着性の良否の確認が必要である。着⽤者の顔⾯とマスクの⾯体の密着性の良否を判定するには、計測器を使⽤した定量的な⽅法と着⽤者⾃⾝が⾏うシールチェック(フィットチェック)がある。

フィットテストの方法
① JIS T8150(呼吸用保護具の選択、使用及び保守管理方法)に定める方法またはこれと同等の方法により、呼吸用保護具の外側、内側それぞれの測定対象物質の濃度を測定し、以下の計算式により「フィットファクタ」を求めます。

② 「フィットファクタ」が以下の「要求フィットファクタ」を上回っているかどうかを確認します。


金属アーク溶接等作業を継続して屋内作業場で行う事業者(令和5年4月1日より義務化)

金属アーク溶接等作業中に発生する『溶接ヒューム』による健康障害を防ぐために、従事する労働者は有効な呼吸用保護具を使用しなければなりません。そこで「継続」して行う「屋内作業場」の労働者は、呼吸用保護具を適切に装着できていることを確認するため、フィットテストを1年以内ごとに1回実施することが義務となりました。

第三管理区分に区分された事業場(令和6年4月1日より義務化)

作業環境測定結果が第三管理区分になった場合、措置が強化され、主に以下の対策が必要となります。

化学防護手袋はどのように使用しますか?

SDSを確認し、暴露防止及び保護措置で、「皮膚」「skin」の記載のあるものは、防護手袋を使用する必要があります。対象とする化学物質を考慮して適した手袋を選択しましょう。使用する前には、穴がないかを確認し、使用可能時間を超えて使用しないようにしましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?