酸素欠乏等の防止対策
酸素が欠乏するとどのような健康障害が生じますか?
空気中の酸素濃度が低下することを酸素欠乏といい、酸素欠乏状態の空気を吸入することで酸素欠乏症にかかります。酸素欠乏症にかかると目まいや意識喪失、さらには死に至る場合があります。
酸素欠乏は、どのような職場で発生しますか?
1 物の酸化
① 鉄製タンク、船倉などの内部(内壁がさびる)
② くず鉄、石炭、魚油などが入れてあるタンク、貯蔵施設などの内部(貯蔵又は運搬中の物の酸化)
③ 乾性油を含む塗料で塗装され、その塗料が乾燥する前の通風が不十分な施設の内部(塗料が酸化される)
④ 井戸などの内部(土中の鉄分がさびるなど)
2 穀物、果菜、木材等の呼吸
① 穀物、飼料が入れてある貯蔵庫などの内部(牧草、食料品の貯蔵)
② 原木、チップなどが入れてある貯蔵施設などの内部(木材の呼吸、発酵など)
3 有機物の腐敗、微生物の呼吸
① し尿、汚水などのタンク(下水や汚物中の微生物の呼吸)
② 暗きょ、マンホール、ピット等(地表から流入した汚水の中の微生物の呼吸)
③ 醤油、酒など入れたことのあるタンク(密閉されたタンクの内部などでの微生物の呼吸)
4 人の呼吸
内部から開けることのできない冷蔵庫、タンクなど(密閉された環境での酸素消費)
5 不活性ガスの流入
① 窒素等の不活性ガスが封入されたタンクや貯蔵施設の内部(火災、爆発、酸化防止のために窒素封入等)
② 溶接作業の行われているピットやタンクの内部(溶接作業の際のアルゴンガスなどの滞留)
6 冷媒に使用されるガスの滞留
冷凍機室、冷凍倉庫、冷凍食品輸送トラックなどの内部(冷却のためのドライアイスの気化ガス充満など)
7 酸素欠乏空気などの噴出
① 埋立地、トンネル、ガス田地帯の建物基礎坑の内部(メタンガスの噴出)
② 地下プロパン配管の付近(配管かえの際のガスの噴出)
③ 船室、地下駐車場、可燃物取扱場所(炭酸ガス消火装置の誤作動、故障)
④ 石油タンカーの油槽内、精油所のタンク内(石油ガスの遊離、低沸点溶剤の気化)
硫化水素ガスの健康障害について説明して下さい。
硫化水素は自然界の様々な状況で発生しています。汚泥等の撹拌や化学反応等によっては急激に高濃度の硫化水素ガスが空気中に発散されることもあります。硫化水素ガスは嗅覚の麻痺や眼の損傷、呼吸障害、肺水腫を引き起こし、死に至る場合もあります。
酸素欠乏等による健康障害はどのように防止すればよいですか?
酸素欠乏症を防ぐためには、十分な換気や酸素濃度の測定、空気呼吸器などの保護具の使用が重要です。管理者の指示に従って対策しましょう。 同僚が酸素欠乏症で倒れた場合、対策をせずに助けに行くとあなたも酸素欠乏症になってしまうかもしれません。助けに行く際は必ず保護具をしましょう。
換気
酸素欠乏危険作業を行うときは、爆発、酸化等の防止のために換気することができない場合又は作業の性質上換気することが著しく困難な場合を除き、換気して、その作業場所の酸素濃度を18%以上に保つようにしなければなりません。
第5条
1 事業者は、酸素欠乏危険作業に労働者を従事させる場合は、当該作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を18%以上(第二種酸素欠乏危険作業に係る場所にあつては、空気中の酸素の濃度を18%以上、かつ、硫化水素の濃度を10ppm以下)に保つように換気しなければならない。ただし、爆発、酸化等を防止するため換気することができない場合又は作業の性質上換気することが著しく困難な場合は、この限りでない。
2 事業者は、前項の規定により換気するときは、純酸素を使用してはならない。
保護具の使用等
酸素欠乏危険場所で作業する場合、酸素の濃度測定と換気を繰り返し、酸素濃度を18%以上に保ち続けることが必要です。しかし、作業開始前の濃度測定や換気をすることが技術的に難しい場所での作業、また、事故の場合に救出するときには、酸素欠乏症や二次災害を防ぐため、呼吸用保護具の使用が必要です。給気式の空気呼吸器やホースマスク等を使用してください。
1 第5条の2 事業者は、前条第1項ただし書の場合においては、同時に就業する労働者の人数と同数以上の空気呼吸器等(空気呼吸器、酸素呼吸器又は送気マスクをいう。以下同じ。)を備え、労働者にこれを使用させなければならない。
2 労働者は、前項の場合において、空気呼吸器等の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?