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高齢労働者対策とトータルヘルスプロモーション


高齢労働者の労働災害にはどのような特徴があるか?


働く高齢者が増えています。60歳以上の雇用者数は過去10年間で1.5倍に増加。特に商業や保健衛生業をはじめとする第三次産業で増加しています。
こうした中、労働災害による死傷者数では60歳以上の労働者が占める割合は26%(2018年)で増加傾向にあります。労働災害発生率は、若年層に比べ高年齢層で相対的に高くなり、中でも、転倒災害、墜落・転落災害の発生率が若年層に比べ高く、女性で顕著です。
高齢者は身体機能が低下すること等により、若年層に比べ労働災害の発生率が高く、休業も長期化しやすいことが分かっています。
体力に自信がない人や仕事に慣れていない人を含めすべての働く人の労働災害防止を図るためにも、職場環境改善の取組が重要です。

高齢労働者の労働災害防止対策はどうしたらよいか?

身体機能の低下を補う設備・装置の導入(主としてハード面の対策)
・高齢者でも安全に働き続けることができるよう、施設、設備、装置等の改善を検討し、必要な対策を講じます

 高年齢労働者の特性を考慮した作業管理(主としてソフト面の対策)
・敏捷性や持久性、筋力の低下等の高年齢労働者の特性を考慮して、作業内容等の見直しを検討し、実施します

体力の状況の把握
・高年齢労働者の労働災害を防止する観点から、事業者、高年齢労働者双方が体力の状況を客観的に把握し、事業者はその体力にあった作業に従事させるとともに、高年齢労働者が自らの身体機能の維持向上に取り組めるよう、主に高年齢労働者を対象とした体力チェックを継続的に行うよう努めます
・体力チェックの対象となる労働者から理解が得られるよう、わかりやすく丁寧に体力チェックの目的を説明するとともに、事業場における方針を示し、運用の途中で適宜その方針を見直します

トータルヘルスプロモーションとはどのようなものですか?

労働安全衛生法第69 条に基づき、事業者は、労働者に対する健康教育等の健康保持増進措置を継続的かつ計画的に講ずるよう努めることとされています。その適切かつ有効な実施のために示されたのが、
「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」(THP 指針)です。

THP指針のどこが改正されましたか︖

令和5年3月31 日 公示第11 号改正

● 健康保持増進に関心を持たない労働者への働きかけや、労働者の高年齢化を見据えて若年期からの運動の習慣化を図る等の視点が、フレイルやロコモティブシンドロームの予防という形で明確化されました。
● 加齢に伴う筋力や認知機能等の低下が転倒等の労働災害リスクにつながることから「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」(令和2年3月16 日付け基安発0316 第1号)に基づいた対応が重要とされました。
● 体力の状況を客観的に把握し、自らの身体機能維持向上に取り組めるための健康測定手法として、身体機能セルフチェック、フレイルチェック、ロコモ度テスト、が例示されました。
● データヘルスやコラボヘルスの観点から、定期健康診断結果等の労働者の健康状態が客観的に把握できる情報を医療保険者と共有して労働者の健康状態の改善や保持増進に活用することが望ましいとされていましたが、「積極的に活用することが重要」と強調されました。
● 情報連携をよりスムーズにするため、健康測定や運動指導の内容などは電磁的な方法で保存管理(デジタル化)することが適切とされました。

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