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Well-beingで心のディスタンスを縮めよう

コロナ禍の中、三密を避けるため、リモートワークやweb会議、オンライン飲み会など、オンラインが一気に普及したようですね。さまざまなウェビナーも頻繁に開催されるようになり、いままでなら東京に行かなければ聞けなかったようなセミナーに参加できたり、海外にいる方のお話を伺えたり、さらには、講師や登壇者の方とネット上とはいえ、直接お話ができたりするようになりました。

もちろん、良い面も弊害も両方でています。朝日新聞DIGITALに掲載された武蔵大学の森永雄太氏の調査によれば、

(1) 仕事や余暇時間へ影響:リモートワークをしている従業員は、余暇時間の質や量の満足度が向上している一方、仕事の質・量が低下している傾向が見られた。生産性の維持・改善が急務と考えられる。
(2) 健康への影響:運動量が低下したと回答する従業員は75%。これは外出自粛の影響も大きいと考えられる。一方、睡眠時間が改善したとする従業員も多く、健康面での部分的な好影響も示唆された。
(3) リモートワークにおける課題:「出社しないとできない作業がある」「設備等が不十分」といった業務設計やインフラ関連の課題の他、コミュニケーション上の課題も浮き彫りとなった。
(4) リモートワークの継続への期待:今後通常通り出社できる社会情勢になった場合もリモートワークを継続したいとする従業員は約60%にのぼり、継続に否定的な従業員22%を大きく上回った。

・仕事への影響
生活の場と仕事の場が一緒になり、気持ちを切り替えるのが難しいと感じます。小さなお子さんやペットがいるご家庭ではなおさらでしょう。サイボウズの青野氏は、web版のデイリー週刊新潮で、「社内のコミュケーションがとれていない会社ではテレワークは絶対に成功しない」と言っていました。エンゲージメントが高く、「自分の会社がどこに向かおうとしているのか」「その中で自分はどんな仕事をすべきか」ということをしっかり考える社員じゃないと効率のよいリモートワークは難しいということですね。

・健康への影響
運動不足は私も痛感しました。普段の生活だと1日8000歩くらいは歩いていたのですが、リモートワークになると2000歩前後と激減しました。日常、特に意識していなくても、結構動いているんですね。この結果も明らかです。いわゆるコロナ太りというやつですね。

・余暇時間の質や量の満足度が向上
いわゆるQOL(生活の質)の向上ですね。冒頭書いたとおり、いろいろなウェビナーに参加できるよになったのは、私にとっては大きな喜びになっています。また、通勤時間がなくなったので、その時間を散歩にあてるなどして、運動不足を解消する努力はしています。私も東京に住んでいたことがあるので、首都圏の通勤ラッシュは知っています。あの通勤地獄から解放されるのは大きなメリットでしょうね。

・出社しないとできない作業がある
緊急事態宣言下、街は人通りが絶え、静まり返っています。だからといって、すべての会社が活動を止めたり、リモートワークにしたりしたのかというと、そうでもないですね。私が知る製造業の多くは、生産を続けています。当然ながら、生産設備の運転のため、従業員も出社しています。むしろ、テレワークできているのは少数の間接部門、管理部門の人たちだけなのではないでしょうか。

・コミュニケーション上の課題
確かにweb会議の便利さに気づきましたが、すべての会議をweb会議にできるかというと、そうとも限らないと思いました。Web会議をやってみて感じたのは、細かい表情や抑揚などが伝わりにくいということですね。コミュニケーションの7割から8割は表情や身振り手振りといった非言語によるともいわれていますので、この部分が少なくなるのはつらい。そしてもう一つ、web会議では同時に発声しずらいので、発話を止めて譲り合うというシーンにしばしば遭遇します。会話には「共話」というスタイルがると言われています。あいづちや合いの手を入れて、話し手と聞き手が一体となって談話を進行させていくスタイルです。日本人の会話では特に顕著だと言われているのですが、この「共話」が成り立ちにくいということも、web会議のやりづらさのひとつであると思います。
この緊急事態宣言の中、身近でかわいそうな出来事を目にしました。3月に大学を卒業して、意気揚々と新社会人になった方のことです。彼は、4月に入社し、経営者の顔を見ることもなく、いきなりリモートワークになってしまいました。3月にあったときは元気だったのに、先日再会したときは表情がどんよりとしており、わずか2か月での変わりようにびっくりしました。会社からは課題図書が渡され、それを読んで感想文を書いているということでしたが、相談できるような先輩社員がいるわけもなく、完全にアイソレートされていました。彼に限らず、新しいコミュニティに加わるのは心理的な負担が大きいですから、会社には、まずは、居場所を作ってあげるといった配慮をしてほしかったですね。

・リモートワークは継続するか
私は、リモートワークの流れは続くだろうと思います。特に首都圏の本社機能は、リモートワーク化、さらには、地方への分散が進むのではないかと考えています。リモートワークが進めば、都心の一等地の本社は縮小できますので、地代の高い首都圏ではコスト削減効果が大きいはずです。近年の豪雨では、都市部のインフラの脆弱さも露呈しましたし、首都圏の地震発生の可能性も考えると、リスクマネジメント観点からも、地方分散が進むと思います。従業員も通勤地獄から解放されますし、地価の高い首都圏でマイホームローンに苦しめられなくてもすみ、QOLも格段に向上すると思います。実際、東京の本社をなくしてしまう企業も現れてきました。

ここで、大きな課題になるのが、コミュニケーションと仕事の効率でしょう。その一つの答えが、幸福度、well-beingです。
一例をあげると、こういう研究結果があります。
幸福感の高い社員は
  生産性が31%高い
  売り上げが37%高い
  創造性が3倍高い
どうでしょう。すごい効果じゃないですか。

そして、その幸福感を高めるためには、慶應義塾大学の前野隆司氏によると4つの因子があるとのことです。
1.「やってみよう!」因子(自己実現と成長の因子)
 「夢」や「目標」や「やり甲斐」を持ち、それを実現しようと努力し成長していくことが人の幸福感を高めます。
2.「ありがとう!」因子(つながりと感謝の因子)
 人と一緒に楽しんだり愛情に満ちた関係を築くこと、人に喜ばれること、親切な行為をすることなどによって私たちは幸せを感じます。
3.「なんとかなる!」因子(前向きと楽観の因子)
 自己肯定感が高く、ポジティブでいられることは、やはり幸せにつながります。
4.「ありのまま!」因子(独立と自分らしさ)
 他人と比較せず自分らしくやっていける人は、そうでない人よりも幸福だといいます。

これからは、ソーシャルディスタンスは取りつつも、心のディスタンスを縮めることを意識する必要があります。そのためには、well-beingを第一に考えていきましょう。

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