あの頃の気持ちはまだ在りました。
こんばんは、芸人になろうと思ったきっかけは2004年のM-1グランプリ、トゥインクル・コーポレーション所属の単独屋、ジャパネーズのウネモトモネで御座います。
いやぁ~凄かったですね、THE SECOND。今年から始まった結成16年目以上の芸人さん限定の漫才賞レース。そりゃあもう錚々たる先輩方が出場されるので、始まる前から絶対に面白いのは確定していたのですけれど。もうもうもンの凄い決勝戦でした。
2023年5月20日(土)。我々ジャパネーズは事務所の稽古場にて、今月29日に開催の新ネタライブの稽古をしていた。今月も先月に引き続き10本のコントを披露すると宣言。9日前にして完成している台本は6本。その6本をひとまずは読み合わせ。そして細かい部分のニュアンスを相方に伝えてゆく。そしてその後はコント中に使うナレーション録り。更に残り4本の新ネタの為のアイディア出し。先月の新ネタライブではそれが功を奏してポンポンポンとショートネタが3本くらい出来たのだけれど、今回は惜しいところまでは行ったのだけれど、台本を完成させることは出来なかった。
4時間くらい稽古とミーティングをした後、相方は帰宅。僕は帰宅すると放送開始時間に間に合わないのでそのまま稽古場に残り、持ち込んだ自分のノートPCからTVerでTHE SECONDをリアタイ視聴。
※ここからTHE SECONDのネタバレありますので御注意下さい。
4時間超えの生放送。もうずーーーーーっと面白かった。漫才が面白いのは当然なのだけれど、平場のトークとかもどの芸人さんも全く隙が無い。1試合1試合に他の賞レースの最終決戦くらいのドラマがあった気がした。積み上げてきた芸歴・人生と6分間という尺の成せる業なのか。というか6分間飽きさせずに漫才を披露する能力って凄過ぎませんか。ほんと。複数の人間が喋っているだけなのに、あんなにも惹き込まれてあんなにも笑わされて。
最終決戦がマシンガンズさんとギャロップさんなの、めっちゃ良かったなぁ。と言いつつどなたとどなたが最終決戦に行ったとてそう思っていたには違いないんだけれども。再三に渡って松本人志さんが仰っていた「ヤラセ」というのがボケじゃないんじゃないかというくらい、筋書きが在ったかのようなドラマチックでカッコ良くて面白い展開。そう視せてしまう芸人さんたちのパワーとテクニックが凄い。
高校三年生の頃、テレビのお笑い番組にハマって「オンバト」「エンタの神様」「笑いの金メダル」毎週録画して視ていた。そしてその時知った「M-1グランプリ」という漫才の大会。その当時はこんなにも沢山の芸人さんがこんなにも過酷な予選を勝ち抜いて決勝に上がって来ていることすらよく解っていなかった。何となく録画した決勝当日夕方の事前番組。そこには予選(おそらく準決勝)で敗退していった芸人さんたちが沢山映っていた。ほんの数秒しか流れていなかったけれど、どの芸人さんの漫才もめちゃくちゃ面白くって。でもそんな人たちが勝てずに涙を流したり叫んだりして悔しがって。何だか剥き出しの心臓を視たような、そんな感覚になって。その姿がカッコよくてカッコよくて。僕は芸人になろうと決意した。
その時のアツい気持ち、芸人さんへの果てしない憧れ、そんな気持ちがTHE SECONDの決勝を視て甦ってきた。いや甦ったワケじゃない、ずっと心の中には在ったんだけれど、引き出しの中にしまってただけ(キモい上に手垢がつきまくった表現)。
芸歴13年目。あの高三の時にドキュメント番組で視て心を揺さぶられた芸人さんたちは当時結成10年以内。だから今の僕らよりも芸歴は後輩の人がほとんど。なのにあの面白さ、あのカッコよさ。どうなっているんだあの人たちは。そして何をやってきたんだ僕たちは。
とにかくね、あの頃のあの気持ちを思い出した。もう一度改めて「芸人になりたい!」と思った。いや形の上ではなっているんだけれどもね。でもそういうモンでも無いじゃないか、現実。残酷なんだよ。清々しいくらいに。ウネモトはもう一度芸人になりたいと思った。人生二度目。だから僕らにとってもやはりTHE SECONDはやっぱりTHE SECONDなんですよ。え?
こんな感じで延命されてしまったくすぶっている芸人が今宵何人居たことだろう。何百じゃ済まないな。きっと何千も居ると思う。その人たち全員がライバルなんでしょ?過酷やね。
売れていなくても続けられることも才能の内。というか運も在るというか。「続ける」ということの難しさが毎年毎年鮮明に理解出来るようになってきている。続けたいよ、売れてなくても。身体が元気な内は舞台立ってコントやってたいよ。身体が元気じゃなくなっても脳味噌が元気ならベッドの上で台本書き続けてたいよ。現実逃避だって売れるか死ぬまで逃げ続けられたら勝ちなんだよ。
そんなことを考えて、脳味噌も心臓もアツアツの状態で帰宅した。この感動と興奮を一刻も早く相方と共有したいと思って玄関のドアを開けた。そんな僕の感動と興奮を一気に消し去った圧倒的なニンニク臭。現在、餃子屋で修行中の相方が繁盛店の昼時くらいの量の餃子を練習で焼いていた。僕が心と頭を熱くしている間、相方はフライパンを熱して餃子を焼きまくっていた。餃子を鱈腹食べて、お酒も飲んで気持ち良くなった相方が、千鳥足ぎみにトイレに入って行く。トイレから出て来た相方に「THE SECONDは視た?」と訊くと「最後の対決だけちょっと視た。」と。この圧倒的温度差。でもこのどうしようもない程の温度差がジャパネーズ。殺さず生かせ、その温度差。
餃子に相方を取られないようにする為にも、ウネモトモネはもっともっとネタ作りを頑張ろうと思った。高校三年の時のあの気持ちがまだこの心の何処かに在る限り、絶対頑張れる。
THE SECOND視終わった後、何だかずっと息を止めていたような気分になった。ぷはーーーーーッ!!!って感じ。あと出演されていた芸人さんたちの色気が凄過ぎて、なんかもの凄くエロい番組を視てしまったような気持ちにもなった。この感覚、共感していくれる人居るかなぁ。居ると思うんだよ。
もう午前3時か。今日は日付変わって昼と夜にライブ。頑張ろ。おやすみなさい。