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保育園立ち上げ日記 |#2| スタッフのキャリアアップのために取り組んでいること

保育士は、キャリアと給与のアップがしにくい印象があります。
実家が幼稚園なのですが、昔からの実家や周囲の園の様子を見聞きする中では
1:助成金で成立する(利益が出ない)事業であること
2:専門職のため業界外へは転職がしにくい一方で業界内の給与が低水準なこと
3:収入アップを志望するひとが多くないこと(心理的報酬をより求めるひとが多いこと)
4:年功序列であること
等が理由かなと感じています

*数値的根拠はなしです
*近年は国や行政から処遇改善の手当が出て上がってきているとは感じます

その一方で、自分たちの園を選んでくれたスタッフたちが、ずっと残るにしろ別のところへ行くにしろ、ここで働くことでキャリアアップになったと振り返られる職場でありたい。

そのために、意識してきたこと、取り組んできたこと、具体的に何をしているか記録していきます。

尚、保育園は2019年4月にオープンしました。事業は明記していないのですが、以下記事のように運営をしています。

1:ITツールを使う(Slack, G Suite)

ITツールとして以下2つを導入しました。もちろん導入の理由は現在の園にメリットがあるからですが、転職にあたってもきっと役立つスキルと考えています。

Slack

目的
遠隔で情報にアクセスできるようにする
会話や情報をテキストで残す
コミュニケーションをオープンにする
文書をオンラインで共有する
用途
全体の他に以下のチャンネルなどを設定しています
・クラスごと
・リーダー
・キッチン
・翌朝への引継ぎ
・注文したいもの
・写真
・行事ごと
ルール
送信者は24hいつでも送ってもよい
受信者は勤務時間以外は開かなくてよい
共有先を適切に設定する(クローズドにし過ぎない)
必ずレスポンスする(リアクションだけでもよい)
メリット
上記の目的は達成できています。保育園は、メール文化はないのですが、逆に情報共有が口頭で行われやすく社内で情報アクセスに個人差が出やすい業態かと思うのですが、Slackにすることでその差は軽減できていると感じます。
デメリット
一方で、帰宅後も業務できてしまうことで、オーバーワークに繋がってしまう時期がありました。そのため「受信者は勤務時間以外は開かなくてよい」というルールを都度確認すること、立場が上の者がプレッシャーをかけない空気を作ることで、対応しようとしています。

開園から6ヶ月経って、先生たちもうまく使ってきてくれている印象です。
Slackを使いこなせることは、別の業界に転職したときに、特に役立ってくれるのではと思っています。

Google Suite

目的
文書をオンラインで管理・共有する
用途
・文書の作成(Spread Sheet)
・保護者向けアンケート(Form)
・ミーティングのログと蓄積(Document)
・写真と文書の管理(Folder)
メリット
情報が一元化できること、いつでもアクセスできること。
何より、SlackとG Suiteの連携性が高いのが、本当にすばらしい〜。
共有したいとき、いちいちメールアドレスをタイプせずに、スラックにコピペして送信してまえば1クリックで共有が終わる。
デメリット
最初は使い方について細かい説明でサポートが必要だったけれど、スタッフ全員今は上手に使ってくれていて、特になしと感じています。

2:ミーティングを適切に行う

日々の子どもたちの様子と活動、イベントの準備、新規園のため必要なさまざまな意思決定。話し合いたいことがたくさんあるのですが、現場の保育があるため打ち合わせできる時間は限られていて。

その中でいかにミーティングを有効に使うかはみんなで意識していきたい点でした。

特に日本企業は無駄なミーティングが多いと言われることもあるけれど(以下はその点を指摘していた先日読んだブログ)

ミーティングを上手に適切に行うスキルは、どこでも重宝されるのではと思っています。

以下の4つを全スタッフに浸透できるように取り組んでいます。

アジェンダを事前に作る
主催者が議論すべき項目を事前に集めておいて、
優先順位を付けておき、
かつそのアジェンダを開始前に全員に共有する。
意思決定にフォーカスする
話したりコミュニケーション取ったりすることが好きな性格の人が多い環境というのはあると思うのですが、日々いろいろなことが起きる現場で、先生たちが集まるとき共有したい声や話がたくさん出てきて本題を逸れてしまうことが一定ありました。

そのため、話がずれ始めたら「話戻します」と明確に言い切って「何を意思決定したいか」の認識を改めて共通させる、ということを都度してきました。

子どもたちの話、保護者からの声、共有したいことはたくさんあるのですが、ミーティングでは意思決定にフォーカスする。これを完全に浸透させたいです。
意思決定は アクションに落とし込む
ミーティングで意思決定しても、流れてしまったら意味がなくて。
次のアクションまで落とし込まなければ意味はない。
▼誰が
▼いつまでに
▼何をするか

これをログのトップ部分に書くフォーマットにしています。

画像のような形態です(※名前はダミー)

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ロガーを1人だけ任命する
当たり前のようですが、実家の幼稚園でのミーティングで気になっていたのが、全員が個別にその日の内容を書いていたということ。

これは、その場で共有された内容が、確かに全員に共有認識されたのか確かめにくく、各自での議事録はミスコミュニケーションに繋がる可能性があると感じていました。

1人が 全てのログを取って 全員に共有して それぞれが見直す。

この作業によって 誤理解のリスクが確実に減らせると考えています。あれ?と思う点があればすり合わせることができて。

1人だけが ログを録る。大事と思っています。

3:イシューを設定する

これはわたし自身がこちらの本『イシューからはじめよ』を読んでから圧倒的に意識したことでした。

確かに今までの自分も含めて 社会人でもこれが苦手 or 意識していない人は多いと感じています。

冒頭の概要をとてもざっくり纏めてしまうと
仕事の生産性をあげるためには、適切に問いを設定することが重要で
a)その問いは答えを出せるものか
b)回答を出すことでアウトプットの質が上がるものか
をきちんと見極めなければいけないという内容でした。

このことを意識していると、特にスタッフからさまざまな声が届くとき、起きている事象に対して意見や感情があるのだけれど「何を解決しなければいけないのかが自分でも見えていない」「事象の原因と想定していることが本当は正しい原因ではない」というようなことが多々ありました。

そこで、そのようなときは話を聞きつつ

・事象を整理して課題にする
・課題を分解して問いにする
・問いを答えを出せるものと出せないものに分解する

という作業を一緒にするよう心がけてきました。

これはなかなか難しい。
多分コンサルタントという職業は正にこの作業を汎用して使うスキルを持っている人たちで、多くの人にとって難しいからこそコンサルタントはたくさんの報酬を得ているんだろうなとしっくり感じています。

けれども、上記の作業を何回か行ってきたことで、例えば、課題を並列させて番号を振ってメッセージしてきてくれたり、より事象の要因を自分で想定した状態で話をしてきてくれたり、その上で声を伝えてくれようとしてきてくれているように感じます。

もちろんわたしもたくさん足りていないのだけれど、一緒にこのスキルを作っていけたらうれしいなと思っています。

4:保育等の専門スキルをアップする

1-3 はより他の業界でも役に立ててもらいやすいスキルだと思うのですが、同時に、保育士として、教師として、調理師として、専門的なスキルもたくさん上げていってもらえたらと思っています。

そのために、6ヶ月ごとに最大5000円の研修費用を補助する制度を設定しました。かなり多くの企業で設置されている制度と思うのですが。

運用にあたりひとつハードルなのは、自主的に動くひとでないと、利用しないということ。

利用のハードルを下げるために、例えば、こちらから「こんな研修がありますよー」とか「これに一緒に参加しませんか」とかきっかけを提供することが必要かもと感じています。

数年後には、国内・海外のさまざまな研修機会をスタッフに提供できるような職場になっていたい。


以前Twitterで、発言者は確かスタートアップのCEOだったのですが
「僕の仕事はみんなの給与をあげること」と言う言葉を見ました。

わたしもそうでありたいなとハッとさせられたのでした。

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