見出し画像

ドール撮影者のためのスタンド使い分け入門

はじめに

ドールさんをいきいきとしたポーズで撮影する為には、キメキメのポーズのまま安定して立っていてもらう事が大切です。その為には適切なスタンドを選択する事が重要です。
しかしドールあそびを始めたばかりでは、スタンドの種類や使い分けのポイントを知る機会が中々得られないかもしれません。
そこで今回はうちでよく利用しているドールスタンドについて、拙者がどう使い分けているかについて書いてみたいと思います。また入手方法についても、できる限りフォロー出来たらと思います。

注意事項

・登場するドールさんはDDdyです。DDやDDSより太ももや胴が太ましいです。
・当文章内の記述はあくまでも著者個人が利用した際の主観であり、機能や動作を保証するものではありません。
・本文章の内容を実践した結果発生した事故・破損について、著者は一切の保証を致しません。実践される際は自己責任の下で行ってください。
・製品に対する記述はあくまでも著者の主観です。また仕様等は予告なく変更されている可能性がありますので、各販売者さんにご確認ください。

サドルタイプ

まず最初に、普段最も使用しているサドルタイプのスタンドを見てみましょう。
写真は、ほっけ家で長い事使っているセレンズさんのサドルタイプ、アクリルベースのスタンドです。ベース部にカメラ小ネジ穴が開いているので、各種三脚やライトスタンド等に載せて高さを確保するような使い方が可能です。

画像1

使い方:
サドルの部分にドールさんを跨がらせて座らせる感じです。実際このタイプの派生形として、ボークスさんでは椅子タイプのスタンドなんてのもあるようです。ディスプレイケースに収める場合は、このタイプが最適ではないかと拙者自身は考えております(その場合は木製ベース台座の方がいいかも)。

利点:
非常に安定します。バランスをうまくとれば片足立ち系のポーズも可能です(あまりおすすめはしません)。
また野外撮影の際で地面が土や砂の場合には、ベース部分を外して棒を直接地面へ突き立てる事で割と安定した状態でセッティングでき、かつ後日レタッチでベース部を消す為の手間も不要になります。

欠点:
このタイプはパンツ系の服装との相性が悪いです。実質スカート専用です。この写真の様にショートパンツではパンツの上にサドルの金具ががっつり写り込む為、レタッチでスタンドを消す段階で大変苦労します。
もう1つ、これはベース板を使う方式のスタンド共通の問題なのですが、ベース部が写り込むと目立ちます。ベース板を使うならば足切りの構図にした方が幸せです。
同様にベース板方式のスタンド共通の問題なのですが、支える棒は必ずベース部から垂直に立っています。要するに真下から真上を支えるスタイルになります。必然的にベース板に足を乗せるポーズになりやすい訳です。ですが足を乗せてしまうとレタッチ後にベース板の厚み分足が浮いて見える現象が起きます。足を乗せて撮る際は、その辺りも意識した方が良いかもしれません(やっぱり手っ取り早く足切り構図だよ…)。

セレンズ SD/DD サドルタイプスタンド アクリルベース(クリア)
※カメラ小ネジ穴加工はオプションです
https://selen.ocnk.net/product/7

脚サポートタイプ

同じくセレンズさんで、サポート先端の形状がサドルではなく輪っか状になっていて脚を支えるタイプのスタンドです。
サドルタイプはつっかえ棒式に3本目の足で支える感じでしたが、こちらは片足の接地性を強化するような方向性のスタンドです。

画像2

使い方:
パンツ系のお洋服などでサドルタイプでは不都合がある場合は、サポート部だけこちらのタイプに差し替えて使っています。普段はそれほど登場する機会はありません。
風が強い日等は輪っかの他にリピートタイ(再利用出来るタイプの結束バンド)で足の下方と棒とを縛っておくと非常に安定します。
同様に片足立ちさせる際、素のままだと輪っかに沿ってくるんと回って転びやすいので、ほっけ家では下方をリピートタイで縛る事があります。
リピートタイがあると風対策で非常に役立つので、常に撮影道具に忍ばせておくと色々捗ります。

利点:
前述のパンツ問題が起きません!サポート棒の垂直部分を足の背後の死角に収めてしまえば、像の手前に露出するのはふとももの輪っかの棒だけにできます。つまりレタッチのコストを少なくできる訳です。
(写真の例では敢えて隠していません)。

欠点:
利点とは逆の事を言いますが太ももに必ず金属の輪っかが被りますので、ロングのパンツスタイルには向きません。消し方はわりと確立されている為それほど苦ではありませんが、本記事のトップ画像のようなシースルーのお洋服を着せると、途端に消し作業の難易度が上がりますので注意が必要です。
その他ベース板方式共通の悩み所である、ベースの写り込みに関する考慮が必要となります。
なお、このタイプは地面に直接突き刺して使う手法には向きません。

セレンズ SD/DD 脚サポートタイプスタンド(アクリルクリア)
※カメラ小ネジ穴はオプション
https://selen.ocnk.net/product/16

太もも支え棒タイプ

商品でいうとあさちゃんちさんの「あそ棒ついん(くくるん)」がこれに該当します。

画像3

使い方:
前述の脚サポートタイプは片足の動きを拘束するタイプでしたが、同じ片足サポート系でも、片足につっかえ棒をするタイプとなります。
狭い面積かつ手前に衣類等が被る場合はこちらを使う事があります。
野外撮影の際は必ず荷物に忍ばせて行きます。他のスタンド単体では転びそうな時に、こちらを補助スタンドとして追加する事があります。

利点:
つっかえ棒の部分はほぼ脚の背後の死角で隠せます。
それとベースが存在しないため足元まで入れる撮影に向いています。
後処理がちょー捗ります。
そして割と狭い面積で利用できる点も良いです。

欠点:
脚サポートタイプ同様、太ももの結束バンドを消すコストが発生します。
またあくまでもつっかえ棒ですので、接地面積の関係で棒がスリップダウンしやすい点が挙げられます。
そして素のままで野外撮影に使うと風でコケる可能性大ですので注意が必要です。
片足立ちは…出来ますがあまりおすすめはしません。
室内かつMDDなら…といったところでしょうか。

あさちゃんち あそ棒ついん(くくるん)
https://asatyan.cart.fc2.com/

ボークススタンド"改"

ボークスのどの店舗でも売ってる純正サドルスタンドは、ドールさんが倒れる事がまずないと言える、とても頑丈で信頼のおけるものです。ですが、前述のセレンズさんのスタンドと同様に足下にベースを接地しなければならない為、全身を入れるようなドール撮影では使いにくかったりします。
そこでどこにでもある市販一般部品の組み合わせで、使いにくい点の克服を試みたスタンドがこちらの”改”になります。
いつの頃からかドール撮影おじさん界隈では当たり前のように使われるようになっておりました。
こちらについては販売店があるわけではなく、各商品を購入して自分で組み立てる形態となります。組み立てると言っても工具は特に必要ありません。
(写真の例では、都合上狭い範囲内に収めようとしている為、比較的真下から支えています)

画像4

具体的な改造ポイントですが、ボークスのスタンドがいわゆるカメラ大ネジになっている事を利用して、カメラパーツと汎用ナットをスタンドに追加する事で、角度を自在に変えられるようにしようというものです。

買うもの:
マジックアーム(と呼ばれるもの)
→Amazonで”マジックアーム”で検索するとヒットします。長さはお好みでお選び頂いてかまいませんが、長過ぎると倒れやすくなるかもしれません。
カメラ大ネジ(3/8インチ)のロングナット(3/8 x 40mmくらい)
→Amazonでも売ってますが、法外な価格なのでホームセンターで探してください。1個数十円~数百円程度です。
カメラネジ変換アダプター(※2個必要)
→マジックアームはカメラ”小”ネジ(1/4インチ)なので、大ネジへの変換アダプターが2個必要になります。Amazonもしくは○ドバシカメラあたりで購入できます。

使い方:
主に野外で使います。ただちょっと重いので、最近は出番が少ないかも…。

利点:
安定性の高さに定評があるボークススタンド最大の欠点である、邪魔なベース部を、写野の外もしくは重要では無い場所へと追いやれる点に尽きます。
さらに一歩進んで、ドール写真の巨匠の方達はこの改造手法を利用してマジックアーム+ベースではなく三脚の自由雲台に接続して利用されているようです。次のスタンドで登場するようなミニ三脚と接続している御仁も折られます。
余談ですが、ボークスのサドル型スタンドはサドル部の三角にタイラップを通して固定する事で、サドルと腰をガチガチに固定する事ができます。巨匠の方達が、風がもの凄いの日にも平気で大作を撮られてるのは、こういう小さい事の積み重ねのようです。

欠点:
やっぱりベース部邪魔!三脚利用のパターンを模索したい所であります。あと、何気にサドル部の角度が変更出来ない為、シャフトの斜めに出そうとしても素のままではあまり傾けられません。サドルの直下で強引に曲げて使っている方も多いみたいです。


台湾スタンド”改”

よく話題に登場するスタンドに”台湾”(もしくは"中華”)スタンドというものがあります。いわゆるフレキアームの先端にカニ状のはさみが付いた感じの形状です。
こちらも通常はベース部からニョキニョキと生やすものですが、今回はこれの改造品。某達人さん(何の達人だかわからんが社畜さんなのは確か)が、この難解なネジを力業でねじ伏せるアダプターを作っておられます(ネジだけに!?😳)。このアダプターを噛ます事でフレキアームと三脚接続したものが、今回の台湾スタンド改であります。

画像5

用意するもの:
台湾(中華)スタンド
たまにドールイベントに出店されているようです。通販ではタオバオやAliExpressで販売者さんから直接購入できるようです。国外通販が厳しい場合、DOLKさんの店頭もしくは通販で取扱いがあるようですので、そちらをご利用ください。
ミニ三脚
写真はAliExpressでまとめ買いしたLEOFOTOのミニ三脚です。が、最近は似たような他社製品が沢山湧いております。最近は類似品がAmazonで色々購入できるようです。
アダプター
情報を開示して良いのかどうか判らないので詳細を省略しますが、写真のものは達人さんがコッソリ製造している高級品です(ご本人からおKが出た場合は、後日情報を開示します→出ました!)。
なお達人さん製が登場する以前は、スタンド附属のナット類+αと組み合わせて使えるような3Dプリント部品を拙者自身で雑に設計して使っておりました。ですがごくたまに割れるという問題が発生しており、ちょっと信頼性に難ありな感じでした(ちなみに拙者自作品の材質はPA12GB)。


2020/06/08追記:
達人さんからOKが出ました。
こちらの”台湾スタンド~三脚ネジアダプター”は、ぱなさんによって設計・販売されています(いました?)。
材質はA7075、いわゆる航空機グレードの超々ジュラルミン(Al-Zn-Mg-Cu系アルミ合金)であります。
サイドは手で持って増し締めしやすいローレット加工、表面仕上げは陽極酸化皮膜(いわゆる”アルマイト”)となっております。
拙者が個人的に作っていた3Dプリント品と比べると、質感も耐久性も段違いに良いお品です。倒したら割れてしまった…などという事は皆無です。

画像6

使い方:
主に野外撮影で使っています。写野外がらがっちり支えられるので、ドールさんに地面に立って貰う場合にはこちらの利用を検討します。大抵はスカートの下で太ももをカニばさみで挟みます。
上着を着せている場合などでは、上着の中で腰を支えるとより安定します。
それ以外では、カニばさみを垂直方向に使う事でサドルタイプ的な使い方が出来ます。次の写真は実際にサドル的な感じでドールさんを乗せています。この例では桜との位置関係を合わせる為に、大きめの三脚に台湾スタンドと接続しています。

画像7

利点:
ドールさんを片足立ちさせても余裕で受け止められる程度には強いです。支える場所は太もももや腰・腕などお好みで選ぶと良いかと思います。
ベースを廃して三脚にした訳ですが、その三脚部はドールさんからある程度離した位置に設置出来ます。つまり構図の自由度が上がります。

欠点:
使いこなしにちょっとコツがいるようです。重心位置の問題なのか、素直に放物線状に曲げて使おうとするとコケやすいです。この項目の1枚目の写真の例みたいな ” ? ” 形状にして使うと、わりとコケずに使えるようです。
三脚部をある程度離して使えるという利点は同時に欠点でもあって、割と設置面積が必要なタイプのスタンドです。テーブルや撮影ブースなどといった狭い場所で撮影する際に、スタンドの置き場所に困る事があります(無改造の場合も同じ)。
入手性も比較的よろしくないです。自粛の為イベントは絶望的ですし、DOLKの通販も売り切れな事が多いようです。
それともう1点。品質にばらつきがあります。たまにフニャフニャなものが混ざっています。

入手方法:
ドールスタンド本体
国内入手ならばDOLKさんの通販サイトで検索してみてください

※淘宝やAliExpressの方が全然安いので、DOLKで買う前にがんばって検索してみるのも良いかもしれません。

アイドールあたりのドールイベントでも販売されているようです。


三脚アダプター
価格や在庫の有無等については、直接ぱなさんにお尋ねください。
https://twitter.com/panyapanya20

最後に

ドール界隈ではまだまだ色んなスタンドが存在すると思いますが、拙者が普段使っているスタンドはこんな所であります。

という訳で割と適当な解説ですが、お役に立てたら幸いです。

拙者普段はnote界隈ではなくgoogle+におります…居ましたが、google+が死んでしまった為、現在はtwitterを仮住まいとしています。もし気が向いたらご訪問くださいませ。

https://twitter.com/hokkevageena

更新履歴

2020/06/06
読み返したらかなり判りづらい文章だったので、全面的に改定および加筆いたしました。
2020/06/08
達人さんに確認がとれたので情報を開示・追記いたしました。
2020/12/28
「リンク先が30cmドール用だったから間違って購入してしまった」とのお叱りを頂きましたので、判る範囲で複数サイズ用のスタンドを記載しておきました(読者がDDをお連れだとは限らない為)。
本ページを見て何かをご購入される際は、商品とドールのスケール(サイズ)にはご注意ください
2023/08/19
デッドリンク等修正いたしました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?