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『虐待児の詩』 映画を観た

スモーク


人と人とのふれあい そこには必ず愛がある

人種を越え 血縁を越え

愛が連鎖して繋がっていく・・

この連鎖は もう まさにバタフライエフェクトだ

一度エンドロールまで鼻水をすすりながら観た後
少し違和感を覚えた箇所があったので

もう一度そのシーンまで戻してみた

オーギーがクリスマスストーリーを語り始める前に
新聞記事を眺めていたシーンだ

宝石店強盗が射殺されたことを知らせるその記事には
ふたりの強盗がネームボードを持たされた写真が掲載されている

右側方の男のネームボードをよく見ると
かなりぼやけていて不鮮明なのだが
「R. Goodwin」らしき文字が書かれていた

そして この物語の本当の主人公が
射殺された宝石強盗の下っ端の方であり

この「R. Goodwin」こそが
最初に羽ばたいた蝶であったことに気付いた瞬間

僕は 嗚咽しながら号泣していた

いや主役は ハーヴェイ・カーテル演じるオーギーだろ
大抵のひとは そう言われるかも知れない

だが 僕は違うと思った

物語のすべてが

ブルックリンという貧民街で産まれ 宝石強盗の手下として射殺される

その男の生涯を この愛の連鎖に繋がることのできなかった男を
描き出そうとしているように思えたからだ

そして 人の繋がりと生まれ育った環境という問題を
僕らに投げかけている

殆ど登場しない人間が主役なんて・・・

主役が登場しない戯曲はいくつもあったが
この物語は その中でも秀逸だと思う

「スモーク」は
忘れかけている 大切な何かを
きっと 思い出させてくれる



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