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厚労省 第2回大麻等の薬物対策のあり方検討会 議事録‘(2021年3月15日公開)


本投稿は、下記の厚生労働省のホームページに掲載された議事録を見やすくしたもので、発言者を太字にし、発言と発言の間を一行空けた以外は、一切の変更を加えておりません。なお、説明資料は下記のサイトで公開されています。(北海道ヘンプ協会)

第2回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」 議事録
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000031ehd_00002.html

第2回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」 資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000158516_00002.html


厚労省 第2回大麻等の薬物対策のあり方検討会 議事録‘(2021年3月15日公開)

○日時:令和3年2月25日(木)16:00~18:00
○場所:非公開
○議題;「大麻を取り巻く環境と健康への影響」
○議事録

○事務局 それでは、定刻より少し早いですが、ただいまから、第2回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」を開催させていただきます。
  委員の先生方におかれましては、大変御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
  本検討会におけるカメラ撮りについては、冒頭のみでお願いいたします。御退席をお伝えしましたら、撮影担当の方は御退席いただく予定です。
  それでは、以後の議事進行は鈴木座長にお願いいたします。

○鈴木座長 本日の議事はお配りしている次第に沿って進めさせていただきます。
  最初に、事務局より、検討会における連絡事項をお願いいたします。

○事務局 事務局から、本日の検討会の出席者について申し上げます。
  本検討会の委員数は12名ですが、本日は、松本委員及び和田委員のお二方から所用により御欠席の連絡をいただいており、そのほかの10名の委員の先生方は御出席をいただいております。
  太田委員、小林委員及び嶋根委員におかれましては、本日、ウェブ形式で御参加いただいております。
  続いて、連絡事項を申し上げます。
  まず、本検討会につきましては公開とさせていただきますが、新型コロナウイルス感染症対策のため、一般の方の会場への入場を制限し、報道機関の方のみ入場とさせていただいております。
  次に、会議の議事録の公開につきましては、委員の先生方は議事録に出席者として掲載されますが、発言者氏名を公にすることで発言者等に対し外部からの圧力、干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとしておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。
  また、資料につきましては、机上のタブレットに入れておりますので、適宜御覧ください。
  本検討会におけるカメラ撮りはここまでとさせていただきます。撮影担当の方は御退席をお願いいたします。
  (カメラ退席)

○事務局 それでは、鈴木座長、お願いいたします。

○鈴木座長 それではまず、本日の議題に入る前に、検討会の運営に関して事務局から報告があるとのことですので、お願いいたします。

○事務局 監視指導・麻薬対策課長です。
  委員の方のみ、机上に配付させていただいておりますが、2月12日付で共同通信社が職員を処分したということでして、これについて、この検討会の第1回検討会に関することですので、この場を借りて御報告申し上げます。
  前回1月20日の第1回検討会で、共同通信社の社会部の記者の方が、録音等が制限されていたにもかかわらず録音をされまして、そのデータを大阪支社編集局社会部の記者に送っていたということが判明し、さらに、この大阪社会部の記者がこのデータを基にツイッターで検討会の発言者と発言内容の一部が分かる形でツイートをされ、さらに、音声データ等を社外の6人の方に提供していたということです。
  これにつきましては、共同通信社がその大阪社会部の記者を7日の出勤停止にするなど、処分を行ったということではありますが、この検討会では議事は公表ということになっているのですが、録音禁止ということで記者の方にはお願いしている中で、ルールが守られなかったということは大変残念なことですし、私としまして、事務局の責任者として、委員の皆様に、こうした事態が生じたことについて、この場を借りてお詫び申し上げます。
  傍聴申込用紙に、今回、チェック欄を設けさせていただいて、我々が守っていただきたいことを確認しましたということを確認するということで再発防止に努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
  以上です。

○鈴木座長 ありがとうございました。事務局から検討会の運営について報告をいただきました。
  私としても、本検討会の内容について広く議論を喚起するという観点から、議事録の公開を含め、情報公開に努めたいと思う一方、今回の会合においても、一般の方が建物の周囲に集まって活動するなど、会議室をお借りしている会場に御迷惑をおかけしたり、この1カ月の間に、私のところにも面会要請や要望書の提出があったりということもありました。
  また、本検討会は薬物の取締りというセンシティブな課題も含め議論の対象としていることから、開催要綱において、会議は原則公開としつつも、会議を公開することにより、個人情報の保護に支障を及ぼすおそれがある場合、個人又は団体の権利、利益が不当に侵害されるおそれがある場合、自由闊達な意見交換に支障があると判断される場合など、必要があると座長が認めた場合は、会議を非公開とすることができることとされております。このような状況を総合的に勘案しながら、事務局とも相談し、情報公開に努める一方、慎重な議事運営に努めている中で、今回、報道機関という、ある意味、公的な機関において、今、御説明いただいたような極めて重大な事態が発生したことは、座長として大変遺憾であると考えております。
  本検討会の座長としましては、報道機関の皆様には改めて出席に際してお約束いただいたルールに基づく適切な御対応をお願い申し上げたいと思います。
  事務局におかれましても、引き続き自由闊達な議論ができる環境づくりに努めていただくようお願いいたします。
  ということで、皆様方から本件について何か御意見がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。

  よろしいでしょうか。
  それでは、議題に移ります。

  まず最初に、監視指導・麻薬対策課長から、大麻を取り巻く環境と健康への影響について、説明をお願いします。本日の検討会では、精神医学の専門家である松本委員と和田委員のお二人が御欠席されておりますが、この課題については次回以降も取り上げますので、お二人からその際に御発言をいただく予定にしております。
  それでは、お願いいたします。

○監視指導・麻薬対策課長 それでは、私のほうから、タブレットの資料1、監視指導・麻薬対策課とございますが、この資料に沿って御説明申し上げたいと思います。
  併せて、資料2は後ほど舩田委員から、資料3は後ほど嶋根委員から、それから参考資料として「大麻問題の現状」ということで、委員の皆様の机上にはこの茶色の冊子で、鈴木座長を含めた皆様でおまとめいただいた研究成果を置かせていただいておりますが、せっかくなので、ホームページにも掲載できるように、一部抜粋をして今回の資料とさせていただきました。
  それでは、私のほうから資料1に沿って御説明いたします。今回、50ページ余りになりますが、簡潔に御説明申し上げたいと思います。前回、委員から、「大麻の有害性、人体に対する悪影響、こうしたことをエビデンスをもって示してほしい」という御意見もございましたので、なるべくそれに沿った形で御用意いたしました。
  ページをめくっていただいて2ページです。これは前回御説明したものと重複しますが、平成29年に、それまで過去最高であった平成21年の3,087人を超え、3,218人だったということを追記したもので、今年、直近で4,570人、大麻の事案の検挙人員があったということの資料です。内数として、30歳未満の占める割合が57%、2,622人となっています。
  次の3ページが新しい資料ですが、30歳未満をさらに、20歳未満も含めて分類した資料ですが、20歳未満が直近で615人ということで、30歳未満の割合の中で23.5%と、平成26年辺りと比べると非常に割合が高くなってきているという状況です。
  4ページですが、「我が国の違法薬物の生涯経験率」、これは前回もお配りさせていただいておりますが、今申し上げましたような大麻の検挙人員が増加していることについて、警察であるとか麻取が単純所持罪を集中的に捜査した結果ではないかとおっしゃられる方もいらっしゃるのですが、決してそういうことではなくて、平成19年に0.8%だったものが直近では1.8%になっているということで、こういう推計からも捜査を集中的に行った結果ではなく、実際に大麻を使用されている方が増加してきているということが見て取れる資料ということです。
  5ページですが、昨今、SNSを介してこうした違法薬物が密売されておりまして、特にサイトやSNSで「大麻」は「野菜」とか、「覚醒剤」は「アイス」とか、そういう隠語で表記されるほか、絵文字も使用されて密売されているという実例を麻取部の資料を活用してお示しさせていただいています。
  6ページから、大麻、特にTHCの有害性、健康に対する影響についてまとめさせていただきました。
  まず7ページです。カンナビノイドと「THC」・「CBD」ということで、専門家の方におかれましては改めてということですが、カンナビノイドについてですが、これは大麻草に含まれる大麻草特有のテルペノフェノリック骨格を持つ化合物群の総称でして、大麻草には100種類以上のカンナビノイドが含まれておりまして、そのうちの一つとして「デルタ9-テトラヒドロカンナビノール」、いわゆるTHCですとか、「カンナビジオール」、いわゆるCBDですとか、こういったものから構成されております。
  THCとはどういったものかということですが、真ん中にございます幾つかの異性体があって、そのうち、Δ9-THCやΔ8-THCはカンナビノイドの一つです。
  1960年代に化学構造が判明しまして、そのTHCの異性体のうち、下記の7種類が日本国内において麻薬又は大麻として規制されています。
  真ん中に赤いところがございますが、化学合成由来のものは麻向法、右側の緑のところ、大麻由来のものは大麻取締法でそれぞれ規制がされているということです。
  一方、一番下にございますCBDですが、これはカンナビノイドの一つですが、幻覚作用を有しません。これも1960年代に化学構造が判明しまして、抗てんかん作用や抗不安作用等を有し、比較的毒性は低いとされてます。海外においても一部治療薬として利用されている国もあるということです。
  8ページです。これが現在国内でどのような規制をされているかということですが、前回御説明申し上げたとおり、左側のほうです。大麻については、その部位で、例えば花穂でしたり葉、そうしたものを大麻取締法で規制しております。一方、化学物質につきましては麻向法で規制しているということです。
  分析方法ですが、これは当然、鑑定は同じような化学的試験に基づいて、Δ9-THCを分析しておりまして、ただ、法律の違いということもあるのですが、一番下、罰則が、法定刑がそれぞれ5年以下の懲役と7年以下の懲役ということで異なる構造になっているということです。
  9ページです。THCの有害作用ということで、これは先ほど御紹介申し上げた茶色の本から抜粋して私どもでまとめさせていただいたのですが、主な精神作用、急性、慢性とございまして、急性は不安感、恐怖感、猜疑心、パニック発作、短期記憶の障害、慢性は、成人期以降の乱用で、精神依存の形成ですとか、統合失調症、うつ病の発症リスク増加の危険性、あるいは認知機能、記憶等の障害があるということです。
  これは青年期からの乱用になりますとさらにより強い精神依存の形成ですとか統合失調症、うつ病の発症リスクのさらなる増加の危険性、衝動の制御、一般情報処理機能の障害、IQの低下、より強い認知機能の障害ということで様々な有害作用があるということです。
  また、主な身体作用は、急性で眠気、知覚の変容、慢性で身体依存の形成ということで、急性の作用については自動車運転への影響、運動失調と判断能力の障害を引き起こす危険性、慢性の作用につきましては、精神・身体依存形成、精神・記憶・認知機能障害を引き起こす危険性ということで、大麻の乱用による重篤な健康被害の発生が懸念されるということです。
  10ページは、こうしたことについてはWHOでも文献でも言われておりまして、様々な悪影響があるということです。
  11ページは、国際的な大麻の規制状況ですが、医療目的での大麻使用に関する規制と嗜好目的での大麻使用に関する規制、これを整理させていただいた資料です。
  左側が医療目的での大麻使用ということですが、かなりの国で合法になっている一方、日本、アメリカは州ではいいのですが国としては禁止、ロシア、インド、スウェーデン、こうしたところが違法になっております。一方、嗜好目的の大麻使用というのは、基本的に合法なのはカナダとウルグアイだけで、アメリカは、各州で合法化しているところがありますが、国としては違法です。
  一番右に非犯罪化ということで、軽微な犯罪については刑事罰を科さないという政策をとっている国も、イタリア、スペイン、ポルトガル等々ではあるということです。
  12ページに「カナダの大麻に関する法規制の概要」をまとめさせていただきました。御覧のとおり、最低年齢が18歳、個人の最大所持量、最大栽培量、個人間の譲渡、販売量、THCの最大含有量と、かなり細かく規制がされておりまして、また、一番下にございますとおり、罰則ですね、このルールに基づかないで使用された場合には様々な罰則が科されるということになっております。
  また、13ページですが、これはカナダ政府のホームページを和訳したものですが、カナダ政府でも、大麻の健康への影響について、短期的な影響として、精神への影響、脳への影響、身体への影響、あるいは精神病症状ですとか、長期的な影響として脳や身体への影響、肺への影響等々、先ほど御説明申し上げた大麻の有害作用についてホームページで掲載しているということです。
  14ページです。これは同じような資料ですが、アメリカでもCDC、疾病対策予防センターが、ホームページ上で、大麻の使用は体と脳に幅広い健康影響を与える可能性があるということで、健康に係る9項目について大麻使用が及ぼす影響を記載しているところです。
  15ページですが、「大麻合法化による影響」ということで、コロラド州、ワシントン州等々、今、アメリカでは15の州で嗜好用大麻が解禁されているのですが、こうしたことについて調査をした結果がございまして、後ほど舩田先生から詳しく御説明いただけると思いますが、例えば交通事故の発生率が、嗜好用大麻を認めていない州と比べて5.2%高いですとか、交通事故の死亡者が、大麻成分陽性者の数が1.5倍になっているとか、あるいは、左下、救急搬送が増えているとか、右のほうの赤いところ、大麻の違法栽培、違法販売が増加しているとか、また、これらに加えて青少年の検挙数の増加、公共の場での違法な大麻使用の増加、コロラド州ではこんなことも報告されているということです。
  16ページ以降は大麻に関する研究成果ということで、まず、前回、委員から御指摘があったJAMAの研究結果としまして、2016年に大麻使用と精神障害の関連性を示す論文が発表されておりまして、3万4,653人を調査した結果です。
  調査結果としましては、3つ目にございますが、大麻使用経験のある方が使用障害を発症するリスクというのは、大麻使用経験がない方に比べて、アルコールが2.7倍、大麻が9.5倍、大麻以外の薬物は2.6倍、ニコチンが1.7倍ということで、この論文では「大麻の使用が幾つかの物質使用障害のリスクの増加と関連している」と結論づけているところです。
  17ページですが、大麻使用と精神障害との関連ということで、これも前回、委員から御指摘がございました2019年のJAMAの論文ですが、青年期における大麻使用と若年成人期におけるうつ病、不安神経症及び自殺傾向との関連性を示す論文ということです。この論文、2万3,317人からなる11の研究について分析を行ったということですが、こうした疾病のリスクについて、大麻使用経験がない方に比べてうつ病が1.37倍、自殺企図が3.46倍ということですとか、推計ではございますが、大麻使用が原因でうつ病になった若年成人は約41万人に達するとして、この論文では、「大麻を使用する青年の高い有病率は、大麻に起因するうつ病と自殺傾向を発症する可能性の多数の若者を生み出す」と結論づけております。
  こう結論づけておりますが、もしかしたら、もともとそういううつ病の傾向があって大麻を使ったということもありますので、その因果関係が必ずしもどうかということはあろうかと思いますが、この論文ではそう結論づけているということです。
  18ページです。これは前回委員から御紹介いただいた、委員の調査です。成人患者、母数は非常に少なくて、71人ですね。これを対象に、大麻使用と依存症や精神病の発症との関連について調査したもので、下にございますとおり、長期間の大麻の使用や高濃度THC含有製品の使用が大麻による依存症の発症に関連している可能性が考えられたということです。
  19ページですが、「大麻による精神障害の影響」、これも委員に調査研究者として加わっていただいておりますが、結論としましては、大麻使用の影響には個人差がある可能性が高いことが判明したということです。
  20ページは法務総合研究所等の薬物事犯者に関する特別調査ということで、これは、真ん中辺りにございますが、判決罪名に覚醒剤取締法違反を含む方を対象に、700人の方に調査を行ったものです。
  21ページですが、覚醒剤で捕まった方々が最初に乱用した薬物は何かという調査を行いまして、下の左側の赤枠部分ですが、最初に乱用した薬物、30歳未満の方は大麻とお答えになられた方が42.6%ということで最も多くございました。
  それで、犯罪白書の整理ですが、大麻は「ゲートウェイドラッグ」と言われ、使用者がより効果の強い薬物の使用に移行していくおそれが高い薬物で、特別調査でも、対象者の約半数が大麻使用の経験を有し、そのうちの約半分は、20歳未満で大麻の使用を開始したという結果があるということです。

  22ページからは大麻に関連する医薬品について御説明申し上げたいと思います。
  23ページです。THCとCBD、それぞれ医薬品への利用と有用性に関する報告についてまとめたものです。一番上にございますが、医薬品として利用されている大麻成分でございます。THCは、今ほど申し上げましたとおり、幻覚作用は非常に強く、精神異常発現作用や認知機能障害作用を有するため、医薬品としての単独利用は困難とされています。
  一方、CBDについては、幻覚作用を持たず、THCの有害作用に対する拮抗作用や抗てんかん作用を有するとの報告があって、アメリカでは、抗てんかん薬として承認されるなど、一部医薬品利用されているものも存在しているということです。
  今ほどのことをまとめた表が下になってございます。
  24ページ、これは御案内のとおり、現行大麻取締法ですが、第4条で、何人も医薬品として施用してはならないと、施用のための交付もいけないと、施用を受けることもならないということで禁止されているということです。
  25ページです。これは麻薬を含めた薬物の医療用途について整理した資料でして、御案内のとおり、麻薬については、モルヒネもございますし、向精神薬も様々な医薬品がございますが、こうした形で、我が国でも、麻薬、向精神薬の医薬品利用というのは認められているわけですが、一方で、大麻については認められていないというのが我が国の現状です。
  また、覚醒剤ですとか覚醒剤原料、こういったものも医薬品として認められているということです。
  26ページ、27ページ、これは御参考ですが、最近、国会でもそうした大麻に由来する医薬品に関して質疑があったということで御紹介申し上げたいと思います。
  28ページです。これは前回も御紹介申し上げた、アメリカで承認されたエピディオレックスという医薬品についてですが、繰り返しになりますが、抗てんかん薬として効能効果が認められているということです。
  29ページです。今申し上げましたエピディオレックス以外にも、サティベックスという大麻由来の製品があります。マリノールとセサメットは、正確には合成THC、合成カンナビノイドからつくられているものですが、一応御紹介いたします。
  30ページです。これは繰り返しになりますが、「G7における大麻由来医薬品等の規制状況」でして、日本が医療目的の大麻使用は違法ということで、当然承認済み大麻由来医薬品はないという状況ですが、アメリカは、エピディオレックスは特別に認められておりますし、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダは全て医療目的の大麻使用は合法で、様々な医薬品が承認されているということです。
  31ページですが、これは現行の麻薬及び向精神薬取締法の規定です。27条で、麻薬施用者でなければ麻薬を施用し、もしくは施用のため交付してはならないということですが、ただし、左に掲げる場合はこの限りでないという規定になっておりまして、当然、麻薬、医薬品を使うに当たっても一定の厳しい規制をかけているということです。これに違反した場合、66条の2ですが、7年以下の懲役に処するということですので、大麻の医薬品についても、仮に認めるとすると、やはり一定の免許なりの枠組みが必要ですし、それに違反した場合の罰則というものが論理必然的に規定されなければいけないものと考えております。
  32ページ、覚醒剤取締法です。これも同じような構成になっているということです。
  次に33ページです。「刑法学から見た薬物犯罪の捉え方」ということで、少し刑法学の通説を御紹介申し上げたいと思いますが、法学が御専門の委員におかれましては釈迦に説法になって大変恐縮なのですが、34ページから刑事罰についてまとめさせていただきました。これは前田先生の『刑法総論講義』という教科書というかいわば基本書みたいなものから引用させていただきましたが、刑事罰というのは、応報刑論ということで、「あれだけのことをしたのだからこの程度の刑罰はやむを得ない」という考え方や、目的刑論ということで、広い意味での犯罪防止という目的のために科されるという理論があるということです。
  一番下、相対的応報刑論ということで、我が国、日本の刑罰論は、刑罰は犯罪結果に対する応報であり、犯罪予防の効果も期待できるから正当化されるということで、応報刑論を基調としながらも予防効果が発生するということを積極的に承認する理論となっております。
  35ページです。これは山口先生の『刑法』という基本書ですが、まず、線を引いております、現代国家においては、基本的に犯罪予防の見地から理解されなければならないということと、あと、一番下のほう、下から2番目、線が引いてありますが、刑罰にはそれが賦課される者にとって苦痛となるという害悪性が必要であるが、そこには非難という特別の意味が込められていることを看過してはならないということでございます。
  36ページ、また前田先生に戻りますが、刑罰の2つ目ですが、「罪刑の具体的均衡点は、実証的な研究を参考としつつ、国民の規範意識から導くしかない」ということをおっしゃられて、一番下にございます、重要なのは国民の規範意識が微妙に動くという点であるということで、アメリカですとかイギリスの事例を引かれておりますが、結論としては、普遍的な正しい刑法理論など存在し得ないということをおっしゃっております。
  したがいまして、我が国における薬物犯罪につきましても我が国の国民の規範意識をどう考えるかということですとか、申し上げるまでもないことではありますが、アメリカなどの他国がどうということでなく、我が国として国民の意識ということをどう考えるかということをベースに議論いただく必要があると考えております。
  37ページは「薬物犯罪の法益について」ということで、これも基本的なことではありますが、いわゆる薬物犯罪は、「社会に関する法益に対する罪」の「公衆の安全に対する罪」の「国民の健康に対する罪」と位置づけられているということです。
  38ページですが、これは大麻取締法の改正経緯をまとめさせていただきました。
  39ページは、前回と同じ大麻取締法には使用罪がないということです。
  40ページですが、これは国会答弁です。平成20年ですが、前回少し御説明させていただいたとおり、政府参考人が、なぜないのかということについて、1つ線が引いてありますが、麻酔い(あさよい)という症状を呈する場合もございますという答弁をしております。
  これについて、41ページです。今回、大麻栽培農家の方が実際に大麻を吸引されて、THCが検出されているかどうかということを調査いたしました。下に結果がございますが、全て不検出ということで、検体数が9ということでかなり少ないのですが、また後ほど御説明申し上げますが、栽培農家が、今、35ぐらいしかありませんので、それなりの割合は占めているのですが、検査日が8月8日、9日ということで決めておりまして、大麻栽培に従事された期間が、その前日か、一定程度前なのかというのもありますが、いずれにせよ、THCは検出されなかったということです。
  42ページは「大麻の使用罪に関する認識調査について」です。まず、大麻取締法において使用罪が規定されないことの認識と、その関係について、厚労省と警察庁で協議した上で、警察庁において調査を実施していただきました。調査数631人ということですが、まず調査結果、大麻取締法において使用罪が規定されていないことの認識があるかないかですが、知っていたという方が74.8%いらっしゃったということです。そのうち、知っていたと回答した方の内数で、大麻使用罪が規定されていないことと大麻を使用したことの関係について、大麻を使用する理由、きっかけとなったという方が27人、5.7%、大麻の使用に対するハードルが下がったという方、72人、15.3%、足して21%の方が、やはり何らかのきっかけ、あるいはハードルが下がったということでお答えいただいています。
  43ページ、44ページは諸外国における薬物犯罪の法定最高刑ということで、28年1月調査なので若干時点が古いものもございますが、各国個別にどうこうということではなく、各国その国ごとに様々な量刑や刑罰を科していることの資料ということで御理解いただければと思います。

  45ページからその他ということで、1つは46ページ、CBD製品というものが世間に流通しておりまして、食品として、特にチンキなどで用いられているという事例がございます。
  これについては、47ページにございますが、麻薬取締部のほうで大麻該当性の確認ということをして、大麻に該当したら、放棄、廃棄をしていただかなければなりませんが、非該当ということであれば国内流通を認めているということです。
  ただ、48ページにございますとおり、中にはTHCが検出されるような事例もございますので、これは販売を中止・回収を行っていただいております。

  49ページからは、先ほど申し上げた大麻栽培者の一覧です。計35名、栃木が最大で17名です。主な栽培目的は、右下にございますが、地元の祭事、神事、あるいは大嘗祭への献上品等でして、50ページに少し事例を御紹介させていただいておりまして、様々な用途に使われているということです。
  基本的には成熟した茎から使われておりますので、これについて、何か規制をするとか、そういうことは全く考えてございません。
  ただ、51ページにございますとおり、昔は3万7,313名も大麻栽培者がいらっしゃったのですが、最近では35名と非常に少なくなっているという現状もございますし、またページをおめくりいただいて52ページですが、まちおこしとか言って免許を受けながら、結局、自分が大麻を使っていたという不正事案もありますので、免許の基準をどう考えるかというのも一つの課題です。
  大量の資料で恐縮ですが、足早に御説明いたしました。取りあえず説明は以上です。

○鈴木座長 ありがとうございました。
  それでは、ただいまの監視指導・麻薬対策課長からの説明について、御意見、御質問がございましたら、委員の先生方からお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
  どうぞ。

○□□委員 CBD製品の輸入に係る現状について少し教えていただきたいのですけれども、私の部署もいろんなところから、またいろんな方から聞かれております。また、監視の観点からも情報を得たいということで、幾つかあるのですけれども、まず、CBD製品はやはりアメリカ、カナダからのものが多いのかというのと、2つ目、大麻の該当性の確認で、証明書を確認されていると思うのですけれども、この証明書はメーカーが作成した証明書なのか。そして3点目ですね。成分分析書と書いてあるのですけれども、その精度というのですか、検出限界みたいなのはどの程度まで設定されているのか。取りあえずここまで教えていただければありがたいです。よろしくお願いします。

○事務局 事務局からお答えさせていただきます。今の御質問、3点ですね。
  1点目、CBD製品がどこから輸入されているのか、生産国ですけれども、アメリカ、カナダが多いと思いますが、ヨーロッパの国々からもあるのではないかと思います。しかし、どこの国から何件という正確な数字はこちらも把握しておりません。
  2点目、証明書に関しては、メーカーで作られた後に、外国の検査機関で検査されたものを御提出いただいて確認させていただいております。
  3点目、精度、THCの検出限界というのは、製品を測定されている検査機関で設定している数値ですので、我が国において、これ以下だったらいいですという基準はございません。
  以上です。

○鈴木座長 よろしいでしょうか。

○□□委員 ありがとうございます。
  それと、追加で申し訳ないのですけれども、こういった商品が入ってきて、麻薬取締部が確認しているということですが、当然、製品パッケージ、例えば成分欄みたいなのは確認されているということでよろしいのかということと、最後ですけれども、国内でこういったCBD関係の商品ですが、食品になると思われますが、購入する場合、場合によっては、THCの混入の疑いとか、またアメリカでは医薬品成分のメラトニンが入っているという場合もあると思うのですけれども、国内で購入する場合、どこに注意したらいいのか、ホームページとか、また何かパッケージとか、その辺の情報があったら教えていただきたいのですが。

○事務局 事務局からお答えさせていただきます。
  輸入の確認の際、所定の手続に従った製造工程の写真だとか成分分析表とかを出していただいており、現品の検査は、麻薬取締部で実施しておりません。消費者の方が購入される際、何に気をつけるかについては、基本的に確認を経て入ってきているものが、日本の大麻取締法に抵触するということはないと認識しております。その他の成分が入っているかどうかに関しては、大麻取締法の範疇外ですので、例えば明らかに変な薬物が入っていそうなものであれば、それは確認を受けずに入ってきている可能性もございますので、こうした点を消費者の方に御留意いただきたいと思っております。

○鈴木座長 よろしいですか。

○□□委員 ありがとうございました。

○鈴木座長 続きまして、□□委員お願いします。

○□□委員 御丁寧な説明ありがとうございました。
  私、すごく違和感といいますか、初めて知ったのですけれども、8ページですけれども、いわゆる大麻取締法上の整理の中で、定義が、例えば天然由来のものであれば、THCでも大麻取締法になりますし、化学合成由来であれば、いわゆる成分規制で麻薬及び向精神薬取締法、麻向法の規制に入ってしまうというところが今回の検討会の一番肝になる部分なのかなとも思うのですが、私としては、例えばこれを全部麻向法でくくってしまうと、むしろいろんな、先ほどの医薬品だ、云々だという部分もある程度解決はしやすくなるのかなあとはちょっと思ったのですが、なぜこのようなことが起こったのか、もし分かればで結構です。

○事務局 お答えさせていただきます。
  なぜこのようなことが起こったのかという御質問には直接お答えになるかどうかは分かりませんが、前回も御説明申し上げましたとおり、大麻取締法は、昭和23年に制定されたということで、先ほど改正経緯の資料の説明を省略してしまいましたが、現在に至るまで、いわゆる大きな改正はなかったということです。
  一方で、先ほどTHCとCBDのところで御紹介いたしましたが、そういった成分構造になっていると判明したのは1960年代ということです。本来的には、今は現場では、THCのあるやなしやで違法性を判断しているわけですから、どこかの段階で、運用実態に沿った法律構成にすればよかったのかもしれませんが、現状としては、昭和23年に制定され、1960年代にTHCという成分があるということが確認された一方、法律体系については変えてこなかったという状況です。

○□□委員 ありがとうございます。もう一点だけ、すみません。

○鈴木座長 どうぞ。

○□□委員 このエピディオレックスですが、これは大麻由来なので、当然大麻取締法の範疇に入るということですけれども、もしこれが合成のものであれば、いわゆる麻向法の範疇での規制になるのかなとはちょっと思ったのですが、その辺どうなのでしょうか。

○事務局 まさにおっしゃるとおりです。当然、合成THCであれば、今でも麻向法の枠組みの中で医薬品として使用されますし、実は29ページで、私は幾つか、カンナビノイドに着目した外部の医薬品ということで、マリノール、セサメット、サティベックスと紹介させていただきましたが、マリノールとセサメットは合成THCや合成カンナビノイドでできていますので、現行法でも麻向法の中で医薬品として認めることは可能でありますが、サティベックスは実際大麻から抽出しているということで、これは日本では使用できないということです。

○□□委員 ありがとうございます。

○鈴木座長 では、□□委員、お願いします。

○□□委員 ありがとうございます。
  11ページの国際的な大麻の規制状況について2点質問させていただきたいと存じます。乾燥大麻も医療用に許可している国は、G7では、ドイツ、イタリア、カナダの3カ国と理解していますが、これら以外の国でも、乾燥大麻を医療用に使用を許可している国はあるのでしょうかというのが第1点です。
  第2点は、右側に嗜好目的での大麻使用について、違法と書いてあって、14カ国ですか、リストアップされていますが、これは使用が犯罪として認定されているという理解でよろしいでしょうか。
  以上です。

○事務局 乾燥大麻、確かに医療用途で使っているという国はあるのですけれども、今おっしゃられた国以外で、オランダがあると承知しております。
  2つ目ですけれども、11ページの非犯罪化の箇所でよろしいでしょうか。これは非犯罪化ですので、法律上犯罪です。つまり、軽微な罪については国ごとに基準があると思いますが、それ以下に関しては取締りをしないという措置だったとしても、犯罪か犯罪でないかといえば犯罪という認識になります。

○鈴木座長 よろしいですか。
  どうぞ。

○□□委員 よろしくお願いします。
  質問というか、ちょっと意見も含めてですけれども、私自身、大麻を使用していた経験があるのですが、捕まらなかったのですね。逮捕されず、精神病院にも入らず、薬物の治療が始まったというか、そういう経緯がありまして、ほかにも逮捕された方というのがダルクの中にもいたり、私の友人にも逮捕された経験を持つ方が日本国内でもいるのですけれども、そういった方たちというのは、やはり孤立化が進んだり、それによって依存がもっと進んでいったり、社会的な資源とのつながりというのがつくれない状態にまで陥ってしまうということがあるのかなということが私個人の経験として思っています。
  コロラド等の報告の中で、そういった合法化されたことでスティグマが減って、医療関係者等にアクセスしやすい状況ができたという要約の中の記載がございまして、全てがだめというふうな形を推し進めていくと、どうしてもヘルプのサインが出しづらくなっていくというケースは生まれてくるのかなと思います。
  また、INCBという団体からも、薬物の厳罰化というものが条約にはない、厳罰していく義務というのはないということも強調していて、有罪判決とか、あとは受刑に関わる代替案みたいなものをそれぞれの国で考えていってほしいというような言葉も出ているようなので、日本の中でも何かしらそういった、現状の所持罪に関してどうとかではないのですけれども、刑として何かをつけ加えるのは必要だと思うのですけれども、何かしら、今ある状況のもの、それをどう運用していくかということをもうちょっと考えていければなあと思います。
  それと、違法の国、厳罰化されているという国でそれがうまくいっている何か科学的なデータというものがもしあるのであれば、何かそういったものも御提示があったらいいなというのを私個人として思っています。

○鈴木座長 これはコメントということでよろしいですか。

○□□委員 データはありますかというのも含めてですけれども。

○鈴木座長 どうしましょう。データはありますか?

○事務局 確認します。

○鈴木座長 それでは、ありがとうございました。ほかに御質問、どうぞ。

○□□委員 今日は丁寧な御説明、どうもありがとうございます。
  ちょっと質問というか、コメントなのですけれども、今日いただいた資料の中で12ページの「カナダの大麻に関する法規制の概要」というこのスライドは非常に重要だなと思っていまして、というのは、カナダでは嗜好用の大麻を解禁しているという議論がよくされるわけですけれども、それでも、全面的に嗜好用の大麻を使っても構いませんということではなくて、例えば最低年齢を定めるとか、所持量を規制するとか、あるいは個人間の譲渡の量とか、あと商用生産する場合は、生産者はライセンス受けないといけない、違反したら罰則という、使用に関する安全性を確保するための枠組みというのがあった上での一部使用許可という話ですので、解禁だと言われているカナダでも、こういった規制をしているのだということはよく我々も認識した上で、どのように規制していくのかというのを検討していく必要があるのではないかというのが1点です。
  それともう一点ですけれども、今、□□委員、□□委員からも御指摘があったところで、非犯罪化という考え方のところで、先ほど刑法の理論の話で、34ページとかで、犯罪の抑止というものも大きな目的になっているという中で、罰則を定めることによってそういう行為を抑止していく、違法行為を抑止していくという考え方があると。
  その中で、薬物犯罪について、非犯罪化、違法だけど非犯罪とするかどうかという議論というのは、違法行為の抑止という観点からもよく検討すべきではないかと個人的には思うところです。
  他方、先ほど□□委員から御指摘あったように、犯罪になっていることによって治療が受けにくいとか、再起が図りにくいとか、そういうことがあるのだとすると、そこは改善していくという必要はあるのですけれども、やはり処罰としてそもそも起こることを抑止しつつ、起こってしまった場合にケアをしていくというその両方の仕組みというのをうまくバランスを考えて確保していくという、そういう検討の仕方をしていくべきなのかなと思った次第です。
  質問というよりはコメントです。

○鈴木座長 ありがとうございます。
  私、気づかないで、□□委員、大変失礼しました。どうぞ御意見お願いします。

○□□委員 自分の質問の前に、先ほど出ました11ページの非犯罪化の件ですけれども、厳密に言いますと、非犯罪化というのは、犯罪のリストから外すこと、要するに、犯罪の構成要件から外すことを言いますので、犯罪として違法でありながら刑罰を科さないという場合は、普通は非刑罰化と言うので、ここで違法なのに非犯罪化というのは少し自己矛盾ではないかと思います。
  用語としては、例えば日本の単純売春というのは違法ですけれども、刑罰が規定されていないので、あれは非刑罰化されているという表現を用いるのが一般的です。ここら辺の表現は、各国が大麻の嗜好目的の使用を一応犯罪として規定しながら刑罰は規定していないのか、それとも犯罪のカタログから、要するに構成要件から外しているのかというのはきちんと調べた上でリスト化をする必要があるのかなと思いました。
  それで、私の質問は、先ほど出ました8ページのスライドの件ですけれども、日本の場合、大麻取締法で大麻草の部位が規制され、要するに違法になって規制されているという一方で、麻向法のほうでTHCが規制対象になっているということですけれども、例えば仮に、ヒトの尿検査もしくは唾液検査をした場合に、THCないしはTHCが体に入った場合に出てくる代謝物が検知された場合に、それがどちらの由来のものなのかというのは科学的に判別できるものなのでしょうか。
  そこが分からないと、処罰も違ってきますし、麻向法の場合は処罰も重いですので、その点について科学的にはどうなのでしょうか。
  それから、法務省の方にお伺いしたほうがいいのかもしれませんけれども、法務省では、薬物の簡易検査には尿検査と唾液検査があり、これを保護観察所などで使っていますけれども、同時に5種類の薬物が検査できるようになっていると伺っています。覚醒剤とか、麻薬とか、それから大麻も入っていますが、あれは大麻の何を検査しているのでしょうか。大麻には使用罪がないので、大麻を使用していることがわかっても、別に、単に参考情報となるだけなのか、それとも、麻向法で禁止されている、合成麻薬由来の、合成THC由来のものを検出しようとしているのか、そこら辺はどういう内容のもので、何を目的としているのかということがもし分かればお伺いしたいと思います。もし今日分からなければ、また後日でも結構ですけれども、教えていただければと思います。よろしくお願いします。

○鈴木座長 それでは、事務局からお願いいたします。

○事務局 お答えさせていただきます。
  1点目、例えば天然由来のTHCと合成由来のTHC、これらが2つあって、これらを服用して体内から出る成分というのは同一であろうと思います。ですので、もとの物がなくて、出た成分が一緒となると、現行では、どちら由来のものだったのか分からないということです。ただ、この辺は、その他の判断材料があると思いますので、区別がつく可能性もありますし、つかない可能性もあります。つまり、2つの物質としては同じものですから、体内から出たものは一緒ですので区別はつきにくいと思われます。
  2点目の、法務省で使っているキットか試薬かについては、当方で把握しておりませんので、確認してから次回以降お答えさせていただければと思います。

○鈴木座長 □□委員、よろしいでしょうか。

○□□委員 はい、ありがとうございます。また次回よろしくお願いします。

○鈴木座長 それでは、□□委員、お願いいたします。

○□□委員 御説明ありがとうございました。
  私のほうからは、質問と意見をいくつか言わせていただきたいと思います。まず質問は、12ページのカナダの実情のところで、詳しく罰則も教えていただきましたが、これは、若者に売った側についての罰則だと思います。若者が使ってしまった場合の罰則はあるのでしょうか。あと、若者の使用に関する立件数がどれぐらいあるのかがもし分かれば教えて頂きたいと思います。というのは、カナダは大麻を合法化する一方で若者の使用は禁止して、若者から大麻を遠ざけようとしたのだけれども、結局は若者に蔓延してしまっているというようなお話も聞きますので、その実態が分かるような数字があれば教えていただきたいという趣旨です。
  次に、刑罰のあり方についての考え方を非常に興味深く聞かせていただいたのですけれども、先ほど来、何人かの委員も御指摘されていましたが、薬物犯罪については、刑務所ではなくて社会で更生させるというのが再犯防止の観点から必要だということで、刑の一部執行猶予も入れられたという理解をしています。今後、大麻取締法のほうで使用罪を入れるのか、もしくは麻向法のほうで改めてまとめてやるということになるのか分かりませんけれども、いずれにせよ、大麻を使うことを罪として罰するということであれば、治療をセットで議論しないといけないなと強く思っています。それが今日の刑罰のあり方の御説明を聞いて改めて思ったことです。
  あと、これは感想めいたことになりますが、大麻に使用罪を設けるべきかどうかを検討するにあたって、立法事実って何なのだろうと考えたときに、使った人の中で大麻使用罪がないことを知っているという人は結構多いなと。一方で、使用罪がないことが使う理由になったというのは5%で、ハードルが下がったという人が15%この計2割という数字をどう見るかというということになろうかと思います。先ほど御説明ありましたけれども、意外と低いなというのが私の聞いたところの第一感でしたので、この辺をどのように考えるべきかを今後皆様と議論させて頂ければと思っています。
  以上です。

○鈴木座長 ではお願いいたします。

○事務局 御質問のあった部分については、確認させていただき、御報告させていただければと思います。

○鈴木座長 ありがとうございました。
  それでは、大体予定の時間になりましたので。

○□□委員 すみませんが、質問があります。

○鈴木座長 では、手短にお願いいたします。

○□□委員 手短ということですが、3つも質問がありますので、コンパクトに伺いたいと思います。
  12ページのカナダのところです。今日の課長の説明の中で、大麻の合法化の話と、そして使用罪の話がありました。私は大麻を合法化することによって人々の行動がどう変わるのか、使用罪をつくることによって人々の行動がどう変わるのかということに関心があります。
  そこで1つ目の質問は、カナダにおきましては、大麻が合法化された。ただし、若者については使用が禁じられているということですが、カナダにおいて大麻の使用が合法化されたことによって、若者の使用率はどうなったのでしょうか。増えているのでしょうか、減っているのでしょうか、変わらないのでしょうか。この辺りの情報、もしお持ちであれば教えていただければと思います。これが1点目です。

○事務局 15ページの右下に書かせていただいていますが、青少年の検挙数の増加ということがございまして、実際に使っている方が増えているかどうかというのは定かではありませんが、検挙数自体は増えているということです。

○□□委員 ありがとうございます。15ページはコロラド州なので、アメリカのデータではないでしょうか。

○事務局 大変失礼しました。カナダについては、今、私、手元に資料ございませんので、また次回以降確認させていただいて、紹介させていただきます。

○□□委員 私の手元にある情報は、オンタリオ州に限定したものですが、過去1年の使用率を見てみますと、2017年が19%、そして2019年が22%で、確かに3%は増加しております。ただし、そのもっと前の時期を見ると、20%を超える時期もありましたので、長期的な視点でみれば、若者の使用率はあまり変わっていないというのがオンタリオ州の状況のようです。カナダ全体の情報は持ち合わせておりませんので、もしあれば教えていただければと思いおたずねしました。
  また、先ほどの□□委員の話に出てきた若者が使った場合どうなるのかということですが、これにつきましても、カナダのオンタリオ州の事例ですが、若年の大麻使用者向けのダイバージョンプログラムが用意されています。これは、例えば大麻所持で起訴された若者に対して、裁判所からのオーダーによってプログラムを受けるようなシステムです。これはパソコンやスマホを使いオンラインで受講するようです。
  2点目、すみません、質問続けてよろしいでしょうか。

○鈴木座長 はい。

○□□委員 2点目は、43ページと44ページです。成人において大麻の使用罪を設けている国はどの国でしょうか。そして、その国ではどのような刑罰を科しているのでしょうか。やはり海外の先行事例に我々も学ぶ必要があると思って質問させていただきます。

○事務局 40ページに審議官の答弁がございますが、ここにおいて書いてありますが、真ん中辺り、「多くの先進諸国におきましても使用罪を制定していない」ということでお答えさせていただいているとおり、所持と使用という規制体系で構成しているのは我が国が主ということでして、諸外国ではそういった事例は余りないということです。

○□□委員 ありがとうございます。
  では、3点目の質問です。とすると、新たに大麻の使用罪をつくった場合、事務局といいますか、厚生労働省としてはどうなることを想定されているのでしょうか。使用者が減る、増える、変わらない、この辺りはいかがでしょうか。

○事務局 まず、前提としまして、私ども、使用罪をつくるとかつくりたいとか、そういったことを説明させていただいたことはないと考えておりまして、現時点で、他の薬物規制法規には使用罪がある一方、大麻取締法には使用罪はないです、ということを紹介させていただいたまでですので、できたからどうだということはお答えする準備はできておりません。
  ただ、先ほど申し上げたとおり、大麻に由来する医薬品を認めた場合、これも認めるかどうかということはこの場の御議論ですから、これからの議論だと思いますが、今の麻向法の規定を御説明申し上げたとおり、一定の資格を持った方に使用していただく、現行法で申し上げると、麻向法では麻薬施用者ですね、お医者さんの方、免許を持ったお医者さんの方に使用していただくことになるわけですが、仮に免許を持っていない方が使用されるということをどう考えるかということは当然考えなければいけない話でありまして、それについては、今の麻向法では、この要件に違反があった場合には罰則がかかりますよということで、先ほど紹介させていただきました。したがいまして、大麻由来の医薬品を使えるようにしたら、先ほども申し上げましたが、論理必然的にそういうことになるということでございます。

○□□委員 ありがとうございました。

○鈴木座長 どうもありがとうございました。

○□□委員 すみません。時間だと思いますけれども、先ほどの□□委員のことについてちょっとお話しさせていただいていいでしょうか。簡単に終わります。

○鈴木座長 はい。手短にお願いいたします。

○□□委員 先ほどのカナダで、18歳未満の者が使用した場合どうなるかということですけれども、これは合法化されたときのカンナビス・アクト、大麻法という中に規定があって、未成年の場合は青少年刑事司法法、ユース・クリミナル・ジャスティス・アクトというのがあって、それに基づいて判決を言い渡すということになっています。その法律に基づきますと、様々な処分を言い渡すことができるようになっていて、例えば罰金とか社会奉仕命令とか、それから拘禁の上での受講命令、拘禁した上でこういったプログラムを課しますよとか、社会の中でプロベーションしながらこういった受講命令を課しますよとか、いろんなものができるようになっているということです。
  ただ、カナダでは使用罪がないようなので、これは所持罪ということになりますけれども、コロラド州のほうは、20歳の者が使用又は所持した場合にはやはり違法になって、これは犯罪に、アメリカは軽罪、重罪というのがありますけれども、カナダにも軽罪、重罪ありますけれども、そのどちらにも当たらない軽犯罪という地位になっていて、これに対しては罰金と受講命令、こういうプログラム受けなさいという受講命令が言い渡されるようになっているということです。
  すみません。それから、先ほど抑止の話が出ていましたけれども、刑罰の目的はと聞かれれば、応報をベースに一般抑止ということを言うのですけれども、だからといって、ある行為を規制するのに一般抑止効果があるかないかどうかだけで決めているというわけではありません。逆は必ずしも成り立たないということは留意しておく必要がありまして、そうしませんと、重いものを科せば抑止があるだろうというのでどんどん重くなっていってしまうということがありますので、刑罰の目的は何かという話と、ある行為を犯罪として規定して刑罰を科すというときに、その抑止効果をどう考えるかというのは必ずしも一致していないということには少し気をつける必要があります。そこら辺は注意しないといけないと思っております。
  以上です。

○鈴木座長 ありがとうございました。
  それでは、議事を進めたいと思います。
  続きまして、委員からの発表に移りたいと思います。初めに、舩田委員から、「大麻等の取扱いの変化による社会環境への影響-米国での状況について-」をお願いしたいと思います。

○舩田委員 それでは、資料2をお開きいただいて、それをもとに御説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
  早速2ページ目に進んでいただきまして、本日、私が御提供する情報といたしましては、大麻に含まれる成分についてのお話を最初にしたいと思います。これは先ほどからお話が出ているTHCとCBDの作用について、重なるところがありますので、簡単に触れたいと思います。
  それから、2番目として、大麻の取扱いが変わることによる社会環境への影響ということで、今もいろいろ議論が出ておりましたが、アメリカで実際に、いわゆる嗜好用の大麻というものが認められている中で、その運用というのはどうなっているのかということ、それから、そういった規制の変化に伴ってどんな問題が出てきているのかということを、コロラド州とワシントン州のデータをお示ししたいと思います。これは実際に合法化している州、その政府が出しているデータですので、こちらが特定のものをピックアップするというよりは、州が発表するデータをそのままお知らせするということで御理解いただければと思います。
  では次の資料に移っていただきまして、大麻に含まれる成分について確認をさせていただきます。代表的なもの、THCとCBDの2つの成分が重要であると考えられているということです。
  真ん中に図が3つ並んでいますが、これはヒトに実際に大麻成分であるTHCの5.3~5.8%含んでいる大麻たばこを吸ってもらって、どのような感覚があるのかということをインタビューし、その感覚をスケール化したものになっています。それと、CBDは200~800mgまで経口で飲んでもらっています。結果としましては、左のほうから、「高揚感」、「好ましい効果」となっています。赤丸で示している部分がマリファナを経験した場合の効果で高いスコアを示しています。すなわち、高揚感や好ましい効果を示すということ、これはTHCが主たる成分であるということがヒトの研究で分かっているということです。
  一方、CBDは、そういった効果は極めて弱い、乱用危険性というものは低いということが示されているということです。
  次のページに移っていただきまして、この資料は実際に大麻を使用した場合の効果を示しています。これも先ほど説明があったのですが、重要な部分はヒトにおける大麻の長期使用というところです。精神作用を示すTHC、これが主たる成分と考えられますが、特に長期間使った場合に、やはり薬物依存に陥るリスクがあるということです。精神依存と身体依存に陥る危険性があると報告されているということです。
  その中で、下線部ですね。特に成分の中でTHCの濃度が高い、例えば大麻であるとか、成分濃縮製品を使うと依存に陥るリスクが極めて高くなるということが証明されている点です。さらに、長期間使用していく中で、いわゆる認知機能の低下ということで学習・記憶、判断力、そういったものに影響があるということが諸外国の報告の中では明らかになっているということです。
  次のページに移っていただきまして、これも先ほど説明がありました。アメリカにおけるCBDの扱いですが、実はこれは医薬品として使用されているということです。エピディオレックスというのがFDA、アメリカの医薬品を管理するところから実際に承認されている医薬品があるということです。治療の対象となる疾患は、ドラベ症候群、それからレノックス・ガストー症候群という、いわゆる難治性のてんかんとなっています。エピディオレックスは、こうした疾患におけるてんかん発作を効果的に抑えてくれる効果を持っているということです。THCに関しては、精神作用がありまして、依存に陥るリスク、乱用されるリスクがあるということ。一方、CBDに関しましては、医薬品としての利用価値は一部で認められてきている。これが現状であるということです。
  次のページに移っていただきまして、ここからはアメリカの嗜好用として大麻を使っていく流れというものについてのお話を進めさせていただきます。米国でどうしてこういう流れがあるのか、一つの理由として考えられていますのは、右のパネルに示していますが、アメリカにおける大麻の生涯経験率というものは40%を超えています。一方、日本では、多く見ても1.8%程度と全く状況が違うということです。アメリカでは、この大麻の規制ルールを変更して、別のルールで嗜好品として使用していくほうが現実的ではないかという流れがあるということです。
  大統領選の時期にあわせて、大麻規制の変更に関する住民投票が行われています。その過程で、2012年にコロラド州とワシントン州におきまして、嗜好用大麻を合法化する法律というものが住民投票の結果可決された、認められたということですね。
  現時点で、アメリカでは15の州、それから、ワシントンDC、その他自治区もありますが、嗜好用大麻の使用が認められているということです。
  一方で、アメリカは州の自治が非常に高いので、こういったルールとなっていますが、アメリカ連邦法では依然として、大麻はSchedule1ということで、規制されている物質であるという、そのカテゴリーになっているということです。参考までに、カナダは国として嗜好用大麻の使用を認めている状況で、アメリカとカナダで違いがあります。
  次に移っていただいて、ではどういった目論見をもって、大麻のルールが変更されてきたかということです。住民投票する際の「大麻使用に関するルール案」が公開されています。左側がコロラド州で、右側がカリフォルニア州の例を示しています。
  コロラド州のほうを見ますと、「21歳以上の大麻の使用を認める」ということで、年齢制限があるということが重要です。それから、その下のほうにいきますと、21歳未満への販売は違法にしますよということ。それから、「大麻影響下での自動車の操作」、車の運転は禁止となっています。
  それから、右のパネルのカリフォルニア州におきましても、「21歳以上の大麻の使用を認める」ということでの年齢制限。それから、真ん中にあります、いわゆる大麻の販売から税収を得て、それを若者の薬物乱用の治療や予防に使っていく仕組みをつくろうということですね。
  また、その下の(D)に明示されていますが、重要なポイントとして「未成年の大麻入手機会を減らす」ということが実はこの合法化の目的として含まれているということです。
  次に移っていただきまして、実際、コロラド州で運用されているルール、これは一部の抜粋ですが、状況を御説明いたします。
  まず、嗜好品として大麻が認められているのですが、年齢制限がある。21歳以上で使用が認められていて、購入においては、1回の購入量の制限があるということです。それから、どこでも吸えるのかというと、そうではなく制限が設けられています。いわゆる公的な場所では、大麻の吸煙は認められていないのです。例えば公道であるとか、レストランやコンサート会場、それからアパート、マンション等の共用の場所でも禁止となっています。それから、大麻の影響下での「自動車運転は禁止」ということ。さらに、州のホームページでは、「大麻使用が健康被害を及ぼすこと」、「若い人は使わないようにしましょう」などの情報が提供されています。このような形式で進んでいるということです。
  次のページに進んでいただきまして、実際にコロラド州が出しているコロラドリポートという「大麻規制変更による社会的なインパクト」の情報が出ております。その中から直近のものをまとめています。
  まず、大麻の使用率の推移です。赤いラインがコロラド州で、黒いラインが全米を示しています。そうすると、お分かりのように、コロラド州、もともとベースは高いのですが、2012年の合法化以降、右肩上がりで、使用している人のパーセンテージは上がってくるということですね。その内訳を青い部分、合法化前と合法化の後のオレンジの部分、その年号を一緒にして年代別で比較したデータがあります。
  一番右側のパネルでは26歳以上、これは合法的に使用できる人と考えていいのですが、コロラド州では、当然その層の使用率は増加するということが明確になっています。
  一方で、12~17歳、一番左側のパネルですけれども、これを見ますと、コロラド州で全米よりも若い方の使用率は若干高目でありますし、減ってはいないという状況です。
  次に進んでいただきまして、ではどのような社会問題が起きてきているのかということですが、事故と、それから救急搬送が増えているというデータが示されています。事故につきましては、赤い点線が交通事故で亡くなった方の数です。それから、カラムの積算が、亡くなった方の体内から大麻成分であるTHCが検出されたかどうかということを示している。もちろん、アルコールですとかほかの薬物が陽性になっているケースもあるのですが、体内からTHCが検出される件数というものが、合法化以降、このように上がってきてしまっているということが示されているということです。
  同様に、合法化以降、大麻関連の救急搬送数におきましても、右肩上がりとなっています。特に深刻なのは、0~5歳の救急搬送数が増加している点です。これは何を意味しているかというと、大麻ではなくて、実は大麻合法化の中に大麻成分を含む食品も含まれています。大麻成分を含んでいるチョコであるとかグミであるとか、そういったものも販売されているわけです。ですから、そういったものを誤食したことによる救急搬送が増加しているということです。
  ということで、今まで余り顕在化していなかったような事例が、当然その流通が増えることによって起きてきているということです。
  次に進みまして、これは実際に示されている犯罪の例です。つまり、大麻が合法化されることによって関連の犯罪が全くなくなるのかというと決してそうではなくて、例えば、大麻を販売するもしくは栽培するためには、専用のライセンスが必要ですが、そういったものを守らずに販売や栽培をするというケースが起きているようです。左側がその犯罪数、右側が実際に押収された大麻の量、押収量を示しているのですが、やはり、特に合法化以降、特に販売が許可された2014年以降、増加してきているということです。
  このように、関連している犯罪については依然として、注意する必要があるということだと思います。
  次に進んでいただきまして、コロラド州のデータに加えまして、ワシントン州でも同じようなリポートが出ておりまして、これは時間の関係で交通事故と救急についてのデータをまとめます。交通事故につきましても、赤い点線が交通事故による死傷者数ですから、致死的な事故に遭った方々はやはり増えています。THCの検出、これはアルコールも含んでいるデータもありますが、やはり増加しておりまして、大麻流通の増加との関連性は否定できないということになっています。
  救急搬送につきましても、コロラド州と同じ0~5歳のデータをお示ししています。ワシントン州の場合は、搬送の数ではなく電話相談のあった件数が出ております。そういたしますと、やはり0~5歳のお子さんで相談件数が激増している。これもやはり大麻及び大麻食品のいわゆる誤食によるものであるということが懸念されるということです。
  次に進んでいただいて、一方で、流通している大麻というもの、この性質が近年変わってきているということがアメリカの調査で分かっております。このデータは、大麻に含まれている精神作用を示すTHCとCBDの量の経年的な変化を示しています。アメリカのDEA、薬物取締局が調べているデータですけれども、緑の折れ線がTHC含量を示しておりまして、2018年、一番近いところで出ているデータとしては、THCは15.6%ということで非常に高い濃度を示すということが報告されています。
  日本では、私が入手した情報だと、2010年の実績といたしまして、国内で出たものの中で、平均すると11.2%程度で、これはアメリカのデータとほぼ重なっております。恐らく流通している大麻の性質というものは、海外のものと同じような動態をたどっているのではないかと推察しています。国内で流通している大麻の性質も、強まってきている傾向があるのではないかということが懸念されます。
  最後になります。以上をまとめますと、大麻の運用、規制のルールが変化することによって嗜好用の大麻が認められるということはどういう状況なのか?
  重要なのは、年齢制限があって、使用する場所や購入量が制限されているということです。また、大麻の影響下での自動車運転等は禁止というところで、ルールとしては明確に規定されているということです。
  一方で、交通事故が増えていたり、大麻製品の使用による救急搬送が増えるということも確認されているということです。
  最後に、CDCですね。これも先ほどの資料でも引用されていたと思いますが、そのホームページ中に、いわゆる大麻の合法化ということは、「安全だから合法化されたのではない」というところが文言として明示されています。この辺り、いわゆる大麻の扱いにつきましては、引き続きその状況、社会に与える影響については調べていく必要があるのではないかと考えております。
  私のお話は以上です。

○鈴木座長 ありがとうございました。
  それでは続きまして、嶋根委員のほうから、「薬物使用の疫学:大麻を中心に」ということでお願いいたします。

○嶋根委員 よろしくお願いいたします。「薬物使用の疫学、大麻を中心に」ということで話をさせていただきます。
  まず、全国住民調査の話から入りたいと思います。これは一般住民における薬物使用、これは医薬品の使用も含めてですが、その動向、そして経年的な変化を明らかにすることを目的としまして、我が国唯一の薬物使用に関する全国調査ということでやっております。
  全国民を対象に調査することはできませんので、対象となっております15~64歳までの一般住民の方をランダムに抽出して調査対象者として設定しております。これは2段階ですね。住民基本台帳を閲覧して行っております。
  こういった実態調査を行うときは、調査の説明をしっかりすることが大事です。こういったカラーのチラシを事前に配布して、調査の目的や、団体の説明をしっかりした上で調査員が各家庭を訪問し、調査のお願いに上がっている。そういう調査方法で20年以上にわたって行っております。
  さて、薬物使用の生涯経験率を御覧いただきたいと思います。これは1995年から2019年までの調査結果です。これまで一番高かった黄色の線、これが有機溶剤でしたが、ここ数年で有機溶剤の生涯経験率が低下しております。その一方で、緑の線が大麻です。多少ジグザグしておりますが、2015年から17年、19年にかけて増加傾向にあり、2017年の調査では、最も使用率が高かった有機溶剤を上回り、大麻が我が国で最も乱用される薬物になっているという状況です。
  ただ、ここで大事なことは、我々が知りたいことは、日本全体の状況が知りたいわけですね。それを日本全体の状況に当てはめたときに算出される値を推定値と言います。推定値としては、生涯経験があるという方が約160万人、過去1年間の経験があるという方が約9万人ということです。
  では、次に大麻を使っている人たちの属性や特徴についてお話します。まず、性別で見てみますと、大麻の使用経験がない群では、男女は、ほぼ半数、むしろ女性のほうが少し多いという状況です。それに比べて、大麻使用経験者では男性の比率が高いという特徴があります。それから、年代で見てみますと、使用経験がない群では、40代、50代の方が中心ですが、使用経験のある群ですと、30代、40代の方が多い。
  そして飲酒、これは交通事故との関係でもよく指摘されていることですが、大麻使用者は飲酒の頻度が非常に高いということです。具体的には、毎日飲酒しているという方、大麻使用経験がない方ですと10%に対し、大麻使用者では22.7%と2倍近く高くなっております。また、喫煙の頻度、これは肺がんなど、がんの発症のリスクとも、大麻使用は関係あると言われていますが、毎日喫煙しているという方、これも大麻使用経験がない人に比べて高いという状況になっております。
  では、なぜ今この大麻が増えているのかということですが、大麻使用に対する考えを調べています。大麻使用経験がある方を見てみますと、大麻を使うことは個人の自由であると考える方、あるいは少しぐらいだったら構わないのではないかと考える方が、大麻使用経験がない群に比べて高いということが分かってきました。
  また、これは警察庁のデータですが、大麻取締法違反で検挙された方々、単純所持だった方に、なぜ大麻の危険性を軽視するのかということをお尋ねすると、大麻の合法な国がある、大麻には依存性がない、あるいは依存性が弱いという回答が上位を占めているということが報告されています。
  この大麻の依存性を考えるときに、紹介したい研究があります。若い年齢で大麻を使い始めることで依存症になるリスクが上がるということが報告されています。ここで示しているのは、いわゆるオッズ比と言います。オッズ比というのは、何か基準となるものに対するリスクの大きさを表しています。ここで言う基準というのは、22~26歳に大麻を使い始めた方が大麻依存症と診断されるリスクを基準の1とした場合のことです。13~18歳、ティーンエージャーで使い始めた場合は、その5倍から7倍、依存症になるリスクが高いと解釈することができます。
  ただし、この研究では、大麻を使い始めた年齢しか考慮されておらず、使用頻度についての情報は含まれておりません。そこで、『Lancet Psychiatry』という雑誌で公表されている、オーストラリアとニュージーランドのコホート研究を紹介します。
  これは、17歳よりも前に大麻を使っていない人が、28~30歳の時点で大麻依存症と診断されるリスクを基準の1とした場合のオッズ比を表しています。ご覧のように、大麻の使用頻度が上がるにつれて、依存症として診断されるリスクが量反応的に増えていくことが報告されています。
  また、青少年期の問題として、高校を卒業できなくなってしまう、そして、単位が取得できなくなってしまうというリスクも上がりますし、またほかの違法薬物を使うリスク、そして自殺の企図のリスクも大麻の使用頻度が増えると同時に増えていくということが報告されています。
  では、我が国の青少年の状況を見てみたいと思います。私どもは、全国の中学生を対象とした実態調査を行っております。2018年に実施された最新の調査では、全国240校に在籍している中学生を対象に、約7万人の方に御協力いただいております。この調査では、2014年から18年にかけて、男子中学生、女子中学生、いずれにつきましても、大麻の生涯経験率が増加しているということが分かってきました。
  大麻の使用経験がある子供たちの特徴ですが、学校生活で相談できる友達がいない、親しく遊べる友達がいない、学校生活が楽しくないなど、学校において孤立しているような様子がうかがわれるようなデータが分かってきています。
  また、家庭環境においても、悩み事があっても親にほとんど相談できていないという状況ですね。そして、大人不在で過ごす時間が長い。これは要するに子供だけで過ごしている時間が長いということです。また、大麻使用を友人や知人から誘われても、断る自信がない。実際に大麻を使うことを誘われた経験もある。まさに、大麻の問題がその子たちの身近に迫っているということを示すような結果が明らかになっております。
  大麻の予防啓発という点では、健康影響を受けやすい10代に対する情報発信というものが大事だと思います。これまで様々な、いわゆる薬物乱用防止の活動、教育が行われてきましたが、情報の発信ということを考えたときに、当事者性、10代の若者に向けたメッセージは、やはり10代の若者の視点が必要と思います。さらには、□□委員のような、かつて大麻の使用経験がある、薬物依存からの回復者の意見や価値観というものも取り入れていく必要があると思います。
  また、大麻の健康被害ばかりを強調するというのもやはり一方的だと思いますので、医療分野での活用なども含めて、事実をエビデンスベースで伝えていくということが大事だと思います。また、情報の伝え方に関してですが、駅前でチラシを配るということも、ひょっとするとそれが抑止力になることもあるかもしれませんけれども、例えば10代であれば、ニュースとか新聞とかの情報より、自分のスマートフォンに流れてくるツイッターの情報ですとか、自分が憧れているユーチューバーなどの情報なんかをより重視しているのかもしれません。ですので、そういったインターネットを使ったメディア戦略というものも考えていく必要があると思います。
  ちなみに、NIDA、米国の薬物乱用に関する政府組織では、DrugFactsというような、事実を淡々と伝えていくパンフレットもつくられておりますし、若者向けのパンフレットも非常にカラフルで分かりやすいものがあります。カナダのNPOがつくられているこういったファクトシートもございます。
  最後に、次回以降、再乱用防止の話に移っていくと思いますので、それを踏まえた問題提起をして、プレゼンテーションを終わりにしたいと思います。
  まず、国内の大麻使用者に対する研究が十分にできていないということです。例えば、大麻事犯者の薬物依存の程度がどの程度であるか、大麻使用の背景にどのような問題性があるのかとか、再犯とはどのような関係があるのかということが十分に研究されていない。これは我々研究者がもっと頑張らなければいけないところだと思います。
  また、現在、医療機関や司法機関で提供されている薬物依存症の治療プログラム、処遇プログラムの多くが覚醒剤使用者を想定して開発されて普及されてきたものです。したがって、それらが必ずしも大麻使用者にフィットしていない可能性があると思います。ですので、そこの部分の検討が必要であると思います。特に、大麻使用の健康影響を受けやすい未成年者に対する予防や支援を充実させていくことが重要ではないかと思います。
  私の発表は以上です。ありがとうございました。

○鈴木座長 ありがとうございました。
  それでは、ただいまの舩田委員と嶋根委員からの発表について御意見や御質問がございましたら、委員の先生方からお願いしたいと思います。また、本日の全体を通して御意見や御質問がございましたら、委員の先生方からお願いいたします。いかがでしょうか。
  どうぞ。

○□□委員 プレゼン、ありがとうございました。
  最初に舩田委員にちょっとお聞きしたいのですが、3枚目のスライドですかね、「THCおよびCBDの乱用危険性」で、「高揚感」と「好ましい効果」とあったのですけれども、「商品価値」というのはどういう意味なのか、ちょっと教えてください。

○舩田委員 ありがとうございます。被験者の方に、摂取したものが「どれだけの価値があるか」という、値段をつけてもらうということです。そういたしますと、大麻のほうはお金を払って購入するだけの価値ある効果があったという判断をされているということです。

○□□委員 それともう一点だけ。嶋根委員のプレゼンの中で、僕は一番これが皆さん明快に答えられたらいいだろうと思うのですけれども、薬物使用の生涯経験率がここのところ上がったというのが、いろんなことから推測するしかないと思うのですけれども、それは何か社会環境の変化で、例えば孤立するようになったとか、大麻が近くにあって使いやすい状況ができたとか、そういったことがつかめている状況というのは何かありますでしょうか。御存じの委員の方がいらっしゃったらお聞きしたいのですけれども。もちろん推測だと思いますが。

○鈴木座長 嶋根委員、お願いいたします。

○嶋根委員 御質問ありがとうございます。スライドの6ページに、「大麻使用に対する考え」に関する調査結果がございます。これは最新のデータのみを掲載したスライドですが、このデータの経年的な変化を見てみますと、20代、30代において、この大麻使用を肯定するような考え、個人の自由であるとか、少しであったら構わないと考える方が増加傾向にあるということが、私たちのデータの中で分かっている背景のひとつと思います。ただ、これも長い視点で見てみますと、もっとパーセンテージが高い時期もあります。ここ数年での様子を切り取ってみると、確かに増えているという状況です。

○□□委員 例えばインターネットとかSNSとか、そういったもので興味本位で手にしやすくなるような情報が飛び交ったりしていることが関連するのかななんて、ちょっと私は勝手に思ったのですけれども、ありがとうございました。

○嶋根委員 おっしゃるとおりで、私も、インターネットの影響というのは無視できないと思います。インターネット、動画サイトなどで「マリファナ」などと検索すると、マリファナを使っている映像ですとか、実際、アメリカ、カナダで売られているような製品の紹介などが、携帯電話さえあれば、誰でもいつでも24時間どこでもアクセスできてしまうという状況になっております。その影響は少なからずあると思います。

○鈴木座長 ほかにいかがでしょうか。
  □□委員、お願いいたします。

○□□委員 どうもありがとうございました。大変勉強になりました。
  まず、舩田委員のところで1点お聞きしたいのが、大麻に含まれるTHCの量が経年的に増加しているという御説明をいただいたかと思うのですけれども、これは何に含まれているTHCが増えているのでしょうか。商品というか、流通している大麻製品の中で有害成分が増えているということでしょうか。まずそれを教えていただいてもいいでしょうか。

○舩田委員 ありがとうございます。このデータは、いわゆるマリファナです。乾燥大麻に含まれているTHCの量と考えていただいて結構です。したがいまして、流通している乾燥大麻に含まれるTHC濃度が増えていると考えていただいていいと思います。

○□□委員 以前に比べて危険性の高いものが市中に出回るようになっているという理解でいいですか。

○舩田委員 そうですね。このデータから推察いたしますと、例えば2000年前後で調べられている有害作用等の比較は、少しリスクを高目に設定しないと、危険である可能性はあるのかなと。一方で、今回は乾燥大麻のお話ですが、実は乾燥大麻の中に含まれるTHCの濃度が増えてきたということで、いわゆるTHC自体を抽出することが容易になったわけです。近年、大麻ワックスとか大麻リキッドのような製品の流通が増加している背景には、大麻の性質が変わってきているということも重要なポイントになっているということです。

○□□委員 分かりました。ありがとうございます。
  それと、嶋根委員がお話された中で、大麻に関するエビデンスの情報発信のところで10代が受け取りやすい表現、デザインで伝えていくべきだというのは、私もすごく大事なことだと思います。先ほどインターネットの影響の話が出ましたけれども、これまでであれば、すごく苦労して取りにいかないとそういうダークな情報にアクセスできなかったのに、誰もがスマホを持つ時代になって、子供たちが簡単に、かつ悪いものだと思わないでアクセスできる状況になっているということを考慮する必要があると思います。
  情報発信をする際には、誘い込もうとする引力に負けない強い発信力が必要です。大麻は使っても大丈夫だよ、合法の国もあるし安全だよ、というネット上にあふれる情報に負けない情報発信をしていかないといけないと思っています。あとは、子供たちだけではなくて、先ほど委員のご説明の中で、大麻使用経験のある青少年の特徴に家庭生活のあり方が問われる部分もあったと思うので、親へのリーチという視点も必要かなと思いました。
  以上です。

○鈴木座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
  □□委員、お願いいたします。

○□□委員 舩田委員、嶋根委員、どうもありがとうございました。大変参考になりました。舩田委員の御報告で、感想と、あと質問が1つございます。
  感想は、舩田委員がお示しくださったように、嗜好目的の使用が合法化されれば組織犯罪を抑え込めるとか、そういうことが昔から言われているのですけれども、やはりそんなことはないということと、それから、嶋根委員の御報告でもそうですけれども、やはり若年者といいますか、未成年といいますか、こういう者に対する有害性というのはかなり顕著であるということだとすると、たとえ法律で20歳以上の者に限って嗜好目的の使用を認めたとしても、未成年とか若年者に渡るのを防ぐというのは、カナダみたいに、未成年への譲り渡しを厳罰にしても、なかなか難しいと思いました。
  今、アルコールでも、コンビニで成人しか購入できないわけですけれども、結局は、成人が買えるような状況の中では、成人が買って未成年者に渡すとかいうことが簡単にできるので、やはり一部の者だけ合法化するということは、未成年者、若年者に対する使用ということを防ぎ切れないということがこのアメリカの州の例でも明らかだと思います。これが感想です。
  それから質問は、先ほどの□□委員と同じ、一番最後の大麻成分の変化についてで、私も、非常にこれに関心を持ちました。この資料に書いてある表現をそのまま見ると、法執行機関によって押収された大麻草となるので、要するに、このTHCの含有量が増えてきているというのは、違法に栽培されている大麻草のTHC含有量が増えてきているということになろうかと思います。これは品種改良などをやって、非常に強いものをつくろうとしているという傾向があるということなのか、それとも、産業用でつくっているもの自体にそうした傾向があるのか、例えば医療用で、ほとんど合成のほうのTHCだと思うのですけれども、一部大麻由来のものを使おうとすると、本当はCBDでいいはずですけれども、THCを医療用に使うために強いものをつくって、それが流れてしまっているのか、そこら辺の状況はどうでしょうか。それこそ違法組織が品種改良して、どんどん高くしているような状況なのか、それとも、そもそも産業用の大麻が品種改良されて効率的にTHCを取り出せるように強いものをつくってきて、それが違法なものにも流れていると理解したほうがいいのでしょうか。もし分かればお願いしたいと思います。
  それから、先ほど刑罰と抑止力の話をしましたけれども、ちょっと言葉足らずだったので補わせていただきたいと思いますけれども、要するに言いたかったことは、ただ単に、ある行為、今は大麻の使用とか、こういったものを規制しようと、防ごうという抑止の目的だけのために犯罪として規定して罰則を設ければ、それで効果が上がるという観点だけで設けるのはまずくて、実際に重要なのは、どのようにそれを適用していくのかということだと思います。
  例えば違法化されて刑罰があっても、検挙率が非常に低ければ犯罪が蔓延する傾向が一般的に強くなります。検挙率のほうがかえって影響力が高いのではないかと言われたりしますので、どのように摘発、もしくは検挙していくのか、それから、摘発した後に刑事手続の中でどのように被疑者や被告人、それから受刑者を扱っていくのかということが大切で、仮に大麻の使用罪ができたとしても、今みたいに、ほとんどの者を起訴して全部執行猶予にすると、何も処遇にも治療にも結びつかないとなると、これではうまくいかないだろうと思いますので、言いたかったことは、単に抑止力があるかどうかということだけでなしに、どのようにそれを運用していくのかと、そして、刑事手続に乗った場合、そこからどのように処遇とか教育とか社会復帰のほうに向けていくのかということをトータルして考えた上で、犯罪化するのかどうか、刑罰化するのかどうかということを考えていかなければいけないということを言いたかったわけです。
  以上です。

○鈴木座長 それでは、舩田委員、お願いします。

○舩田委員 質問ありがとうございます。このTHC濃度のデータにつきましては、委員が御指摘のように、違法栽培などにより押収されたものの解析結果となります。したがいまして、アメリカの薬物取締部局が押収した乾燥大麻に含まれていたTHC濃度ということになります。
  ではどうしてTHC濃度の高いものがどんどん出てきているのかという背景ですが、理由というのは幾つか考えられると思います。一つは、THCを多く含む大麻の栽培法が公開されているため、どうやって栽培するとTHC濃度の高いものが取れるというような情報が出ていることです。もう一つは、大麻の品評会というものが世界各国で開かれていまして、特にそういう種のものは非常に高値で取引されるという事実もございます。流通している全ての大麻においてTHC濃度が上がっているとは言えないとは思うのですが、今後もこういったTHC濃度の高い大麻が流通しているということを認識していく必要があると考えています。
  以上です。

○鈴木座長 ありがとうございます。
  では、□□委員、お願いします。

○□□委員 ありがとうございます。今の舩田委員のデータ、大麻成分、特にTHCの量の変化についてコメントさせていただきたいのですが、私の持っていたデータ、古いものなので、こういう新しいデータが出てきて、とても個人的には助かりました。古いデータは、私のところにあったのがDEAのつくったもので、1985年のが一番古かったのですね。その時点で3.5%でした。とすると、このグラフを見ましたら、2000年ぐらいまでは3~4%ぐらいで推移していたのが、その後の18年間にわたって急激に含有量が増えてきたという印象を受けます。これは我々が覚えておかなければいけないことではないかと思いまして、一言だけ申し上げます。

○鈴木座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
  どうぞ。

○□□委員 御報告ありがとうございました。舩田委員からの御報告の中でもあったのですけれども、合法化された大麻の販売場所とか、そういった場所の犯罪が増えているというのは、これはやはり合法化されて、いろいろな形で流通が増えていく中であってしかるべきことなのかなあとも、見せていただいて感じたのですけれども、医療用大麻という形で今後日本でもそれがもし施行されるようになった場合に、単に使用者のユーザー側だけが処罰対象となるというよりかは、現状も、医療用麻薬とかの取締りとか管理監督というのはかなり厳しくやられていると思うのですけれども、そういった処方される医師等とか流通の体制というのをかなりしっかりやらないとならないのかなあというのを感じました。
  現状でも、日本の中でも、精神科処方薬とか市販薬とか、そういったもので依存になっている方もいらっしゃいますので、それが管理監督が不行きのままだと、使用者だけに何か罰則をつけるとか罰を与えるというのがちょっと難しい、違うのかなという観点があったのと、合法化された場所で喫煙場所の規定とかそういったものがある中と、THC濃度が上がってくることも含めてですけれども、日本においても、日本では今合法化にはなっていないですし、今後どうなっていくのか分からないですけれども、アルコールとか、ちょっと薬物のことでないのであれですけれども、そういった制度規制の中で、アルコールがそんなに外で飲めないようにするとかいうのの見本の一つには、こういったマリファナとかを公共な場所で使うとかいうことが何か見本のようなものになるのかなと感じました。
  以上です。

○鈴木座長 ありがとうございます。ほかに。
  どうぞ。

○□□委員 舩田委員、嶋根委員、どうもありがとうございました。大変よく分かりました。ちょっと質問というか、これは舩田委員にお伺いするのがいいのか、ほかの委員の方なのか、事務局なのかちょっと分からないのですけれども、舩田委員のスライドの中で、各国の違法薬物の生涯経験率というのがあって、アメリカ、44.2%、日本、1.8%、ほかの国と比べても日本が極端に少ないということで、ほかの国のいろんな規制の仕方とか、一部合法化とか、そういうのを参考にいろいろ議論するというのは、それは参考にするべきだと思うのですけれども、この生涯経験率とかそのバックグラウンドは余りに違う、これだけ余りに違うとどこまで参考になるというか、どういう形で参考にするのが適切なのだろうかとちょっと思いまして、これだけ生涯経験率が違うということについての何かしらの分析とか理由とか、そういうものを検討した研究とか、そういったものはあったりするのでしょうか。

○鈴木座長 これは、嶋根委員、いかがですか。

○嶋根委員 御質問ありがとうございます。薬物使用率の高さ、低さで各国の情報を並べた研究というのはこれまであるのですけれども、それがなぜそんなに違うのかというところはまだ十分研究されていないように私は思います。何となく日本国民は法を遵守する、そういう国民性があるのでは、みたいなことが言われたりすることはあります。しかし、なぜ諸外国と比べて日本がこれだけ少ないのかを実証的に示した研究は、十分に行われていないと思います。

○□□委員 大変ありがとうございます。私も、そういう研究というのは、結構難しいだろうなというか、原因の分析は相当困難だろうなと思うのですけれども、ここまでバックグラウンドが違うということを踏まえて、各国の規制というのは参考にしていかないといけないかなと思ったという、そういうコメントです。

○嶋根委員 すみません。もう一つ、追加でコメントしてもよろしいでしょうか。

○鈴木座長 はい、お願いします。

○嶋根委員 日本は諸外国に比べて、自分の薬物使用の経験を正直に答えにくいという状況があると思います。その背景には、やはり違法薬物を使ってはいけないという規範意識もあるでしょうし、使用罪があることも影響しているかもしれません。ですから、データには、バイアスが生じていると思います。大麻の生涯経験率1.8%というのはあくまでも最低値であって、真の値はもっと高いはずです。また、例えばヨーロッパなんかですと、薬物を使う人の権利を尊重し、使うかどうかはそれぞれの個人が決めていくことというような考え方があって、薬物使用についても答えやすいのではないかと思います。

○鈴木座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
  どうぞ、□□委員、お願いします。

○□□委員 嶋根委員にお伺いしたいのですけれども、先ほど、若者に対する情報発信という形で、SNSとかユーチューブが訴求力があるというお話があったと思います。我々としましても、従来の啓発に代えて、ツイッターとかヤフーとかユーチューブでいろいろ発信をしております。最近ですと大麻の有害性、危険性、そして正しい知識の普及を中心に啓発しているわけですが、短い時間の中でいかに若者に見てもらうかというのも苦慮しております。先ほど、委員から、10代の若者の視点でという形での御指摘がありましたけれども、具体的にはどういう形でその視点で情報発信していくのが効果があるのか。それと、通常、ツイッターなどで啓発を行う場合、15秒とか30秒の短い時間になりますが、まず見ていただくのが重要であり、そういった短い時間で見ていただけるような何か若者の視点があったら教えていただきたいのですが、よろしくお願いします。

○鈴木座長 お願いします。

○嶋根委員 それをまさに今から検討していく必要があるのではないかなと思っての問題提起でお話ししたところです。どれぐらいの尺であれば受け取ってもらえるのか、どんなメッセージであれば受け取ってもらえるのかということも含めて、10代の方に入ってもらいながら考えていくということが大事かなと思います。
  それから若者にとっては、ツイッターとかのリツイートとかで、誰がリツイートしているのかとかいうことが重視されるのかもしれません。だから、大麻に関する情報を若者のフォロアー数が多いような方にリツイートしてもらうということも1つ戦略として考えられるのではないかと思っています。

○鈴木座長 ありがとうございました。よろしいですか、□□委員。

○□□委員 (首肯)

○鈴木座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○□□委員 すみません。ちょっとくどいようですが、先ほど舩田委員の大麻成分のTHC濃度の件ですけれども、そのように品評会とかTHC濃度を上げるようなことが行われてきているということですけれども、日本では逆に、THC濃度が少ないような品種改良を行って、例えば繊維なんかを利用する場合は、別にTHCが含まれていなくても多分いいわけなので、そのような品種改良をして、それを普及させてきているとかいうことがあるので、日本でも、先ほど3.何%だったというお話がありましたけれども、それにもかかわらず濃度が増えてきてしまっているというのはちょっと不思議な気がいたします。
  それから、食品とか医療用でも、CBDですか、カンナビジオールを利用するということだけ見れば、THC濃度を別に高める必要がないような気もしますので、なぜそういう中でTHC濃度を上げるような動きがあるのかというのは不思議だと思いました。要するに、それは嗜好目的で使うニーズというのか市場が海外にあって、そのためにそれに応じて効率的にTHCを取れるような品種改良がなされてきてしまっているということでしょうか。それが違法な栽培とか違法な販売とかにもつながってきているということかなという印象を持ちました。もし何か他に事情があれば、委員方からお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

○鈴木座長 ありがとうございました。
  それでは、大体御意見も尽きたかなと思いますので、このぐらいにさせていただきたいと思います。
  本日予定されていました議題は以上となりますけれども、今後につきまして、事務局から何かございましたらお願いいたします。

○事務局 次回第3回の検討会につきましては、日程を追ってお伝えさせていただきますが、議題につきましては、再乱用防止ですとか、今ほど□□委員からも医療用麻薬の適正使用みたいな話もございましたので、そうしたことを私どもから御説明させていただくとともに、また、委員の方からのプレゼンも含めてやらせていただければと考えております。
  以上です。

○鈴木座長 ありがとうございます。
  それでは、以上をもちまして第2回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」を閉会いたします。御協力、誠にありがとうございました。


(了)
医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課
直通:03-3595-2436

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