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北海道のむかし話22 釧路アイヌの始祖


昔、釧路湿原には誰も住んでいなかったころ、阿寒岳(あかんだけ)は自分の妹と、海の鯱(しゃち)の妹とを取り換えた。

雄阿寒岳(おあかんだけ)には鯱の妹が嫁ぎ、鯱のところには雄阿寒岳の妹が嫁いだ。
雄阿寒岳に嫁いだ鯱の妹に子供が生まれた。

ある日、子守の男の子に背負わして山に登っていく途中、鯱の妹の着物の裾が大きく風にあおられて妹の肌が、あらわに見えてしまった。

それを見た子守がニヤリと笑った。

御供山

それを見た鯱の妹は怒り、子守を突き飛ばした。
子守は子供を背負ったまま、阿寒川に落ちたが幸いに流木につかまり流れていった。

これを御供山(おそないやま)にいた姉妹が見つけ助けに走った。

走りながらいった。

流木を先に押さえた方が大きい子を、遅れた方が小さい子を育てることにし、助けあげた。

姉妹は、それぞれの子を御供山に連れて帰り育て、やがて成人してから二組の夫婦になった。

これが、釧路アイヌの先祖になったという。

                                                                                 更科源蔵 アイヌ伝説より

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