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宝塚ファミリーランドは…

 阪急沿線で生まれ育った私にとって『宝塚ファミリーランド』は、いちばん身近な遊園地だった。

 だから「初めて…」が、常に枕詞に付く存在だった。


 初めて、両親に連れて行ってもらった…

 初めて、遠足で行った…

 初めて、友達同士で行った…

 初めて、デートで行った…

 初めて、夫婦で行った…

 初めて、家族で行った…


 2003年4月7日、その宝塚ファミリーランド閉園決定のニュースが流れた。

 突然だった。

 贔屓球団だった阪急ブレーブスの球団売却の時と全く同じだった。

 だからだろうか、物凄く冷静に「やっぱり同じ阪急グループだな」と妙に感心したことを覚えている。

 閉園を惜しむ多くの声に押されて、完全に閉園されるまで少しの期間が設けられた。

 閉園までに一回行こうと妻に誘われたが、頑なに拒んで呆れられた。

 自分でも自分の感情が分からなかった。

 結局、閉園まではもちろん、その跡地にできた新しい施設にも一度も行かなかった。

 いや、行けなかった…


 令和の今、あの宝塚ファミリーランドの跡地には当時の面影は何もない。                

                 <了>