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国民年金と厚生年金の違いは?

公的年金制度の中には、国民年金と厚生年金がありますが、その違いをよく知らないというかたも多いのではないでしょうか。

年金制度には、国民年金厚生年金があり、それぞれの保険料や受給額、手続き方法に違いがあります。老齢年金、障害年金、遺族年金など、様々な年金制度がある中で、基本となる国民年金と厚生年金の違いを理解しておくことが重要です。本記事では、国民年金と厚生年金の違いや、それぞれの加入資格、支払い額、納付方法、受給開始時期、切り替え方法、注意点、年金制度の将来について詳しく解説します。

この記事を読むと、年金制度の概要がスッキリわかるようになります。

国民年金と厚生年金の違いは何?

国民年金と厚生年金の違いは、加入対象や支払い額、支払い方法、受給額が違うことです。国民年金は、全ての国民が加入対象であり、厚生年金は、企業などの法人が従業員に加入させることが義務付けられています。

国民年金は、国民皆保険の制度であり、全ての国民が加入対象です。

一方、厚生年金は、企業などの法人が従業員に加入させることが義務付けられています。加入者が脱退する場合の手続きも異なっています。

国民年金は、自営業者やフリーランス、無職なども加入が可能であり、一定の保険料を納めることで年金を受給することができます。厚生年金は、企業などの法人が従業員に対して、定期的に保険料を納めることで年金を支給します。

国民年金と厚生年金の支払い方法について知ろう

国民年金は、口座振替やクレジットカードなどで支払いをする「自動口座振替」、納付書を使って収める場合はコンビニやスマホアプリで支払う方法があります。厚生年金は、会社が従業員から天引きして納め、厚生年金基金から支払われます。

国民年金の支払い方法については、国民年金保険料の徴収方法に関する法律に基づいて定められています。一方、厚生年金は、会社が従業員の給与から天引きして納め、厚生年金基金から支払われます。

国民年金と厚生年金は、支払い方法が異なります。国民年金は自分で払いますが、厚生年金は会社が従業員の給料から天引きします。

国民年金と厚生年金の受給額の違いは?

国民年金と厚生年金の受給額は大きく異なります。国民年金の場合、平均的な月額は約6万円程度です。一方、厚生年金の受給額は、基本的には給与や勤続年数に応じて算出され、平均的な月額は約15万円程度です。

国民年金の受給額

国民年金の場合、受給額は納付期間に応じて決まります。現在、国民年金の満額は月6.5万円程度で、20歳から60歳まで480ヶ月間払い続けた人です。一方、厚生年金は、社会保険料の支払いに応じた給付制度であり、労働者が勤続年数を重ねることで年金額が増加していきます。具体的には、厚生年金の平均受給額は月額約15万円程度となっており、国民年金に比べると大幅に高い水準となっています。

厚生年金の受給額

国民年金と厚生年金の受給開始時期の違い

国民年金と厚生年金の支給開始時期には違いがありません。原則65歳から支給開始ですが、60歳から65歳までの間に繰り上げて受け取る「繰上げ受給」や66歳から75歳までの間に繰り下げて受け取る「繰り下げ受給」を選択することができます。

国民年金について知ろう

国民年金の加入資格とは

国民年金の加入資格は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の方であり、年金加入者として加入手続きを済ませた方が該当します。

国民年金は、社会保険制度の一つであり、加入者が年金保険料を納付することで、将来的に年金を受給することができる仕組みです。そのため、加入資格は加入者が年金保険料を納付できる労働力を持っていることが必要であり、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の方が加入資格を持ちます。

例えば、日本国籍を持ち、日本に住所を有する25歳のAさんは、国民年金の加入資格を持っています。一方、海外に在住する日本国籍者や、日本国籍を持たない外国人は、一部の例外を除いて国民年金に加入できない場合があります。

国民年金保険料の算出方法

国民年金保険料の金額は、1カ月あたり16,520円です(令和5年度)。
なお、まとめて前払い(前納)すると、割引が適用されるのでおトクです。
所得や年齢によっての保険料の差はなく、全員一律です。保険料は毎年改定されます。

国民年金を延滞すると、延滞金がかかるので注意です。

国民年金の受給対象者・受給開始時期は?

国民年金の受給対象者は、原則として65歳以上の日本に在住する人で、一定の要件を満たすことが必要です。

国民年金の支払い対象者に関する法律は、国民年金法に規定されています。具体的には、以下の要件を満たす人が対象となります。

  • 65歳以上であること

  • 日本国内に在住していること

  • 年金保険料を10年以上支払っていた人(免除や猶予期間を含む)

また、年金保険料を納付していない場合でも、免除や猶予の要件を満たすことで国民年金を受給することができます。たとえば、10年以上の期間に国民年金加入しており、その間免除や猶予の手続きをしていれば受給対象になります。

国民年金の納付猶予と免除制度

収入の減少や失業等により国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合未納のままにせず、「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きを行ってください。
猶予・免除を申請して承認されると、年金の受給資格期間に算入されます。ただし、将来の年金額を計算するときは免除期間は1/2、猶予の場合は年金額に反映しません。

厚生年金について知ろう

厚生年金の加入資格とは?

必ず厚生年金保険に加入することになる方は、常時従業員を使用する会社に勤務している70歳未満の一定の人です。
または、パートで年収130万円以上の方は厚生年金加入義務が発生します。
また、2022年10月からパートで月8.8万円(年収106万以上)で一定の要件を満たす人は厚生年金加入義務が発生しました。

厚生年金の保険料の算出方法

厚生年金保険料は標準報酬月額に保険料率(現在では18.3%)をかけた保険料を「会社と折半」して支払います。 つまり個人負担は9.15%になります。例えば、標準報酬月額が30万円の場合、加入者本人と会社がそれぞれ「2万7450円」の保険料を支払うことになります。 加入者負担の保険料は会社負担分と併せて給与天引きで納めます。

ちなみにボーナスも厚生年金保険料の支払い対象となります。

厚生年金の受給開始時期について

厚生年金の受給開始時期は、原則65歳以降です。ただ国民年金と同じく60歳から70歳までの間で自由に選択できます。ただし、厚生年金の受給開始年齢を引き下げることで、受給額が減額されます。

例えば、受給開始年齢を60歳とした場合、受給額は24%減額されます。また、受給開始年齢を75歳に延長すると、受給額が84%増額されます。
受給開始時期によってもらう前に死んでしまったり、思ったより長生きして少ない年金のまま一生受け取ることになったりするので、慎重に検討すべきです。

厚生年金の保険料の納付方法について

厚生年金の保険料は、雇用者が従業員の給与から天引きする形で納付されます。つまり、会社が保険料を計算し、給料から天引きして納めてくれますので従業員は何もする必要はありません。

国民年金と厚生年金の比較表

今までの違いを簡単に表にまとめてみました。

国民年金と厚生年金の比較

補足:
厚生年金の対象者はパートで130万円以上も対象
厚生年金の年齢は70歳未満でも雇用されていれば対象
国民年金の最低被保険者期間は10年、つまり9年11か月保険料を納めていても1円ももらえない。
国民年金、厚生年金それぞれについて繰上げ、繰下げを別々に選択できる。

国民年金と厚生年金の切り替え方法・手続き

国民年金から厚生年金への切り替えは企業側が行う

就職や転職で厚生年金加入が必要となった場合、手続きは企業が行ってくれます。基本的には勤務先の事業者が手続きを行うため、会社の指示に従って「年金手帳」や「基礎年金番号通知書」を提出するだけで問題ありません。

厚生年金から国民年金への切り替えは自分で行う

一方で、会社員や公務員が自営業者やフリーランスに転向した際は、厚生年金の脱退手続きと国民年金の加入手続きが必要です。

国民年金の加入手続きは自身が以下の書類を持ち、退職日から14日以内に住所が登録されている市役所に申請・提出する必要があります。

  • 年金手帳または基礎年金番号通知書

  • 退職証明書または離職票等

  • 身分証明書

年金制度の注意点やリスク

年金制度の将来について

日本の年金制度は、少子高齢化が進む中で将来的に維持・運営が困難となる可能性があります。現在の制度改革や制度の見直しが必要であると言えます。

日本の人口は減少し、高齢化が進んでいます。そのため、年金を支払う人が少なくなり、年金を受け取る人が増えることで、制度運営が困難になります。厚生労働省の調査によると、2040年には65歳以上の高齢者が総人口の約30%に達すると予測されています。

  • 年金の減額

  • 支給開始年齢を65歳以降に

  • 保険料の増額

などの対策が考えられており、いずれにせよ現役世代には負担増、受取時には減額となることが予想されます。

年金制度の将来に不安を感じる背景は?

日本の高齢化率は非常に高く、2019年には65歳以上の高齢者が約35.6%を占め、2040年には39.9%にまで上昇すると予測されています(出典:厚生労働省「平成30年国民生活基礎調査」)。そのため、年金受給者数が増加する一方で、出生者数が減少することにより、年金制度の財政的な厳しさが問題視されています。また、長期低金利により、運用資産の収益性が低下するため、運用益に頼った年金制度の維持が困難になるという見方もあります。

社会の価値観の変化により、今後の年金制度の持続性に対する疑問もあります。例えば、正社員ではなくフリーランスや自営業という働き方を選択することにより、未納者が増えさらに年金財政が厳しくなるとの見方もあります。

年金制度の将来に向けて何を考える?

年金制度の将来に向けての課題には、高齢化による受給者数の増加、少子高齢化による負担割合の増加、また低金利による運用益の減少などがあります。これらの要因により、将来的には年金制度が破綻する可能性が指摘されています。

政府はこれらの課題に対して、年金財源の確保や制度改革を進めています。具体的には、消費税率の引き上げや年金保険料の増額、公的年金の減額などが挙げられます。また、社会保障全体の見直しも進められており、介護保険制度の改革や医療制度の見直しも進められています。

一方で、個人としても、自己責任の意識を持って、年金制度だけでなく、個人資産形成や働き方改革なども考えていくことが重要です。例えば、老後資金の確保のためには、積極的に個人資産形成を進めることが必要です。また、定年後も社会貢献ができる働き方改革も進めていくことが、社会全体の持続可能性につながります。

対処法は?

公的年金制度以外の年金制度に加入する

  • 公的年金制度以外にも、個人年金保険やiDeCo、積立NISAなどがある。

  1. 貯蓄をする

  • 年金制度に依存せず、自己責任での貯蓄・資産形成を行うことで、将来的な生活に備えることができる。

  1. 将来の社会保障制度に対する見通しを持つ

  • 政府の方針や社会保障制度に関する情報を収集し、将来的にどのような状況になるかを見通すことで、自己責任での備えを行うことができる。

将来の不安を解消するために、自己責任で備えを行うことが重要です。


FPに相談しよう

FPに相談すると国民年金・厚生年金どちらに加入する方が得かわかる

FPに相談することで、年金に関する知識や情報を専門的に持っている人の意見やアドバイスを得ることができます。

  • 年金制度や運用方法についての正確な情報を提供してくれ、自分にとって最適な年金運用方法を提案してくれます。

  • 将来のライフプランを立てる上で、年金は大きな財源となり得るため、専門家と相談することでより効果的な貯蓄・運用方法が見つけられます。

  • 不安や疑問を解消し、年金に対する正しい知識を得ることができます。

年金には複雑な制度が存在し、自分自身で情報収集をすることは困難です。また、複雑なルールが多く、個人によって受給額や支払い方法が異なるため、自分自身で把握することは難しい場合があります。また、年金制度自体が将来にわたって変化する可能性があるため、今の時点での情報をもとに将来の年金額を正確に予測することも困難です。一方、FPは金融商品やライフプランに関する知識を持ち、年金についても専門的な知識を持っています。そのため、適切なアドバイスをもとに、自分にとって最適な年金運用方法を選択することができます。

FPに相談すると将来の年金額、生活イメージなどのライフプランシミュレーションが出来る

例えば、年金制度の種類や税制などについて正確な情報を得ることができない場合、自分自身でライフプランを行うことは困難です。このような場合、FPに相談することで、自分自身で情報収集をする必要がなく、正確な情報を提供してもらえます。
また、FPは将来のライフプランを立てる上で重要な役割を果たします。年金は大きな財源であるため、ライフプランにおいて公的年金制度を組み入れることは非常に重要です。FPに相談することで、将来のライフプランを見据えた最適な資産形成法が提案されます。

FPに相談するとどんな対応策があるか具体的に教えてくれる

FPは、個人のライフスタイルや将来の目標に応じた年金受給額のシミュレーションを行い、その結果に基づいて具体的な対策を提案することができます。

年金制度には、複雑な仕組みや制度改正の影響などがあり、一般の人が理解することは容易ではありません。FPは、年金制度についての豊富な知識を有し、また、個人のライフプランに合わせた年金受給額のシミュレーションを行うことができます。このため、FPに相談することで、自分自身では気付けなかった対策法を提案してもらえる可能性が高まります。

例えば、年金制度の仕組みや改正について理解が浅い人が、自分の将来の年金受給額を計算してみたところ、現在の生活費が不足することが判明したとします。この場合、FPに相談することで、具体的な対策法を提案してもらえます。例えば、公的年金以外にも、個人年金保険やつみたてNISAなどの金融商品を活用することで、将来的な年金受給額を補うことができる場合があります。

年金制度については、複雑で理解しづらい面があるため、FPに相談することで将来の年金受給額をシミュレーションし、具体的な対策法を提案してもらえるメリットがあります。FPは、年金制度に関する専門的な知識を有し、個人のライフプランに合わせたアドバイスを行うことができるため、安心して相談することができます。

年金制度に関するQ&A

厚生年金に加入したら国民年金はどうなる?

厚生年金に加入したら、国民年金も自動的に加入することになります。今まで自分で国民年金を払っていた人は自分で払う代わりに会社の給料から天引きされます。

厚生年金には国民年金が含まれる?

厚生年金と国民年金は別物です。ただ、厚生年金に加入すると国民年金も加入することになり、給料天引きになるので厚生年金と国民年金は同じもの?という疑問が生まれる方もいます。

厚生年金と国民年金は両方払う?

両方払う必要があります。ただ、実務上は厚生年金と国民年金を合計して給料天引きになっています。

厚生年金と国民年金は両方もらえる?

はい、両方もらえます。国民年金と厚生年金の受取平均額の表は下記を参照ください。

厚生年金と国民年金はどちらが良い?

圧倒的に厚生年金の方がよい。ただ、自営業やフリーランスは厚生年金に加入できないので、会社を立ち上げるなどして厚生年金に加入する方法はある。
また、パートで厚生年金に加入するのはデメリットもあるので詳しくはこの記事を参照ください。

年金制度に加入していない場合、老後の生活費はどのように準備するべきか?

  • iDeCo、積立NISA、保険などで積立する

  • 家賃収入を得る

  • 働き続ける

等の方法があります。自分の老後の生活費がどれくらいかかるかを逆算して計画を立てましょう。

支払いが遅れた場合、どうすればいい?

厚生年金の支払いが遅れる場合はありません。なぜなら会社が給料天引きしているから。国民年金の支払いが遅れた場合は同じ納付書で2年後まで納付できます。ただ、延滞金はかかります。

年金を受給するための準備は何が必要?

65歳に達する3か月前に年金請求書が送られてきます。その用紙に必要事項を記入の上返送すれば年金が振り込まれます。年金は偶数月に2か月分振り込まれます(2,4,6,8,10月)

年金受給者が死亡した場合、手続きは?

年金事務所へ死亡の手続きが必要。死亡後は遺族年金になって支給される場合がある。要件や受給額はこちらを参照

自分の年金はいくらもらえる?

詳細を知りたければ、ねんきんネットにログインするとわかります。

年金の繰上げ、繰下げはどちらが損?得?

いつ死ぬかわからないので、結論はわからない。ただ、現実には繰下げする人は1%にも満たない。なぜなら繰下げして年金額が増えても死んだらもらえなくなるから。

手取りが減っても厚生年金に加入した方が得?

ケースによって違う。パート主婦などは損をする場合もある。

会社を辞めた後の厚生年金はどうなる?

会社を辞めると国民年金になる。手続きは上記参照。

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